【古典怪談】『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection19 女王の歩道橋』

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稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。

今回は『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection19 女王の歩道橋』を整理!
(CD発売日:2018年6月8日)<MNT-19>

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『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ

『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズのご紹介の19作目。

本作は2025年2月現在、ほとんどの怪談が公式YouTubeチャンネルで語られていますので、そういう意味では名作粒ぞろいの1枚と言えそうですね!

『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection19 女王の歩道橋』

稲川怪談、初期の名作「女王の歩道橋」。
多くのファンからの長きに亘る要望に応え、ついにセレクションアルバムに登場!

公式ホームページから引用

19作目にしてまさかの「女王の歩道橋」が登場!最初期の名作が収録されるのはとてもうれしいですね!

その他、一人でベシャクシャとしゃべる女に遭遇「一方通行」、古い酒屋の離れで暮らす従業員が遭遇した怪異「造り酒屋の離れ」、にぎやかな現場に集う霊「撮影現場」、寂れた商店で動き回るマネキン「消えた家族」を収録!

「消えた家族」はネタ元の登場人物も面白いし、ストーリーもオチも最高に仕上がっていますよ!

アーティスト:稲川淳二
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一方通行 (2016)

山梨県の高原に建てた終の住処。雄大なアルプスの峰が見わたせる心地よいロケーション。
車一台が通れるかどうかの細い道にあった一方通行の立て看板。
歩みを進めた彼が遭遇したものとは…

公式ホームページから引用

和田さんという男性が、仕事をリタイヤしたら移住しようと思って別荘を建てたんですね。で、最近の楽しみは週末になると別荘にやってきて、大工仕事をしたり庭をいじったり、辺りを散策することなんだそうですよ。

その日も別荘にやってきて、ひと仕事を終えたころにはもうすっかり日が落ちて暗くなっていた。散歩に出て食事をとって、さあ帰ろうかというところで、車が通れるかどうかの細い道を見つけた。別荘まで近道になりそうだったんで、入ってみることにしたんです。

「一歩通行」と書いてあるその道の先、フロントが潰れた放置車が止まっていて…。

一言コメント(ネタバレ注意)

このお話、「一方通行」というタイトルが意味深でおもしろいと思いますね。

和田さんはその細い道の先で、ベラベラと大声でしゃべる夫人と遭遇することになりますけど、その道って、和田さんとは逆の方向からの一方通行で、和田さんは“逆走”していたから異形の者に遭う羽目になったんじゃないでしょうかね…。

その一方通行は、あの世からこの世へ続く一里塚だったのかもしれませんねえ。

ともかく、座長が話すその異形のことば、妖怪語というか宇宙語というか。なんとも不気味で奇妙なことばですので必聴(笑)

夜道、大声で喚く声が聞こえたらあなたは…
稲川淳二メモリアル「遺言」

公式YouTubeチャンネルにもアップされています!

造り酒屋の離れ (2007)

代々続く旧家の造り酒屋。住み込みの使用人として雇った娘が日を追うごとに窶れていく。
彼女は何故か、あてがわれた離れの部屋の壁に張り付くようにして眠っていた。
布団を頭からかぶって…

公式ホームページから引用

とある造り酒屋なんですが、主人が息子夫婦に代替わりすることになったんですね。で、先代が隠居することになると手が回らなくなるんで、新しく親類の若い娘さんに住み込みで手伝いに来てもらうことになった。

なんですが、この娘は体調を崩して辞めてしまって、さらには次に来た若いお手伝いさんも、どんどんやつれていく…。

ある日の朝、仕事に出てこないお手伝いさんに心配した女将が離れの部屋へ向かったら、どうやら寝坊した様子なんです。部屋の壁に布団を寄せて妙な寝方をしているし、部屋を見ると盛り塩がしてあって、前の娘の件もあったもんですからね。

「この部屋に何かあるな」と思った女将は、その部屋で寝てみることにしたんです…。

一言コメント(ネタバレ注意)

その部屋は、先代の姉が病気のために隔離されていた「離れ」だったそうですよ…。

夜な夜な額縁から出てきて歩き回る女は、久しぶりの来訪者にうれしくなってしまったのか。

いや、そうではなくて、彼女の部屋に入ってきた邪魔者を追い出したかったかったんじゃないかと思いますね…。

お手伝いの若い娘さんはとんだ災難でしたね!
稲川怪談アート作品集「稲川美術館」恐怖コレクション
稲川淳二メモリアル「遺言」

公式YouTubeチャンネルにもアップされています!

