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稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。
今回は『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection24 天人菊~心を癒す怪談集Ⅲ』を整理!
(CD発売日:2023年6月21日)<MNT-24>

『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズご紹介の24作目。心を癒す怪談シリーズでは3作目になりますね。
それでは、本作の収録怪談をみていきましょう。
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection24 天人菊』
ファン待望の”心を癒す怪談集”の第三弾!
公式ホームページから引用
異彩を放つ『稲川怪談』呼称の所以がここにある…
6エピソードにイメージソングが1曲収録。
なぜか公式ホームページに怪談紹介がない…。そんなわけで、公式ホームページからいつも引用している各話紹介はありません。
いろんな角度から「愛する人を失った」悲哀を座長が優しく語ってくれます。幼いころに父親を失った子供、最愛の彼女を失った男性、一人息子を失った父親、そして戦争で夫を失った夫人…。
あなたご自身のお立場に置き換えたときに、心にグッとくる怪談が必ずあると思います。子なし夫婦の私にとって、『紫色のワンピース』は悲しさと温かさが同居して、何とも複雑な気持ちになってしまいます。
静かに語る座長の怪談。本作こそCDで体験してみてほしいですね。
霧 笛 (2021)
座長の劇団時代の知り合いが語ってくれた、釧路で漁師をしていた父親のお話なんです。
いつの時代も、子供は親が帰ってくるのをずーっと待っているものですよね。霧笛を聞きながら、幼いころのその彼はずーっと漁に出た父親の船を待っていたそうです。
で、しばらくしてその知り合いと再会した際に、漁師を継いだって聞いたんですが、不思議な体験をしたっていうんですよ。
「あの日」と同じように大しけの海の中へ船が引きずり込まれたとき、彼は父親の霧笛を聞いたっていうんです…。
一言コメント(ネタバレ注意)
家業を継ぎ、そして親から子へ命を繋いでいく。人生の目的を考えさせられる、親子の縁を感じる優しい怪談です。
とうちゃんは「あの日」からずーっと海を守っていたのかもしれませんね。そして彼は今日も海に出て、自分の子のために無事に港へ帰ってくるんでしょうね。

追 憶 (2018)
古い木造校舎を地域で活用ために修繕することになって、地元で大工をやっている辰巳さんというおじいさんが数十年ぶりにその校舎へやってきた。彼にとって、懐かしい教室のなかである日の情景を思い出していた。
ひと通り校舎の様子を見て回ったところ、雨が激しくなってきたもんですから、用務員室で一休みすることにしたんですがね。
目が覚めて校舎を歩くとなぜか教室に灯りがついていて…。
一言コメント(ネタバレ注意)
主人公である辰巳さんと、教室で出会うあきこちゃんの関係が次第に明かされていきます。
不思議なお話なんですが、同じ境遇の方がいらっしゃれば、きっとあなたの心に寄り添ってくれる素敵な怪談だと思いますね。
あまり多くは語らない方が良いでしょう…。ぜひ聞いてみてください。

紫のワンピース (2003)
付き合い始めて3年が経って、そろそろ結婚を考えていた若いカップルの話なんです。彼の仕事も一人前になってきて、それじゃあご両親にあいさつを…と思っていた矢先、彼女が病気になってしまった。癌だったんですね。
そして彼女は亡くなってしまった。一人残された彼は、なかなか気持ちの整理がつかない毎日が続いたんですが…。
一言コメント(ネタバレ注意)
わたしにとって「心を癒す稲川怪談」史上No.1のお気に入りなんです。
私は子もいなければ小さい子を亡くしたこともないし、幼い時に両親を亡くしたわけではない。なので自分の身に置き換えてみて、このお話が一番今の自分の状況と似通っていて。
自分ごとに置き換えてみると、かなりグッときてしまいますねえ。
気持ちの整理がつかない彼の気持ちは痛いほどわかる。そんなときに最愛の女性があの世から声をかけてくれるなんてね…。なんと優しい怪談なんだろう。
彼女は帰ってこない。でも彼女は彼のことを精いっぱい見守って応援しているんですよね。そんな彼女もまた、さらに愛おしくなってしまいますね…。
気持ちを切り替えて前に進んでいけるように後押しをしてくれる彼女…。考えただけで泣けてきます。
しんみりしたところでブロガーっぽいことを言っておきますと、本怪談はCD『怖いから聞かないで惨』にも収録されています。
そちらは各社サブスクサービスで聞くことができます。比較的聞く環境が整っていると思いますので、ぜひ調べてみてください。

