集団リンチに遭い絶命した坊さんがあの世から舞い戻る…『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection5 にわか坊主の怨み』

稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。

今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection5 にわか坊主の怨み』を整理!
(CD発売日:2006年6月2日)<MNT-05>

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『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ

同シリーズ5枚目の作品。公式の説明によると、クラブチッタで行われる深夜公演のみでしか語られていない話を収録した番外編、だそうです。

だけど、今となっては全然”番外編”感がないですね(笑)

現時点において、稲川怪談の代表怪異談といえるものはないかな?という気がしますが、実体験も交えたものや関係者が体験した話、そしてお馴染みの茨城の友人に聞いた話も収録されています。

それでは、1話づつお話を確認していきましょう。

本作、『~Selection5 にわか坊主の恨み』の収録話は以下の通り。

※本作は怪談に関する公式による短い紹介文が見つからなかったので掲載できませんが、ご了承ください。

『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection5 にわか坊主の怨み』

MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト 番外編。 毎年末、稲川のフランチャイズであるクラブチッタで行われる一夜限りの深夜公演。 待望のセレクション第5弾は、その冬公演でしか語られていない”稲川怪談”をセレクト!

公式ホームページから引用

年末恒例のクラブチッタ公演で語られた怪談のみを集めたものということで、すべてのタイトルに”冬”とついています。

Mystery Night Tour
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笹塚のマンション(2005冬)

録音スタジオで収録中にばったり出会った、元アナウンサーのMさん。仕事の帰りにMさんと、Mさんの友人、座長のマネージャーも交えて食事に行くことになったんです。

仮に、友人を北川さんとしておきましょうか。その北川さん、住んで半年になるマンションでおかしなことが起こるっていうんですよ。物の位置が変わっていたり、ズレていたりする。無くなってるわけじゃあないんですけど、人の気配を感じることがあるらしい。

で、この後、Mさんは北川さんが住んでいる笹塚のマンションに帰る、今日はMさんも一緒に泊まるっていうんですよ。座長の帰る方向と同じだったんで、車でMさんと北川さんの2人をマンションまで送っていくことになった。そのマンション、小さいんですが綺麗なマンションなんですよ。

「寄って行って下さい」って北川さんがいうもんですからね。こっちも好奇心がありますから、彼女の部屋に行ってみた。良い部屋なんですが、何気なく北川さんが映っている鏡をみていたら、妙な違和感があった。彼女はショートヘアの赤髪なんですが、鏡に映っているのは長い黒髪だったんですよ。

ふっと一瞬、北川さんの頭にもうひとつ、黒い髪の頭があるのがみえたんです。いやなもんみちゃったな…その日はそれで終わったんですがね。それから北川さんのこと、気になってたんですよ。

後日、北川さんの部屋に泊まったMさんから連絡があって、その夜に妙なことがあったっていうんです。聞いてみると、その部屋には、かつて大家さんの娘さんが住んでいたようで…。

一言コメント(ネタバレ注意)

大家さんの娘は海外に行ったきりになっていて空き部屋になっているということで、北川さんはその部屋に入ることになったんですがね。

どうやら娘さんは、海外で事故か何かに巻き込まれて亡くなったらしいんです。大家さんは、亡くなった娘のように若い女性に入居してほしい、ただ単純にそう思っただけかもしれないんですが、どうやら北川さんに亡くなった娘さんが取り憑いてしまったようですね。

だんだんと、北川さんに重なるように憑依してしまって、ついには北川さんは海外に行ったっきり、行方不明になってしまいます。どこの国へ行ったのかもわからない。

大家さんの娘も、海外で亡くなっていますよね…。北川さんもそれを追うように海外へ行ったんでしょうかねえ。

はっきりしたことは何も語られないんですが、関連を想像せざるを得ないシチュエーションで、不思議な気持ちになる、ちょっと奇妙なお話しです。

ドッペルゲンガーとかそういう類ではないんですよ。これは一種の憑依なのかもしれませんねえ…。
稲川淳二メモリアル「遺言」

公式YouTubeチャンネルでも語られています。※サムネとタイトルが一致しないんですけどね(笑)

旧伯爵家の別邸(2005冬)

座長の友人が、仕事先で心霊スポットの話を耳にしたんです。座長のライフワークである「心霊探訪」の役に立つかな、ちょっと情報を集めてみよう、そう思ってくれたんですね。

