稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。
今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection7 ねんねこ坂』を整理!
(CD発売日:2007年6月8日)<MNT-07>
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ
同シリーズ7枚目の作品。
稲川怪談には不思議な話や癒やしの話などもありますが、本作にはとりわけ「直接的な恐怖」が多いような印象ですね。
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection7 ねんねこ坂』
MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト 初期の代表作”死の旅館 ~夜汽車にて~”、そして記憶に新しい”ねんねこ坂”、 “グランドの女”を含む最恐傑作集! ツアー15周年、そして「怪談還暦」にふさわしい名盤完成!
公式ホームページから引用
公式の説明では最恐傑作集!とありますが、本作にはたしかに恐怖におののく話がたくさん収録されています。
「ねんねこ坂」は実際にある怪談スポットが舞台になった地縛霊の話、「炬燵」は使ったことがある人なら一度は考えたことがありそうな日常に潜むヒヤッとした恐怖を、「青森の美容院」は死してなお生前の想いを遂げようと現れる悲しい霊、そして「グラウンドの女」は究極のストーキングと…。様々な恐怖バリエーションでリスナーを追い込んでいきます!
そして、オールドファンにはうれしい「死の旅館~夜汽車にて~」のMNTツアーCD化!こちらも直接的な恐怖を扱った作品ですが、とにかく”怖い”話が集まった1枚だといえるでしょう!
本作、『~Selection7 ねんねこ坂』の収録話は以下の通り。
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・稲川淳二の怪談 MYSTERY NIGHT TOUR Selection BOXシリーズ
(ベストアルバムBOXにようなもの)
ねんねこ坂 (2005)
いつしか土地の人はこの坂を「ねんねこ坂」と呼ぶようになった…。
公式ホームページから引用
ふたつの時代と異なる場所、時空を超えた恐怖を体感して下さい。
千葉県にある悲しい謂れがあるという坂道。地名や道路名称ではないんですが、地元の人はそこを「ねんねこ坂」と呼ぶんだそうですよ。
昔、ねんねこで赤子を背負った母親が、ヤクザ者の亭主に突き落とされて、坂道から転げ落ちて谷底まで落ちていったっていう出来事があったそうなんです。
また、別のお話なんですがね。静岡であったというホテルへ続く坂道で起こった恐怖話がありましてね。
不思議とその2つの話が繋がっていくんですよ…。
一言コメント(ネタバレ注意)
このお話の冒頭、座長の心霊探訪は考古学に似ているんだ、と心境をお話しくださいます。いろんな人に怖い話を聞いて回っているけど、それだけでは怪談にならないんだ、と。
いろんな土地でいろんな話が集まっていくうちに、次第にお話の輪郭が見えてきて、一見関係の無さそうな話の一つ一つが繋がっていき、そして残されたピースが埋まっていくとね、ひとつの怪談になっていくっていうんですよ。
まるで考古学で埋没されている遺跡や土蔵品を発掘しているような感覚だっていうことでしょうかね。
この「ねんねこ坂」は、そんな怪談発掘作業が結実したお話、といえますね。
そして、座長の”幽霊の声”はかなり恐ろしくて気持ち悪いです(笑)そんな意味でも恐怖を体験できるお話になっていますよ。
また、心霊系YouTuberなんかが「ねんねこ坂」をドライブする映像なんかをUPしています。
そこが本当のねんねこ坂かどうかはわかりませんが、怪談にもある通り<廃ホテルと公衆電話ボックス>が特定の手掛かりになることは間違いありませんね。
気になる方は動画を探してみてください…。
炬燵 (2004)
とある地方の旅館での出来事。 出張先の宿はよく選ばれた方が良いかもしれませんね。
公式ホームページから引用
東北地方に出張で出掛けていった、中堅の食品会社に勤務する小田切さん。仕事はすべてうまくいってね、夜は取引先と合流してちょっと一杯やることなったんですよ。
なんですが、仕事が終わって緊張がほぐれたせいか、少し熱っぽい。体調が優れないもんだから、残念ながら後輩2人を見送って、宿で留守番をすることになったんです。
部屋にはちょうどいい炬燵(こたつ)があって、寝るには早すぎるんでね。横になってゴローンとしていたら、次第に寝ちゃったんですよ。
どれくらい時間が経った頃か、部屋に寒い空気が入っていて、てっきり後輩が帰ってきたんだと思ったんですがね…。
一言コメント(ネタバレ注意)
電気こたつを使ったことがある方なら、きっとこの恐怖は共感できるはず。
寒い夜、こたつからでるのもおっくうですから、そのままでズボラに生活したりしますよね。
そんなときに、誰かの冷た~い手で、ギューっと握られたら…。
できれば同じシチュエーションを再現して聞いてみてください(笑)
青森の美容院 (2006)
雪国での出来事は何故だか幻想的な感じがしますね。 怖さよりもなんだかノスタルジックな…、そんなお話しです。
公式ホームページから引用
ずいぶん前の話になるんですが、年明けにおきた青森のとある美容院での出来事なんです。
町場へ出た若者たちが久しぶりに帰省してきて、同窓会や成人式に備えたカットやヘアメイクで大忙しだった、その土地に1件しかない美容院なんですがね。
年末から続く予約でその日も大盛況、最後の客が終ったのが21時頃。店じまいの支度をしていると、店の外に立っている女性がふっと目に入った。
「今日はもう終わったんです、ごめんなさいね」
そういって断ったんですが、実はその日、もう1人予約があったんです。
いや、その人は不慮の事故で亡くなってしまって、来ることができなかったはずなんですが…。
一言コメント(ネタバレ注意)
この話は、怖い話ではあるんですけど、ずいぶんと切ないですね。
若い女性がクラス会に向けてヘアカットと着付けを予約していたんですけど、ガス爆発に巻き込まれて亡くなってしまった。
