【非公式本】常識を超えたキン肉マンの超理論を解明する?!『キン肉マン超人考察』

こんにちは!アツコアツオです。

漫画家ゆでたまご先生を研究する【ゆでたまご研究所】へようこそ。

今回は、キン肉マンを研究している非公式本を紹介したいと思います!

ゆでたまご先生の作品を研究する当コーナーの趣旨からはちょっと外れますが、キン肉マン研究者の先人へのリスペクトを込めて読んでみたところ、学ぶところがたくさんありました!

肉マニア魂、しかと受け取ったー

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『キン肉マン超人考察』

繰り返しになりますが、本書は非公式の考察本ですので集英社からの発売ではなくて、英知出版社という会社から発売されています。

著者は”千代田区超人委員会”だそうで、複数人で書いているのかもしれません。

あまり聞いたことがない出版社ですが、公式本ではないため本の中身には『キン肉マン』のキャラクターに関するイラストなどは一切出てきません

ひたすらテキスト(と一部筋骨隆々の影絵のみ)で構成された、ある意味で超武骨なファンブックです…。

〇〇の謎本

一昔前(といってももう30年ぐらい前か…)『磯野家の謎』に代表するような、有名な漫画やアニメの研究本がブームになった時期がありましたよね。

その当時、小学生の私は内容をわからずに『ストⅡ』の考察本を買ってしまって、ガッカリした思い出があります…。だってリュウもケンも絵が全然出てこないんだもの…。

一定数の人が意図せず間違ってしまったり、オカンが間違えて買ってくるパターンもあったでしょうね(笑)

本書はそんな懐かしの謎本を思い出させてくれる内容になっています(笑)

コミケなど即売会の同人誌であれば、今もある程度のお目こぼしで公式キャラクター達のオリジナルイラストなんかも使えなくもないんでしょうけど、表紙の赤パンツマッスル男が関の山というか、”キン肉マン”を表す最大限の表現ということでしょう。

顔のところが文字で隠れるなんて、本の表紙としてはおかしいですよね(笑)

意外とちゃんとした解説本

とはいえ、内容はかなり『キン肉マン』世界を研究しているといえるのではないでしょうか。

本書序盤は、超人の歴史や超人が所属する組織を真面目に解説したり、超人強度や火事場のクソ力など、『キン肉マン』作品内に散り散りになっている設定をテーマごとにまとめてくれているので、ファンが当たり前に知っていることであっても、うまく情報が集約されていて読みやすい内容になっています。

キン肉マン世界の概要説明が終わった後は、人気超人の”ちょっと”マニアック解説があります。作品世界を守りながらも、あまり茶化さず(ここは重要!)キャラクター達を掘り下げています。

例えば、なぜプリンス・カメハメはジェシー・メイビアの軍門に下ったのか?超人化したジェロニモはなぜ性格が悪くなってしまったか?などなど…。

キン肉マニアなら一度は気になったことがありそうなテーマを著者の視点で考察されています。この辺は解説ではなくて”推測”の部類になりますので賛否は分かれるかもしれませんが、私は好意的に読むことができましたよ。

以降は、超人オリンピック~悪魔超人&悪魔騎士~超人タッグ~王位争奪戦までのストーリー解説と、いわゆる新章の完璧・無数大量編の序盤にも触れられています。それから、触れられることが珍しい『マッスル・リターンズ』のBUKIボーイも解説されていて、なかなか好感が持てますね!

※「ブロッケンJr.がアトランティスと戦ってモンゴルマンに助けられた」という壮大な歴史のIFを感じさせる誤植があることはご愛敬!

特に面白かった(参考になった)項を抜粋しひとつづつ見ていきましょう。

・ギャグマンガ時代のギャクの元ネタ
・超人オリンピックのチャンピオンベルトに刻まれた名前
・モンゴルマンに届いた手紙
・ストロング・ザ・武道の正体は…

①ギャクの元ネタ

キン肉マンの初期エピソードは「怪獣退治編」なんて呼ばれていますが、時事ネタっぽいギャグがけっこう多かったんですよね。私はその時代には生まれていなかったため元ネタがなんなのか分からなかったんですが、ギャグの元ネタを解説してくれていますのでいくつか紹介しましょう。

フィンガーポップス

第1話で長官に投げるマシュマロのようなものですが、当時ちょっと流行ったスポンジを輪切りにしたおもちゃだそうです。

やったぜパパ!~

第4話でキン肉マンが大王に向けて発したセリフ「やったぜパパ!明日は逆転満塁ホームランだ!」は、当時の吉野家のCM「やったぜパパ!明日はホームランだ!」からの引用ギャグ。

