【謎の改悪展開あり】稲川怪談原作のオムニバス映画、稲川淳二他が監督を務めた『心霊』を観た!

稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。

今回は、我らが座長が監督を務めた映画『心霊』を整理!

まさかamazon primeで出会えるとは思ってなかったので緊急的に取り上げます!

いささか興奮しております!

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いつ見放題じゃなくなるかわからないので、イナジュンフリークは急げ

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映画『心霊』

本作は、稲川淳二自らが見聞きした怪異談を映像化したオムニバス映画です。

企画・原案だけでなく、一部座長自身が監督も務めています。稲川怪談の中には、座長自らがメガホンを取った作品の撮影中に起こった奇妙な体験談もありますよね。ですけど、実は座長監督作品を視聴するのは初めてだったんです。

「旧日本軍の病院」「サーファーの死」「首無し地蔵」の3作品を映像化したオムニバス映画になっています。。そのうち座長は「首無し地蔵」の監督を務めたようです。

自他共に認める”霊界案内人”稲川淳二。その彼が、その集大成として完成させたのがこの「心霊」だ!自身数え切れない程、見たり聞いたりした霊体験の中から、厳選した最も恐ろしい3つのストーリーを映画化。●第一話「旧日本軍の病院 ●第二話「サーファーの死」●第三話「首なし地蔵」

amazon prime videoの紹介文から引用

稲川怪談マニアの方であれば、「あ~アノ怪談ね」とすぐにピンとくるとは思うのですが、「旧日本軍の病院」とはどの作品を指すのか。私はてっきり、病院地下のモーター音が【ぶち殺せ~】に聞こえてくる「殺意の病棟」が原案化と思ったのですが、まったく想像と違ったものでした…。

それから、すべての作品に稲川淳二本人がストーリーテラー的なモブキャラで登場します。これも一つのお楽しみ要素ですね。

それぞれの作品のストーリー紹介は、MOVIE WALKER PREDSSというWEBサービスが詳しかったので、内容が知りたいという方はチェックしてみて下さい。

https://moviewalker.jp/mv27914/

本ページでは稲川怪談マニアからの視点で、1話ずつツッコんでいきましょう。(ツッコむの!?)

「旧日本軍の病院」

稲川怪談がベースになっているのであれば、こんな話聞いたことない…。私の勉強不足なのかもしれませんが、ウーン。この話に遭遇したことないなあ。ほんとに稲川怪談なのかな。

冒頭、座長は病院の入院患者として屋上に登場し、病院のイヤ~な話を始めます。ちょうど交差するように、車いすを押された老婆がカットイン。戦中からある病院の生き字引だというこの老婆、新人看護婦が初夜勤の日を狙っては、この病院のタブーを語って、看護婦たちを恐怖の世界に引きずり込みます。なんという悪趣味なバーサン

看護婦は病院に焼き付けられた戦中当時のむごたらしい情景を、フラッシュバックするかのように体験していきます…。ついには手術台に縛られてしまい、大勢の死者が取り囲む中、大鋸で体を切られそうになります…。実はこの病院、戦中に中国人たちが人体実験を受けていた病院だったのです。

老婆が中国語を話すシーンがあることから、老婆は中国人の生き残りで、若い日本人看護婦に復讐しているのか…。それとも、当時病院で働いていたため少し中国語が話すことが出来るのか…。であれば、なぜ新人看護婦に恐怖体験をさせようとするのか…。

いやいや、ハチャメチャストーリーなので、老婆がなぜ看護婦にそんな話をするのかを論理的に考えても仕方ないかもしれませんね(笑)それにしても、わざわざ初夜勤の日を狙って恐怖のどん底に叩き落すとは、この老婆はかなりの計画犯ですな。

戦中の人体実験の映像は、ごくごく一部スプラッター的な表現がありますが、なんだか80年代ヘビメタバンドのPVみたいなチープさで、今だとギャグに見えてきてしまいますね。ある意味では時代感がわかって面白いともいえます。

「サーファーの死」

このタイトルといったら、例の”坊さんでサーファー”のアノ話しかないでしょう!

「海に潜む者」「長い死体」の名称でおなじみの稲川怪談のド定番

さあ、どんな風に映像化するのかな…と思ったら、いきなりラッキースケベシーンからスタート。浜辺でイチャつくカップル、女性がスッポンポンになって男性にまたがり騎乗位に…。横に置いた帽子が飛ばされて、追いかけるように裸のままで海のなかへ入っていくと、何やら海中に潜んでいるものが…。

Vシネマ的なサービスカットなのかもしれませんが、このスケベシーンいりますか?!