分 身 (2020)
小学2年生の授業参観日。子供たちは後ろにお母さんが立っているのがわかって、みんなそわそわしていた。だけど彼女の母親は6か月前に亡くなっていて、そこにはいない。
振り向くとそこには母親の着物を着た中学生の姉が立っていて、どうやら彼女を気遣って見に来てくれたらしい。家族なりに母親を失った悲しさをこらえながら懸命生きていたが、一周忌の日に離れ座敷に現れたのは母親だった…。
一言コメント(ネタバレ注意)
この話、怪談というかSFというか。まさに藤子F不二雄のいうところの「すこしふしぎ」なSFかもしれませんね。
分身というタイトル…。お姉ちゃんが亡きお母さんの代わりに古い着物を着て参観日に来てくれた。
確かにこれも分身なんですが、こちらはミスリードであって最後まではらはらさせられる、家族愛にあふれた心温まる怪談です。
主人公が母親を思うあまりに起こしてしまった時空の歪み…ということなんでしょうかね。

五月のゆりかご (2009)
新宿で偶然出会った座長の古い友人。買い物帰りにちょっと一杯やってくことにした。次第に亡くなった息子さんの話題になったんですね。
イギリスへ留学していた息子さんが「5月には帰るから」と便りが届いていたんですが、予定とは違う真夜中に突然帰ってきて…。
一言コメント(ネタバレ注意)
一番の親不孝というのは、親よりも自分が先に亡くなってしまうことだとよくいいますよね。
この怪談は、女房に先立た父子2人暮らしだった家族の再会が叶わなかった悲しい話ですが、父親が息子を想い続けるどこか美しい怪談のような気もしますね。
稲川怪談分析的な目線でいうと、「遅れてきたマネージャー」に近いところがあります。
それにしても「五月のゆりかご」というタイトルと本作の内容があんまりリンクしないような気がしますが、どうなんでしょうか。

天人菊 (2019)
太平洋戦争末期、神風特攻隊が飛び立った喜界島では、ある時期に咲く赤い花のことを天人菊と呼ぶそうです。
その花は天の人になる菊と書く…。国のために命を捧げた彼らの一生と重なる花の名前ではありませんか。
戦争が終わり平和な世の中になりましたが、この空港に毎年訪れる恒例の女性がいるといいます…。
一言コメント(ネタバレ注意)
特攻に飛び立つ者と残される者。
本当は死地に向かう兵士の方が大声を出して泣きたいぐらいだろうに、いつも涙を流すのは待人になる女性なんですよね。
そしてこのご老人は、戦前世代には珍しく生涯独身を貫いたようですね。結婚の契りも交わしていないのに一途すぎるじゃあないですか。
それだけ濃密な関係が日を過ごしたのかもしれませんが、いまのきっと天人菊になって、彼はそこに生き続けているのかもしれませんね。

Theme song 天人菊 (歌:樋口 舞)
「赤い半纏」に続き、ミステリーナイトツアーでは2曲目となる樋口舞さんが唄く怪談テーマソング。
樋口舞さんはミステリーナイトツアーの冒頭MCで登場する女性ですので、お見かけになった方も多いはず。透き通るようなミドルトーンで歌う鎮魂歌ですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin24!
本作はとにもかくにも「紫色のワンピース」が激オススメ!その他さまざまな親子愛をテーマにしたが多く、心を癒す怪談集の神髄極まれりといったところ。
ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。引き続きお付き合いくださいね。
それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。

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