撮影現場 (2017)

毎年初夏の頃、7月からの全国ツアーのプロモーションのために、各地の放送局にお邪魔するのですが、
そこでは必ずと言っていいくらい、放送用の短めのネタをお願いされるんですよね。
実は怪談を短くまとめるのって結構大変なんですがね…、これもね、そんなキャンペーン用にまとめた短いお話です。

公式ホームページから引用

座長が監督を務める恐怖モノの撮影現場。この手の撮影現場っていうのは夜中だったり樹海だったり、場所や時間の影響もあってか、妙なことがよく起きますよね。

その時は伊豆にある無人の建物での撮影だったんですが、出番を終えた若手俳優が座敷でゴローンと横になって休憩していたんです。

その時、ドン!と誰かにぶつかったんですが…。

一言コメント(ネタバレ注意)

この怪談、5分22秒あるんですけど、短めの怪談という割には長いです(笑)

もっとも、ラジオ局でのプロモーションなんかの時はもっと端折って語られてるんでしょうね。座長の手にかかれば、たぶん5分でも10分でも調整可能なんだろうなあ…。

改めて座長の怪談テクニックに惚れ惚れしてしまいます。

さあ、この若手俳優がぶつかったという謎の正体なんですがね、いよいよ撮影隊の前にも現れてきますよ…。

稲川怪談をAIで再現するのは難しいです(笑)

消えた家族 (2014)

25周年の全国ツアーで舞台セットにもなった私の工房ですがね、
その近くに、長い間親しくさせて頂いている地元のおじいさんがいらっしゃるんですよ。
私が工房へ行く度に、どこからか情報を聞きつけて必ず顔を出して下さるんですがね、
この方がいつも色んなところへ連れて行って下さるんですよ。不思議で怪しい場所ばかりですがね…

公式ホームページから引用

座長の工房は茨城県にあって、怪談ツアーの準備では、その工房にこもってあれこれと作業するんだそうですね。

で、工房に行くといつも「只者ではない」地元のおじさんが、いろいろと楽しい話を聞かせてくれる。その日はある寂れた古い町並みの商店街に連れて行ったもらったんだそうです。

シャッター通りっていうんですかね。昔は賑やかだったそうですが、近くに大型スーパーマーケットができてしまって、ほとんどが空き家になってしまった商店街。

その商店街にある、すでに営業していない家具・寝具店なんですが、わけあって知り合いが鍵を預かっているんだそう。

知り合いから鍵を借りたおじさんがシャッターを開けて、座長と2人で無人の店に入っていった。おじさんは懐中電灯を忘れたと店を出ていったんで、暗闇の店内で座長は一人きりになったんですね。

…営業していない店の中、闇の向こうに視線を感じる。

黒い人影が見えたんですが、どうやらそれは、おじさんが持ってきた懐中電灯で照らして、マネキン人形だと分かった。

そのマネキンは、四人家族の店主が自分たちをイメージして「明るい家族」をテーマに作ったんだそうですが、お店のロゴが入ったパジャマを着させている。

髪の毛が伸びるというマネキンを見ながら、おじさんは店内で起こった不可思議な出来事を話してくれたんです…。 

一言コメント(ネタバレ注意)

これは近年の稀にみる名作だと思いますね。座長が実際に体験(恐怖体験とまではいかないかもしれないけど)しているお話ですし、「消えた家族」っていうタイトルも秀逸ですね。

いや、確かに家族は消えたんだけども、ストーリー的にはあたかも店内に今も家族が住んでいるように感じさせる話であって、どちらかというと「歩くマネキン」とか「マネキンが住む家」なんかが適していると思うんです。

だけど、家族が消えてしまったことによって、マネキンたちが動き出しているような印象を与える「消えた家族」の方が、不気味さが増しているというか。家族は消えたけどマネキンは活き活きとしてますよって思わせる素晴らしいタイトルだと思います。

