【ヤバすぎる内容】犯罪者オールスターを地獄で裁いちゃいました!石井輝男版『地獄』を観た!

今回は、石井輝男監督作品版の『地獄』を紹介します。

地獄』という作品は、1960年中川信夫監督版、1979年神代辰巳監督版と本作1999年石井輝男監督版の3作があります。
ほか2作は未観賞なのですが、とにかく本作は一言でいうと「ヤバすぎる!」。拙い語彙力で恐縮ですが、ヤバいという形容詞は本作のためにあると言っても過言ではないでしょう…。

以前紹介しました『ポルノ時代劇 忘八武士道』と同様、新文芸坐、丹波哲郎特集で観てきました。

トラウマ必至のポスターです…。
丹波哲郎生誕百年祭が開催されました。
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極悪人の裁きを垣間見る地獄劇

人体ノコギリ切断!全身焼印!舌抜き!永久カワハギ刑!

この映画のヤバさは、実際にあった重大犯罪(とほぼ同じ名前)の犯人たちが起こした、その事件(とほぼ同じ)エピソードが登場すること。当時の観客であれば誰もが想像する凶悪犯罪です。連続少女誘拐犯のM、サリン事件の宗教団体O。犯罪のあらましを追体験しながら、処刑までじっくり見守っていきましょう。

現世で悪事を働いた重罪人が地獄で裁かれるのを、あなたも覗いてみませんか?

『地獄』のあらすじ

超怪しい3人組

主人公リカが都心で佇んでいると、着物を着た身なりの良い老婆と姉弟の3人組が近づいてきます。あなたの人生はまだやり直せますと語り始め、「ちょっとだけ見せてあげましょう」と地獄体験ツアーに参加することに。私はてっきり怪しい宗教か何かの勧誘かと思ったんですが、どうやら地獄からの使者が人間に化けた化身のようです。

リカは成り行きで地獄で行くことになりますが、三途の川を過ぎたあたりで、地獄の鬼から「地獄では服を着ないことがルールだ」と身ぐるみを剝がされます。主役の女の子がいきなりトップレスになるなんて…。フツーの商業映画ではありえない状況にビックリします。

地獄の使者(姉)が鬼に「閻魔大王様の計らいで来ている人なので特別なんです!」と説明して服を返してもらいますが、キャミソールだけしか返してもらえず終始スケスケ。使者(姉)は「この服カワイー」と他から没収したハデな服をもらってノリノリ。なんだかユルイ。

そして地獄の描写が超チープ。豪華なNHK教育テレビ(Eテレ)の15分番組、といった具合。ヨロヨロと歩く亡者たちもなんだかちゃっちい。だけど、”豪華な”スタジオ撮影で、ALL特撮なのは好感が持てるし、チープ感が妙なオドロオドロしさを演出しているとも言えます。

犯罪の真実をみる①

「リカよ、凶悪犯罪者の真実を見よ!」と、さっきの老婆は閻魔大王だった!しぶしぶ映写装置のようなものをじっと見つめると、そこには連続少女誘拐事件のM。Mが起こした事件が生々しく実録事件として描かれます。ウーン、かなり見るのがつらい。テレビの再現ドラマなんかよりリアル。彼の部屋もでてきますが、完全にMを意識していますね…。

現世で死刑となり地獄に送られたM。鬼たちに処刑台に乗せられ、ギコギコと体をのこびきにされていきます。鬼にはいくつかバリエーションがあって、馬など動物がモチーフになったやつもいます。よくできた着ぐるみ。

バラバラにされたMですが、これだけではありません。なんと切断した体が復活し、また切断されます…。お前の苦しみは一生続くのだ~、とギコギコ。

おもわず顔をそむけるリカなのでした(きょうのわんこっぽく)。

犯罪の真実をみる②

続いて、宗教団体Oの教祖が隠れ家で発見されるまでの一部始終が見せられます。

教祖・幹部信者など、実在の人物を連想させる人ばかり。きわめてノンフィクションに近い内容です。一連のポア、サティアンを思わせる施設での生活、サリン事件…。なんとリカは宗教団体Oの信者でした。施設内で修行中に友人が教祖に犯されるのをみたり、サリン開発や散布をみたり、脱走者がポアされるのをみたり。O事件完全実録映像と言ってもいいすぎでないぐらい、再現度が高いです。それから、施設内での秘め事シーンがかなりいやらしい。石井監督のサービス精神でしょうか。

