稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。
今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection8 真下の住人』を整理!
(CD発売日:2008年6月6日)<MNT-08>
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ
同シリーズ8枚目の作品。
当時の最新怪談から古典まで、稲川怪談を幅広くフォローされています。
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection8 真下の住人』
MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト
公式ホームページから引用
好評のセレクションシリーズ第八弾は、冬公演でしか語られる事の無かった怪談が 三話収録。”都市伝説”のような臭いを感じる恐怖をお楽しみ下さい…。
表題作「真下の住人」は恐怖ともの悲しさが混在した悲しいお話ですし、定番の「山田さん話」はどう表現したらよいか悩ましい不思議なお話で、一時期の十八番だった「鬼怒川に架かる橋」もついにCD化!
新旧織り交ぜたバランスの良いCDアルバムになっています。
本作、『~Selection8 真下の住人』の収録話は以下の通り。
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・稲川淳二の怪談 MYSTERY NIGHT TOUR Selection BOXシリーズ
(ベストアルバムBOXにようなもの)
古い指輪(2005冬)
毎年私の公演を見に来て下さる元Jリーガーから教えて頂いたお話です。
公式ホームページから引用
楽屋にご挨拶に来られる度に不思議な体験談を聞かせてもらうのですが、これがまた夏の楽しみのひとつになりましたね。
座長の怪談にたびたび登場する、元Jリーガーの山田さん。
この方のおばあさんが経営するアパートに入居していた、小さい子供がいる3人家族がいたんだそうですよ。山田さんは小学生の頃、この旦那さんがずいぶんかわいがってくれたそうです。
そんな旦那さんが飲み会の晩に体験した、恐怖とはまた少し違った不思議な話なんですよ…。
一言コメント(ネタバレ注意)
筋骨たくましい、プロレスリャー(座長曰く)のような大きな体をした土木作業員の旦那さん。
休憩した建築途中の家屋で、見知らぬ何かに首を絞められてしまう。旦那さんは力でもって命からがらなんとかその手を振りほどいた。
ふっと自分の両手をみると、そこには古い指輪があって、なぜだか握っていたんだそうです。
で、山田さんはそれを見せてもらったっていうんです。
この話、何の脈絡もなくて謎だらけの不思議な話ですよね。なぜ首を絞められたのか、そしてなぜ旦那さんに指輪を渡した/託した?のか…。
そして幽霊という物理法則が通用しない得体のしれないモノから、形あって存在するモノを受け取るという…。
そんなシチュエーションは「数学者のあとがき」にも共通しますね。
いずれにしても、謎と不思議がいっぱいなお話です…。
鬼怒川に架かる橋(1995)
かなり以前のお話ですが今思い起こしてみても不思議な体験でしたね。
公式ホームページから引用
ロケ先から私、連れて来ちゃったんですよ…。
昔、座長が出演した新番組なんですが、ずいぶんいい加減な番組だったそうですよ。なにせやることが決まってないから、適当に街に繰り出して人を見つけて話を聞いて…。
これが意外や意外、バカウケだったそうで。この日もいつものように当てもなくロケ車を走らせていたら、見覚えがある景色と橋があって、どうやら鬼怒川まで来てしまったらしい。
流れでもって、この日は鬼怒川でロケをして、無事に収録が終ったんですが、座長は橋に居つく霊を連れてきてしまうんですよ…。
一言コメント(ネタバレ注意)
座長の初期怪談。しかも実体験ですね。
『稲川淳二の怖~いお話 殺意の病棟』に収録されている怪談ドラマ「霊をつれて」と同じお話。
こういういい方するのもなんですけど、お話としてちょっと弱い(失礼!)。
座長の名調子による楽しいお話から、徐々に怪談になっていくって流れは素晴らしいと思うんですけど、なんていうか、実際の心霊現象になるまでの前置きが、CDで聞くと長すぎるっていうかな…。ずーっと大したことが起きないんです。
