プロレスやお笑いから面白おかしく言語学を学ぶ『言語学バーリ・トゥードROUND2 言語版SASUKEに挑む』川添愛著

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こんにちは!アツコアツオです。

今回はまさかのシリーズ第二弾登場

川添愛著『言語学バーリ・トゥードROUND2 言語版SASUKEに挑む』を紹介します!

あの日の混沌とした格闘技界を彷彿とさせる、“バーリ・トゥード”というナツカシイ響き!

まさに本書は「なんでもあり」な言語学エッセイ集だーっ!

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言語学バーリ・トゥードROUND2

ふらりと書店を散策していると、平積みされた一際目立つメロングリーンの表紙が目に飛び込んできたんです。

「え!第二弾出てるの?!」

思わぬ手に取ったそれは、言語学者である著者がなぜかプロレスネタを織り交ぜながら、面白おかしく日本語の妙やAI進化の現状を説いてくれるエッセイ集『言語学バーリ・トゥード』の新作、その名も「言語版SASUKEに挑む」。

第一弾『~AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』は実家に帰った時に時間つぶしで読んでいた新聞の書評欄で激オシされていてつい買ってしまったんですが、本書第二弾もスタンド使いが引かれあうように偶然の出会いで遭遇。(本書内でジョジョが話題になっているので一応言っておく)

第一弾は“言語学”というジャンルの書籍では売れに売れたんではないか

ブックオフに行くと、その名も「言語学」というカテゴリーに結構置いていたりする。さながら、どインディー界の佐野直かMMA界のバリッジ・イズマイウかというぐらい、どこにいっても出会う確率が高い

著者からすると古本で購入されてもオイシくないとは思いますが、古本屋でよく見かけるということはそれだけ数が売れた証に他ならないでしょう!

(しかも、読む人を選ぶジャンルですごいことなんじゃない?)

シリーズ第二弾本

今回紹介するシリーズ第二弾『~ROUND2』から読み始めても何の支障もありませんが(そもそもエッセイ・コラム集であり物語の連続性はない)、ただ前作では聞き慣れない東京大学出版会なる版元や連載誌である『UP』について簡単に触れていましたし、さらには著者の自己紹介もあるため、出来れば『~ROUND1』から読むことをおススメしたいですね。

前作と比較すると

・前作より内容がカテェ(お堅い印象)
・プロレスネタ少なめ
・その分お笑いネタ多数
・創作ストーリー多数

というところが私の印象。

プロレス、ジョジョネタ、格ゲー、お笑い…と男子中学生(いつのだよ)が好きな趣味に全方位な川添氏に親近感を感じざるを得ません!

ちょっと難しい話題も多いんですけど、著者の専門分野に関するエッセイですし、連載が東京大学出版会のPR誌という位置づけの『UP』ですから難しい内容なのは致し方ない。

それでいて著者の趣味・嗜好を大きく反映させた本書は、バーリ・トゥード(なんでもあり)でルタ・リーブリ(自由な戦い)な一冊であることは間違いないでしょう!

著:川添愛
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誰に向けた本か?

本書を手に取っている方はどんな人たちなんでしょうか?大変気になるところ。

もちろん、言語学に興味がある初心者の方になじみやすい一冊なのはいわずもがな。

やっぱり本のタイトルにバーリ・トゥードという単語が入っているから、「あの日のプロレスファン」に向けた(刺さる)一冊なんだと想像します。

そう、UFC登場から高田延彦がヒクソンに敗れるあたりまでの93~99年頃のプロレスオタク、それも活字プロレス系なちょっとインテリジェンスなオッサンに向けた一冊なんではないでしょうか?

先にも書きましたが、そういう意味ではプロレス・格闘技ネタ少なめなのはちょっと残念でしたね。

ただ、本書で見逃せないのは「二〇二三年も“行けばわかるさ”」という猪木特集コラムでしょう!(後述)

言語学ってナンダ?!

では、本書の内容をいくつか紹介していきましょう。

ブロガー必読!書くことは畑仕事である

のっけからブロガーの私はMAXボルテージ(©辻よしなり)になってしまった!