城西署の赤岩

アニメ版では五分刈刑事としてウザイぐらいに登場しますが、元ネタは刑事ドラマ『大都会』で渡哲也演じる”城西署の黒岩”がモデル。

黒電話のあ~う~

黒電話が「あ~う~」となると、キン肉マンは「この電話は大平首相だぞ!」と発電しますが、当時の大平正芳首相は発言の前に「あ~う~」と前置きすることが特徴的だったようで、そのオマージュとのこと。

それ以外にも、怪獣退治編ではインスパイア・オマージュ・モチーフ・パクリの類がたくさんありますね。ブルワーカー(筋トレ器具)なんて『キン肉マン』でしかみたいことないなあ(笑)

②ベルトの刻まれたチャンピオンたち

第20回超人オリンピックで優勝しチャンピオンベルトを手にしたキン肉マン。

世界ツアーにアテンドするサイボーグSW-26に促され、チャンピオンベルトの裏側をみてチャンピオンの重責を痛感するシーンがありますが…

「故郷へ錦を飾るの巻」から引用©ゆでたまご/集英社

ここに刻まれている歴代チャンピオンに関して、細かく解説してくれています。

プロレスマニアの方ならピンとくると思いますが、フランク・ゴッチ/ルー・テーズ/ジン・キニスキー/バディ・ロジャース/ジャック・ブリスコなどなど、往年のNWAチャンピオンを彷彿とさせるアルファベットが並んでいることに触れています。

また、過去に優勝したことがあるハラボテ・マッスルの名がないこと、真弓は2回優勝しているのに名前が1つしかないこと、そしてキン肉マンは第20回初優勝ですが、キン肉マンを入れて22名の名前が刻まれていて、勘定が合わない(名前が多い!)ことなどを紹介しています。

なかなか見逃しがちなところを細かく指摘されていますね。

この「チャンピオンベルトの謎」について、ネットスラングで有名な”だってゆでだから”で片付けずに、作品世界を忠実に理解しようとすると、どんな想像ができますかね

勘定が合わない件は、「どうしても決着がつかずに優勝者が2人だった大会があった」、そしてハラボテの名がないことは、真弓が「優勝した時に消してやったわい!」なんてどうでしょうか(笑)

③モンゴルマンに届いた手紙

宇宙超人タッグトーナメント編のエピソード。

モンゴルマンへ2人の超人からタッグパートナーに勧誘する手紙が届いていたことは、皆さんご存じだと思います。そのキン肉マンからの手紙とバッファローマンからの手紙を比較して、「この手紙で誰がキン肉マンを選ぶねん!」と突っ込んでいます(笑)

あんまり意識していなかったのですが、この手紙の内容だと確かに私だってキン肉マンは選ばない(笑)。

結局キン肉マンは誰もパートナーになってくれなくて、プリンス・カメハメが救いの手を差し伸べるわけですから結果オーライということですけどね。

④ストロング・ザ・武道の正体

本書発売時では判明していなかったストロング・ザ・武道の正体にも迫っています。

2023年ではすでに完璧超人始祖編も終了していますので、ストロング・ザ・武道の正体は明らかになっているわけですが、著者は「ストロング・ザ・武道=ジェロニモを超人にした神説」を推論しています。

当初、完璧無数大量軍が襲来した際に武道とファーストコンタクトを取った超人はジェロニモでしたし、必殺技である”アパッチのおたけび”を警戒するセリフもあることから、スーパーマンロードの神なのでは?という論を展開しました。

答えはご存じの通り、神から地上に下野した完璧超人の祖ザ・マンだったわけですが、現在連載中の超神編でジェロニモになじみ深い神が登場することから、あながち的外れな予測でもなかったかもしれません。

まとめ

いかがだったでしょうか?

非公式本であるためキャラクターイラストがなく、オールテキストで進行するキン肉マン研究本を紹介しました。レアな本ではないのですが現在入手困難と思いますので、肉マニアの方は古本屋で見かけたらぜひ手に取って見てくださいね。

そうそう、巻頭にカラー数ページ(別にカラーにする必要はない内容ですが)で「超人何でもランキング的な企画」と、巻末に「全対戦星取表」の付録がついています。

キン肉マン好きなら読んでいるだけでそのシーンやひとコマが思い出せるのではないでしょうか。

次回は”公式”のキン肉マン関連ムックを紹介しますので、女房を質に入れてでも見に来てくださいね!

著:嶋田 隆司, 監修:ゆでたまご
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