ライブによる語りとか映像だったら気にならないかもしれませんが、スタジオ収録CDだと少し違和感がありました。
新番組ロケのお話から番組の内容やお掃除ギャルの話に繋がって、だんだんといつもと違う状況がいくつか続いていくんですが…
①複数台の車が連なってロケに来たのになぜか帰りはバラバラだった
②東京方面に走っていたのに逆方向に向かっていた
③50分ぐらいで帰る距離が30分ぐらいのスピードで自宅に着いた
そんなこともあるだろうし、なんかの間違いじゃないですか?って言いたくなる「異変」なんです(笑)
まあ話のオチである「幽霊を連れてくる」こととの関連性もない様子で。
先の「古い指輪」のような突飛な不思議話ともちょっと違っていて、「その日はなんだか調子が違ったんだな」ぐらいのトピックスにとどまっています。
それから、座長の語るテンションも低めで、なんだかノリきれていないような気がしないでもない。
一方、座長が自宅に帰ってから「矢絣の芸者」に遭遇するシーンはさすがの恐怖描写で、ラストのつのだじろう先生のモノマネが妙に似ていたりします(笑)
雪国の中古車(2007)
運転免許を入手して早々、念願の車を手に入れたわけですが、安いものには何か裏があるのかも知れませんねぇ…。皆さんもお気をつけ下さい…。
公式ホームページから引用
念願だった自動車運転免許証を取得したA君なんですが、こうなれば自分の車が欲しくなりますよね。とはいえ、車なんておいそれと買えるもんじゃあないんですが、友人の知人が安く売りたがっているっていう。
白いボディーの2リッターで、四輪駆動のラリー仕様車だっていうんですよ。いくらなのって聞いたらば、結構距離も走っているから50万円ぐらいでどうだろうかって持ち掛けられた。それぐらいなら買えない金額じゃないですからね、どうやら自分のものになることになった。
ただね、2か月ほど前に雪道に頭を突っ込んで事故を起こしていて、フロントを修理しているっていうんですよ…。
A君、この時点では知らなかったんですがね…。
一言コメント(ネタバレ注意)
あらすじで大体想像がつきそうなお話ですが、そこはやっぱり稲川怪談。A君の初ドライブを臨場感たっぷりに語ってくれます。
座長と一緒に、雪の路面をスリルたっぷりに駆け抜けよう!
ただし、お地蔵さんには気を付けて下さいよ…。
林間学校(2004)
風や水や土のにおいを感じる作品です。謎めいた渕で一体何があったのか…。
公式ホームページから引用
怖さよりも、なんとも言えないせつなさがこみ上げてくる作品です。
小学校の教師をしていた、今は70代になってる和田さんという男性なんですがね。20代の頃に夏休みの林間学校で体験したお話なんですよ。
それはっていうと、児童を引率して景色の良い渓谷に続く谷川で、昼ごはんを食べながら水遊びをしていたんですがね。土地のおじいさんから、底が深くて流れがある渕があって危ないから、子供を遊ばせないようにって注意された。で、さっき小さい子供が一人で遊んでいたから注意しておいたっていう。
気になったんで見に行ったんですが、誰もいない。生徒たちを点呼したら全員そろっている。自分の学校の児童じゃない子が遊んでいたのかなと思って探してみたんですが、やっぱり誰もいない。
児童に聞くと、知らない小さな子供が自分たちに混ざって遊んでいたっていう。そうか、自分が探しに行った時には、自分の生徒たちと遊んでいたんだな。そう思った。
その夜、夕食が終った就寝前。児童から「昼にいた小さな女の子が部屋に来てるよ」って聞かされた。こんな夜遅くですし、昼の事もあるんで気になって部屋に見に行ったんですが、既にその女の子は帰った後だった。
帰るったってもう夜中ですからね、心配になって外へ突っ切っていっていくと、雑木林の奥でチラチラと向こうの方へ動いていくのが見えた。
和田さんが追いかけていく方向には例の渕があって…。
一言コメント(ネタバレ注意)
このお話は、なんともやるせない、救いのない話なんですよ。
実は、その渕には悲しい云われがあったんですね。男手ひとつで女の子を育てていた父親が、母親に次いで病に倒れてしまった。父親は残されてしまう少女の行く末を案じて、心中しようとその渕に身を投げた。
結局、自分だけが助かってしまい死にそこなった父親は、ついには渕を見下ろす太い木に首をくくって亡くなったんだそうです。