「生産者の顔が見える原稿」は、文章を書くことの苦悩が赤裸々と語り整理されていて、その対処法までもまとめられた素晴らしいコラム。

土台を作って(コンディションを整える)種を作り(ネタ探し)、作物(文章)をじっくり育てながら時には休み(寝かせる、醸成させる)全体の仕事を管理するという、文章を書いていくことを農業になぞらえた素晴らしい表現だと感じました。

文章を書く上でのタイパの悪さ、手間やめんどくささい(…おい!)を分かりやすく言語化してくださったなあ…と感心。

本コラムで著者も触れておられますが、すべての創作者は消費者の手に届くまで相当に時間をかけて推敲しながら文章を書いているんだなと、弱小ブロガーながら少し勇気づけられました。

いいんだね、やっちゃって

プオタのみならず2ちゃんねらーにまで知れ渡った、言わずとしれた永田裕志選手の名(迷)言。

「最高にイカすぜ、倒置は!」の章では、我々のよく知る倒置法をプロレス業界の名言を引用しながら解説。

さらには飛龍革命でのやりとりでは倒置法が連発されていることにも触れ、まさにモイスチャーミルク配合!なプロレス者にはたまらない言語学コラムに仕上がっています。(氏が真夜中のハーリー&レイスに出演したことが発端…という背景もたまらん!)

さらにはジョジョに登場する倒置法のセリフも引用し、荒木先生ワールドの独特の妙も解説。私たちが普段なにげなく使う倒置法の世界を面白おかしくまとめてくれています。

言語学に延髄切り!

プロレス者の視点からみて本書でもっとも心を動かされる章は、著者なりのアントニオ猪木追悼コラムと言える「二〇二三年も“行けばわかるさ”」ではないでしょうか。

なんとこのコラム、河合塾の試験模試問題に採用されたというから驚き。(もっと言うと言語学バーリ・トゥードから大学入試の試験問題に採用されることは多いそう)

格闘者としての猪木を万有引力のニュートンや地動説のコペルニクスに喩えて、格闘技界の変革者だったと言います。「闘いの新しいパラダイム」と言えば古館節になりますね。

旗揚げ戦で敗北したこと、異種格闘技路線、巌流島での無観客試合etc…など、NWA的王道プロレスの対極に立ち力道山的反骨のプロレスをひとりで担ったアントニオ猪木の価値創造はたくさんありますよね。付け加えると失敗作も多いことも猪木プロレスの真価だとも思いますが(笑)それこそが「変革」の所以でしょう。実は「革命戦士」よりもよっぽど革命家だったわけですね。

そんな「猪木による新しいパラダイム」を【アリキック】という名称の妙を言語学の視点で紐解いてみせます

本章は言語学サイドよりもプロレス要素強めな内容になっていますので大変読みやすく、アントニオ猪木を失った私たちの心に刺さること必至ですよ!

おもちゃ箱をひっくり返したような言語学コラム

プロレスネタ以外ですと、「あるある」の世界を言語学流に解釈したり、怪しいコンサルとITビジネスマンのやりとりを描いたコント「ミスリーディング・セミナー」(たいへん皮肉が効いていて面白い)、川添愛版の世にも奇妙な物語と言っていい「メトニミーのない世界」(日本語が好きになるか、馬鹿らしくなるかはアナタ次第)など、バラエティーに富んでいてものすごく読みごたえがあります

また、著者はAI分野に強くそちらの世界にも明るいのでそうしたコラムも多数。チャットGPTなど昨今のAI進歩を正しく恐れず理解することができると思いますよ。

ここで紹介していないものもたくさんありますし、ぜひ手に取って読んでほしい一冊なのは間違いありません!

プロレス特化本をぜひ!

先ほど、本書のターゲット層について考えてみましたが、やっぱり購入する方の半分ぐらい、少なく見積もっても3割ぐらいはプロレスファンなんじゃないでしょうか。

本書は『UP』という広報誌に連載されたものをまとめたものですが、いっそのことプロレスネタだけに絞った書下ろしの言語学本を執筆されたらいかがでしょうか?(いや、してくれよ

『言語学ワンダーランド』とか『闘魂!言語学』『言語学、愛してま~す』あたりだと明らかにソチラ向けの本だとわかるし、『ギブアップまで待てない!ワールド言語学』『言語学、正直スマンカッタ!』『目ン玉飛び出る言語学』とか極私的にグサッと刺さるタイトルでもいいですね(良かないよ)。

プロレスラーで独特のセンスで“言葉”を持っているのは長州力だったりしますが、言語学の観点から長州語録を整理してくれたりなんかしたら、「選手のコメント」というプロレスを構成する重要な一面を補足することができるんじゃないでしょうかね。

まあ冗談はさておき、『UP』誌での連載が続く限りは本書続編は刊行されると思われますので、今後も買い支えたいと思います!

言語学バーリ・トゥードは、絶対に潰さん!

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