次のシーンではサーファー4人組が車で海に向かうシーン。お!ついにきましたお馴染みの展開。1人女性が混ざってますが、まあ話にはそう影響ないでしょう。

レストランに着くと、稲川怪談通り1人だけ水がこない。なのに、そのあとカレーがこないシーンは存在しません…。

いやいや、水がこないだけなら、そんな場合もあるでしょ。店員さんがうっかり数え間違えたってことも当然ありますよ。水もこないしカレーもこないから、「お前存在感ないんじゃないか?」という件に繋がるわけで…。それだったら、水がこない演出はいらないんじゃないかね。

実は、ここまでの映像をみるの時点で、既に雲行きが怪しいんですよね…。単刀直入に言うと、既に面白くないし、このまま面白くないまま終わる予感がプンプンします…

冗長すぎる”虫の知らせ”のような展開がずーっと続いて、危機を察知する・予知するような役者の演技がひたすら長い…。このダラダラ感は終始「サーファーの死」のオチがくるまでずっとです。

稲川怪談原作「サーファーの死」は、死体が長かった理由というのが物語の根幹でした。ですがこの映像版は死体が長いことに全く触れられていません。それなのに、なぜか安置所では床に置いてあるという妙な徹底ぶり。核心に迫ることなくダラダラ~と物語が進行します。

死体に婆さんがしがみついているというのは原作通りですが、この婆さんはなぜか役者が演じているのではなくて、なぜか精巧にできた砂かけばばあそっくりの人形!

令和の時代に皆さんに通じるかわかりませんが、「ダウンタウンのごっつええ感じ」の殺人事件シリーズに出てくるガイシャぐらい精巧で、ほんの一瞬しか登場しないのに、無駄に金がかかっている!悪い意味で!

警察もなんか偉そうで、死体の確認をお願いするのにそんな高圧的な態度取るかなあ。各役者の演技プランもちょっと理解できないですね。(豆知識:子役時代の山下智久が出演してるんだって。)

そしてラストシーン。死体確認の時系列と同時進行的に、4人組のサーファーの1人が夜の海へ泳ぎに行きますが(これも原作とは違う点)、そこでは海中から彼の足を見上げる”何かが”…。

って婆さんが発見された後もその海中からの目線があって惨劇が続くのであれば、「海に潜んでいる何かが次々に人を襲っていく」話やん!

原作通りに進行すべきだとは思わないんですよ。オリジナル要素があったって良い。だけど、「死体は長くて2つだった。死体には数日前に行方不明になったバーサンがしがみ付いていた」っていう怪談の肝の部分がまったく活かされていない。これは改悪といってもいいんじゃないですか。原作の良いところを活かさないのに、座長がバーテン役で登場するところなんかは、妙に原作準拠なんだよなあ…。

これでは稲川怪談の映像化!ではなくて、稲川怪談をモチーフにしてアレンジしたホラーストーリーですね。(製作陣は、はなっからそういうつもりなのかもしれませんが)

「首無し地蔵」

こちらも稲川怪談マニアの方にはお馴染みですね。別名「地蔵のたたり」。

こちらは座長が監督している作品で、3作品のなかではもっとも原作に近く、あまりツッコミどころはありません。そして、全編にわたって「とおりゃんせ」を背景音楽にして、母親の狂気じみた演技も相まって、かなり怖い演出になっています。3作品の中でも1番怖いんじゃないかな

ちょっとした冗談話が発展してしまい、仲間が反物をくれるという約束で、乳飲み子を連れて一人お地蔵さんまで行って帰ってくることになった貧しい小作農の親子。子供の病気を治すためにお金が必要と、危険なミッションに挑むことになりました。

お地蔵さんまでたどり着き、証拠に前掛けを持っていこうとする(原作)も、うまく取れなかったためか、なぜかお地蔵さんの頭をひきちぎって持って帰ることに…って石を引きちぎるってどんな怪力や

お地蔵さんまで行ってきた証拠を手にしましたが、まさに”行きはよいよい帰りは怖い”とおりゃんせ状態。謎の声から「おいていけ~」と再三忠告されるも、無視してお地蔵さんの頭を抱えて集会所に戻ってきた母親。

待っていた仲間に「ホレ!」と差し出しましたが、それはお地蔵さんの頭ではなくて、皮がはぎとられ顔の筋肉がむき出しになった、実子の生首だったのでした。

この母親、だんだん鬼に取り憑かれたように狂気の表情(とメイク)になっていくので、かなり怖いです。子供のころに見たらトラウマになっちゃいそうですね…。

この作品はかなりシンプルなストーリー構成なので、その分映像の怖さが引き立っています。それから、座長は古びた旅館の語りべ亭主で登場します。

まとめ

稲川怪談のおもしろさと座長の語り口との掛け合わせがいかにすごいか、再確認させられました(笑)残念ながら、本作は原作の映像化という点でも、ホラー映画というジャンルでみても、おもしろい仕上がりとは感じませんでしたね。

そう考えると、映像作品より座長の語りの方がよっぽどおもしろいっていうのも皮肉なものです。

稲川怪談の中で、座長が監督を務めた作品の撮影中に、押入れの中で心中した学生と遭遇する話がありましたが、そのお話しはまた別の映像作品のようです。続編(?)の『心霊Ⅱ』や『心霊スペシャル』も気になるところ。引き続きamazon prime videoに期待しましょう!

それから、「稲川怪談で映像化したらおもしろそうな話」を考えてみるのも良いですね。

今日のところは思いを巡らせつつ、またいつか。

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