女の子は、深く暗い渕の底で父親を待っていて、和田さんはもしかしたら、小さな女の子のお父さんに似ていたのかもしれないですね。
何人いる…?(2007冬)
廃墟になったラブホテル、若い人たちの肝試しにはうってつけの場所ですよね。
公式ホームページから引用
私は絶対にお薦めしませんがね…
本当に幽霊がでるという廃墟のラブホテルに、3人の高校生がやってきた。
このホテルにある2階の端の部屋でもって首吊り死体が発見されていて、その部屋に幽霊が出るっっていうんですよ。
うっそうとした雑木林の中にポツンと建つ廃墟。入り口のドア開いたままになっていて、ロビーには古い自動販売機がそのまま残っていて、たくさんの空き缶が転がっている。
「ここで一人ずつ怖い話をして、そのあと2階の端の部屋へ行って、順番に空き缶を置いてくるっていうのはどうだ?」
A君が肝試しを提案して、一人ずつ例の部屋に行くことになったんですが…。
一言コメント(ネタバレ注意)
このお話は、稲川怪談というよりも現代都市伝説に近い感覚ですね。
妙な出来事が連続して起きてしまうのですが、怖いながらも平然とする主人公たちに対して、クライマックスには最大の異変が起きてしまいます。
このお話のオチは、考え方によってはこの世のものではないものと意思疎通を取れたともいえるんですが、誰もそんなポジティブには考えやしませんよね(笑)
稲川淳二メモリアル「遺言」
公式YouTubeチャンネルでも語られています。
真下の住人(2007冬)
増え続ける集合住宅、えっ、あなたもマンションにお住まいですか…?
公式ホームページから引用
じゃあ聴かない方がいいかも知れませんよ…。
物が増えたんで引越しを考えていたカトウさんなんですが、同じ駅でそう遠くない場所に、いまより広いのに家賃が安いマンションがあって。じゃあってんで引越しすることにした。
1か月ほどした夜中。眠っていると自宅の電話が鳴った。
普段は携帯電話を使っているし、自宅の電話番号を知っている人はそう多くない。夜中の電話ですからね、急を要する内容かと思ってハッと起きた。「はい!もしもし!」
「下のアサノですけど…ヤスコお邪魔してますか…?」
…間違い電話だ。まったく、夜中に眠っているところを起こされて、間違いだなんてたまったもんじゃない。
「うちはカトウですけど、どちらへおかけですか?!」
すいません、といって電話は切れた。
「下のアサノ」っていうから、苦情でもいわれるのかと思ったんですが、間違い電話。ちゃんと番号を確認してから掛けてほしいよなあ。
で、また床についたんですがね、これ間違い電話じゃあなかったんですよね…。
一言コメント(ネタバレ注意)
この話はねえ。目線の置く場所を変えると、とんでもなく迷惑な話と、すごくいたたまれないかわいそうな話が入り混じっていましてね。(まあ他の怪談もそうかもしれませんがね)
マンションに引っ越したカトウさんの真下の部屋は空室になっていたんですが、間違い電話の事を管理人に愚痴ったところから、加藤さんの部屋に住んでいた前の住人と、それから真下の空室にまつわる話を聞いてしまうんですよね…。
自死してもなお、亡くなったヤスコちゃんを探し回る悲しい母親の霊魂が、よなよな加藤さんの部屋に電話をかけてきては、いまでも娘を迎えに行こうとする…。
カトウさんからすると大迷惑な話ですし、管理人からすると加藤さんの部屋と真下の部屋は延々に入居者が安定しない部屋になってしまいますが、小さいお子さんを持つ親なら、胸が締め付けられるお話じゃあないでしょうか。
どうにかして、ヤスコちゃんの母親を成仏させる方法はないものでしょうかねえ。
稲川淳二メモリアル「遺言」
公式YouTubeチャンネルでも語られています。
さいごに
いかがだったでしょうか?
ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin8!
”怖いだけじゃない”稲川怪談らしい「真下の住人」、事故車にまつわる恐怖話「雪国の中古車」が個人的にはオススメですね。
ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。
それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。
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