マネキンと同じパジャマを着た店主が廃屋で死んでいたっていうオチも最高じゃあないですか。理由はどうあれ、そんなミステリーに富んだ最後があるかっていう。

また、登場する前科26犯の名物おじさんのキャラクターも最高

消えた家族の魂が宿って、今でもそこで生活しているんでしょうかねえ…。

国立の踏切 (2013冬)

随分以前のお話なので私も意外だったんですが…、ライブでは2013年の冬公演までお話ししたことがなかったんですね。
TBSの番組スタッフが体験された、かなり危険な出来事でした。 結局、一度も放映されることはなかったようですよ…

公式ホームページから引用

国立と立川の間にあるという踏切なんですが、ここはやけに事故が多いんだそうですよ。テレビ局のロケ車でその踏切を通った際に車が止まってしまったという話から、その踏切で起きた事故の話題になったんですね。

で、そのテレビ局が改めて、終電後の踏切で異常が起きるかどうか撮影してみることにしたんですが…。

一言コメント(ネタバレ注意)

座長が時折お話されるラジオコーナー「出前盆踊り」のスタッフが経験したという怪談ですね。踏切で検証した映像には確かに「何か」が映っていたそうですが、残念ながらお蔵入りしたそうです。

本怪談は最初期の稲川淳二怪談CD『怖いから聞かないで』に収録されている「魔界の踏切」と同じ怪談ですね。座長のテンションや語り口が異なりますので、ぜひ聞き比べてみてください!

個人的には疾走するハイテンション怪談の初期バージョンの方が好みです(笑)

生成AIを使いこなすのは難しい…。
稲川淳二メモリアル「遺言」

公式YouTubeチャンネルにもアップされています!

女王の歩道橋 (1996)

怪談にはいくつかのパターンがありますよね。元になるストーリーがあって、そこに尾びれや背びれが付いて
別の話として語られているものが多々あるように思われるのですが、
これもそんなひとつのパターンとなった原作と言っていいのではないでしょうかね。
”安全のために建てられたはずの歩道橋”、その真実は…

公式ホームページから引用

高校三年生の男友達2人で心霊スポットへ肝試しに行くことになった。

広い田んぼの中に道路が通っていて、新しい道路が枝分かれになっている。その道はずーっと先まで行くと工事が中断されていて行き止まりになっているんですが、神社と暗い森があって、そこが心霊スポットだっていう。

夜の暗い神社なんで怖いと言えば怖いんですが、別にこれといったことは起きなかった。

ふっと新しい道路の先を見るとね、まわりは田んぼしかないのに、ぽつんと歩道橋が立っているのが見えた。

たまにしか車は通らないし、人なんかほとんど通らない。そんなところに歩道橋があるんで、妙な気がした二人は歩道橋を渡ってみることにしたんです…。

一言コメント(ネタバレ注意)

この話、怪談著作権的には誰が作者かわからない、都市伝説的な怪談だと思っていましたが、CD収録されるということは権利関係がクリアになったということでしょうか。

いつ・誰が話し始めたかもわからない怪談を、座長という語り部が語っている、そうした種の作品なんだろうと考えていましたが、まさかのCD化にびっくりした思い出があります。

今更ネタバレもどうもない超古典怪談ではありますが、稲川怪談最初期の名作であることに変わりはなく、謎解き系のオチがゾワ~っとして結構怖いですよね…。

歩道橋を「カーン」と叩いたら音が跳ね返ってくるという怪異って、遊んでくれたと思った女の子のいたずらなんでしょうか…。

それにしても女王様の役ってなんなんでしょうね(笑)王宮系の芝居だったんでしょうか、謎は深まります…。

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まとめ

いかがだったでしょうか?

ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin19!

本作は、最初期の名作「女王の歩道橋」と近年の名作「消えた家族」の両方が楽しめる贅沢盤といっても過言ではな1枚に仕上がっていましたね。

収録怪談のほとんどはYouTubeチャンネルでも語られていますので、そちらもぜひチェックしてみてください。

ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。引き続きお付き合いくださいね。

それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。

アーティスト:稲川淳二
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