仕事が終わって、海と丘に挟まれた県道を車でずーっと走っていくと、脇に入る道があって、さらに進むと、噂に聞いた「旧伯爵家の別邸」という大きな西洋館があるっていうんですよ。

その方面に向かっていたんですが、周りに商店がないような地域。で、たまたま見つけた食堂に入って食事をとった際に、例の「旧伯爵家の別邸」の場所を聞いたらば、すぐそこにあると教えてくれた。おつりとレシートを受け取って、再び車を走らせて県道の脇道を見つけると、さらに進んでいった。

しばらくすると小高い丘の上に、大きな屋根の西洋館を見つけた。なかなか絵になる景色なんですよ。あたりはもう暗~くなっている。このあたりから、携帯電話で写真を撮っておくか、と携帯電話を探したんですが見当たらない。どうやらさっきの食堂に置き忘れてきたらしい。

見ると近くに公衆電話ボックスがある。友人はそこから、レシートを頼りにさっきの食堂で電話するんですが、ここから思いがけない恐怖体験をすることになってしまいます…。

一言コメント(ネタバレ注意)

心霊スポットの「旧伯爵家の別邸」。

実は、そこに向かうトンネルの前にある、公衆電話ボックスが本当の心霊スポットだったようです。

友人は電話ボックスの中から食堂に電話を掛けながら、薄暗いトンネルから歩いてくる妙な女が目に入ったところで、食堂のオヤジから「そこが心霊スポットなんですよ!」と言われてしまいます(笑)

トンネルの中で轢き殺されて、公衆電話ボックスまでやってきては電話をしている女性の姿を、何人もの人が目撃していたようです…。

座長の友人による、見事な心霊探訪でした!

薄暗いトンネルの中から、灯りもつけずに、血に染まった女が歩いてくるんです…

二軒長屋(2004冬)

ラジオ局で務めていたAさんから久しぶりに連絡をもらった。5月の連休、近畿地方の河川敷で、ラジオ局のイベントを開催するから出演してくれないか?って依頼を受けた座長。Aさんとは仲が良かったこともあり、仕事を受けることにしたんです。

そのイベントでは、ラジオの公開放送をする演者のステージがあって、ちょっとしたゲームや露天もある、アドバルーンが上がっていて、花火の音もしている。ラジオ局主催のお祭りですよね。

5月連休の初日、3つあるステージの1つに座長が出演して、ラジオ番組の方も無事に終わった。5日連続のイベントなんですが、座長は初日のみの出演だったんですね。ともあれ出番が終ったわけです。

後日、そのAさんからお礼の電話があった。で、実はあの時、怖い出来事があったっていうんですよ。

ステージを仕切っていたスタッフが怖い体験をしたらしいんですが…。

一言コメント(ネタバレ注意)

イベント中、スタッフ3人が資材置き場を兼ねた寝床として、臨時で借りた二軒長屋。

屋根は一つで、長屋の間を壁で仕切っていて”二軒”になっていたんですが、かなり長い年月誰も住んでいないようなんですよ。一方の家は使えないっていうんですが、かつてあった生活感を感じさせるそのままの状態なんです。

あたりは雑木林で覆われていて、だいぶ町場から離れている。埃っぽいし、消毒薬のいやーな臭いもする。一時的な機材の保管と、会期中に寝れればいいだけですからね。

3日目の夜帰ってくると、保管してあった袋や箱が開いている。泥棒か…と確認するも、機材なんかはちゃんとある。シャワーを浴びて布団に入ると疲れて寝てしまったんですが、夜中に赤ん坊が現れるんです…。明かりをつけると、もちろん赤ん坊なんていませんでした。

あとでわかったことなんですが、どうやらこの二軒長屋の隣の1軒で、若い母親が幼い子供2人を置き去りにして、殺してしまったっていう事件があったらしい。

幼い子供は食べるものもなくて、スタッフの袋の中を漁っていたのかもしれません。育児放棄や児童虐待が絶えませんが、何とかなくなってもらいたいものです。

暗闇で、見知らぬ赤子の手に握られたら…。

にわか坊主の怨み(2004冬)

座長の工房がある、茨城県の友人に聞いたお話しなんです。

この土地にやってきたよそ者の男、そこにあるお寺の娘と良い仲になったんです。そのお寺には後継ぎがいなかったので、その男と一緒になって、坊さんになってもらい寺を継いでもらおう、ということになった。