そして、閻魔大王から粋な計らい。「まだ死刑にはなっておらんが、特別に地獄での裁きを見せてやろう!」と、現実の裁判に先んじて地獄の裁判、残酷ショーの先取りです。教祖以下幹部とウソを報道したメディアも特別登場。巨大ペンチで舌を掴み、グーーンと伸ばしていきます。めちゃのびーーーーる舌。先のポスターのように引きちぎれんばかりに伸ばしていきます。

それから、2mはあろうかという高温で巨大な板を地面に立てて、幹部信者たちを島田珠代の体当たりよろしく、鉄板にジューっと押し付けていきます。全身焼き印押しの刑。ちょっとガンバルマン風でもあります(今の時代にガンバルマンといって誰がわかろうか)。

教祖は特別に処刑台にのせて、アバラが見えるまで全身の皮を永遠に剥いでいきます。ピクピク動く臓器、じわりと噴き出す血グロくて怖いショーが続きます…。

地獄めぐりの終盤

宗教団体Oの真実を見せられたリカは、使者(姉弟)とともに帰路につきます。その最中、地獄には似つかわしくない風体の侍が。なんと『ポルノ時代劇 忘八武士道』の明日死能(丹波哲郎)が特別登場!新文芸坐の2本立て上映がこの組み合わせだったのはそういうことか!

死能は「死ぬも地獄、生きるも地獄」と地獄の鬼たちをズバズバ斬って切断していきます。斬り足らない…といってさまよい続ける死能なのでした。

そうそう、帰り道にカレー事件のHも登場しますよ。

『地獄』の雰囲気が少し伝わりますかね。©大映

本当のボーナストラック

現世に戻ったリカ。気づけば目の前には良い老婆と姉弟の3人組が。どうやらそう時間は立っていない様子。地獄では閻魔大王だった老婆から「人生をやり直せ」、と暗に宗教団体を脱退するよう迫られたリカ。「ではどうしたらよいのですか?」と問うリカに「太陽を拝みなさい!

え!やっぱり宗教だったの?!

ではなくて、どうやら、純粋に太陽のエネルギーを浴びろということらしい。宗教団体Oの信者服を着たリカやそのほかの信者。手を重ね、全員服を脱いで下着をはずし丸出しトップレスになっていき、エンドロール。

おお!明日死能登場以上のボーナストラックがあったとは。それにしても主人公以下、みんながトップレスになり手を合わせ拝んでいくシーンはかなりシュールです。

本作のみどころ

何と言ってもCGなしの特撮スプラッターとして石井輝男監督らしさ全開。それから、実録モノが好きな方にもオススメ。とくに宗教団体Oの再現ドラマは1時間ぐらい使っていたと思います。

ただ、出演者が閻魔大王と明日死能を除いて有名どころがいないし、他の演者さんは演技的にけっこうきついです。その点はテレビの再現ドラマと同じような感じ。出演者の方には申し訳ないが、大根気味の役者さん多数。石井プロダクション制作ということで、自前で用意したということでしょうか。そして、内容が内容だけに全体的に低予算感が否めません。かつての大作と比べるとかなり寂しい印象を受けました。

ですが、内容的には石井輝男監督のやりたいことをやった!というのが伝わってくるし、ファンの方にはこれでいいんでしょう。なかなかフツーの人は手に取らない作品とも言えますから、そういう意味でも好きな方にはオススメの1作と言えますね。

私は学生の頃に本作の存在を知りながらも、”怖いもの見たさ且つやっぱ怖い”で観ることができませんでしたが、この機会に観ることができてよかった!

おまけ

ワイズ出版から丹波哲郎本が発売されるようです。

当方、ワイズ出版映画文庫を知りません…。

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