それでもなお、予約していた美容院にやってくる。クラス会を楽しみにしていたんでしょうねえ。
そうそう、この話はよくある主人公気絶ENDではあるんですけど、夢か?幻か?…いや現実だった!というオチがついています。
Youtubeチャンネル「遺言」
このお話も稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」にも上がっていますよ。
グランドの女 (2005)
これは”怪談”と言えないのかも知れません。 聞いて頂いた皆さんにご判断して頂きたいと思っております。 ただひとつ言えること…本当に怖いですよ…。
公式ホームページから引用
この物語の主人公は、実業団野球のピッチャーである足立さんなんですがね。
ある日の朝、自宅の電話が鳴った。奥さんが対応したんですけど、「サトコが亡くなりましたと、お伝えください」という妙な電話。名乗りもしなければ、誰にあてた伝言なのかもわからない。朝っぱらから陰気な電話だったんですが、その時はそれで終わった。
次の日、野球の練習を終えた足立さんと同僚が、いつもグランドに来ている女が目に入った。誰かが目当てのファンらしいんですが、不気味に「ニタ」っと笑った…。
急にかかってきた謎の電話、そしていつもグランドに来ている女。
この後、足立さんに信じられないような恐怖が襲い掛かります…。
一言コメント(ネタバレ注意)
お話の本編に入るまでに、淳二稲川から各種の注意事項が入ります(笑)
これはもしかすると怪談とはいえないのかもしれない。また逆にこれが、怪談なのかもしれないんですが…。
断片的に、起こった出来事のみが語られていきます。何がどうなってこうなってというストーリーや理由がまったくわからず、お話としては成立していないのかもしれないんですが、以前紹介しました「笹塚のマンション」に似て、憑依系怪談といえばよいでしょうかね。
猟奇趣味の女による究極のストーキング、といえば少しはわかりやすくなるかもしれません。
死の旅館 ~夜汽車にて~ (1994)
北の大地を行く夜汽車にゆられている時に聞かされたお話しです。 初期の代表作のひとつと言っても過言ではないですね。
公式ホームページから引用
もはや説明不要かもしれません。稲川淳二ザ・ベスト怪談に必ず入選するであろう、オールドファンも新規ファンも納得のこのお話。
流氷を見に行くロケのために、テレビ関係者と網走へ向かう夜汽車。その車中で居合わせた若い女性2人組から聞いたお話なんですが、本当は4人で来るはずだったという…。
「友人は幽霊に殺されたんです」
日本海に臨むある廃旅館に蠢く2つの人魂にお気を付けください…。
一言コメント(ネタバレ注意)
いくつもの媒体で語られている定番怪談。もし未聴の方がいらっしゃれば、最近になって公式YouTubeチャンネル「遺言」でついに語られましたので、そちらをチェックしてみてください。
聞きやすい手段でいうと、
・音源『ホントに怖いから聞かないで』
・音源『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection7 ねんねこ坂』
・稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」
いずれかがお手軽かと思います。
特に、公式YouTubeチャンネルでは、この夜汽車に同席していたディレクターとの思い出話から始まって、その流れで「死の旅館」本編が語られており、最後はちょっとしたオチも付いているというまさに完全版です。
このオチは音源には入っていませんから、ぜひYouTube版も楽しんでみてください。
アツコアツオおすすめバージョン
懐古主義といわれそうな気がしますが、個人的には断然『ホントに怖いから聞かないで』版がオススメ!
90年代の稲川怪談独特の疾走感と、何をいっているのか聞き取れない早口でまくし立てる勢い中心の語り口がすごく心地いい。
微妙な言葉の違いですが、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection7 ねんねこ坂』では決め台詞が「今度はあんたの番だ”よ”」になっていて、『ホントに怖いから聞かないで』では「今度はあんたの番だ”ね”」と語尾が違っていたりします。これ、”ね”の方が感覚的にすごく恐怖が増した気がするんですよ。
それから、『MYSTERY NIGHT TOUR~』版では友人の死を確認するシーンが冗長で、テンポとグルーブ感重視の『ホントに怖いから聞かないで』版と比較すると、まったく印象が異なります。
さらに女性を助けることになるタクシーの運転手のキャラも違っていて…『ホントに~』版の方が追いかけてくる霊と逃げるタクシーのスピード感が素晴らしく再現されています。
そんなことで何を熱く語っているんだ!と思われるかもしれませんが(笑)聞き比べも稲川怪談の楽しみの一つであって、皆さんの好みも様々でしょうから、可能であれば同じ話でもバージョン違いを探して聞いてみてほしいですね。
『ホントに怖いから聞かないで』は、2023年7月現在 Amazon Prime music(仕様による残念ながらシャッフルで探すことになります)及びAmazon Music Unlimitedで聞くことができますので、興味がある方はYouTube版と比較されると、かなり楽しんでいただけるはずです!
Youtubeチャンネル「遺言」
何故か語られなかった大定番がやっと!
公式YouTubeチャンネルに登場しました!
さいごに
いかがだったでしょうか?
ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin7!
とにもかくにも「死の旅館」が収録されているこのCDアルバムの存在感はデカいです。やや印象薄な「炬燵」もありますが、どれも恐怖度マックスな怪談ばかりです!
ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。
それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。
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