なんですが、この男は根がズボラなのか、仕事もしないし坊さんの修業もしない。にわか坊さんですよね。ついには女房も愛想が尽きちゃったんです。村の住人達も、このにわか坊主のことを邪険に扱うようになっていったんです。

孤立した男だったんですが、そんな時、土地で名の知れたばくち打ちと次第に親しくなった。にわか坊主がばくち打ちと付き合うのも好ましくないんですが、にわか坊主の周囲は敵ばかりですからね。ばくち打ちがいうことを信じてしまって、こともあろうに「よその寺のご本尊を盗む」話に乗ってしまったんです。

ところが、よその寺から盗んでいるところを村の住人に見つかってしまい、罰当たりだと殴る蹴るわの暴行に遭ってしまい、袋叩きに合った後、ついには物置に入れられてしまった。

いたいいたいと、のたうち回って苦しんでいたんですが、だんだん静かになっていった。

翌日になって寺の人間が物置をみたらば、すでににわか坊主は死んでいたっているんですよ…。よく考えりゃあ集団リンチなんですがね、盗人ですし、お寺の先祖代々の墓にも入れなっていうんで、寺の端に埋葬したんです。

しばらくすると、みんなにわか坊主の事は忘れていたんですが、その年の台風の日。

偶然寺の道端を通った村人が、いるはずのない、殺されたにわか坊主が立っているのを目撃してしまい…。

一言コメント(ネタバレ注意)

リビングデッドとなったにわか坊主

「リンチに関わったものを一人づつ殺していく」という噂までたってしまうんですが、その後寺の住職は病気で死んでしまい、結婚した女房は異臭を放ち、体が膨れ上がる奇病にかかってしまった。

そして、バーにいるばくち打ちのところにもやってきて…。

この話、稲川時代劇かと思って聴いていたら、中盤に軽トラックが登場してビックリ(笑)土着的なエピソードでもあることから、昭和30年代後半ぐらいのお話しかもしれません。

甦った坊さんが登場してバッタバッタと復讐していく話ではないので、そうした爽快感があるわけではないのですが、バーでばくち打ちとにわか坊主が遭遇する描写は、なかなか恐ろしいものがあります。

Youtubeチャンネル「遺言」

このお話しは稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」にも上がっていますので、ぜひチェックしてみてください。

撮影事故(2005冬)

テレビ番組っていうのは、以外とテレビ局で撮影することは少なくて、外の撮影所で収録することが多いんです。特に、連続ドラマは慌ただしくて、細かいことを気にしている時間がない。けっこう乱暴なところがあるんですよ。

とある連続ドラマ、アクションシーンがウリなんですがね。東京近郊の資材倉庫で撮影するラストシーンを迎えた。長い間放置されたその倉庫、サビが出てるしスレートの屋根なんかもところどころ穴が開いている。

主人公が血にまみれて死んでいるシーンを撮影するんですが、この倉庫の屋根の上から俯瞰で取ることになったんです。で、助監督のサード、要は助監督の3番手ですよ。監督はそのサードに、カメラ位置を探すように指示をしたわけだ。

階段で登って行って、スレートの屋根にずって上がっていく。ちょうどよい場所を見つけて、本番の撮影場所が決まった。すると、「バリ」という音がして、足場の下の腐った鉄が曲がり始めていき…。

一言コメント(ネタバレ注意)

毎週の放送に追われるように、駆け足でもって撮影していく連続ドラマの現場。危険なことだとはわかっていても、スケジュール通りに撮影を進めていくことを優先されるのは仕方がないのかもしれませんが、助監督のサードは、屋根から転落してしまい、そのまま亡くなってしまいました

それでも、翌週の放送のために淡々と収録は進んでいく。亡くなったサードは、自分がかかわった最後の撮影を見届けるために、あの時自分が登った屋根に、再び登場したのかもしれませんねえ。

稲川怪談アート作品集「稲川美術館」恐怖コレクション

さいごに

いかがだったでしょうか?

ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin5

クラブチッタの深夜公演でのみ語られた怪異談。オススメは「笹塚のマンション」ですかね。直接的な霊現象というよりは、何か起こっていることを示唆するような不思議なお話しです。

その他にも、”前科26犯”でお馴染みの茨城の友人から聞いたという表題話「にわか坊主の怨み」は必聴!

ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。

それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。

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