【隠れすぎた短編】ジャンプ愛読者賞用の読み切り漫画『勇者ビッグボディ』を紹介!

こんにちは。アツコアツオです。

漫画家ゆでたまご先生を研究する【ゆでたまご研究所】へようこそ。

今回は、キン肉マンの週刊連載闘将!!拉麺男の月間連載と同時期に描かれた作品について紹介しましょう。

愛読者賞用の短編漫画『勇者ビッグボディ』です!

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『勇者ビッグボディ』

勇者ビッグボディ』は1983年3月の週刊少年ジャンプに掲載された作品です。『キン肉マン』の連載は「黄金のマスク編」でキン肉マンVSアシュラマンのころですね。

そしてさらに、当時は月刊誌フレッシュジャンプでも『闘将!!拉麵男』の連載もしているころで、ゆでたまご先生の創作意欲たるや、本当に凄すぎる!

ただ、『キン肉マン』と『闘将!!拉麵男』の世界観はダブらないように描き分けるよう努められていたと思うのですが、この読み切り『勇者ビッグボディ』は、世界観を描き分けるという意味では苦労されたのかな?という印象です。

(いやはや、同時期に3つの作品を描き分けるっていうのは尋常じゃないですよ…)

掲載されているコミックス

勇者ビッグボディ』を読むことができるコミックスは、ジャンプコミックスのゆでたまご短編集1『お~い!!マンガだよ~ん』しかありません!

短編集1と言いますが、2はありません!

左下にいるデビルマン(おい!)みたいなのが『勇者ビッグボディ』です。

2022年現在は入手困難、古本屋でも見かけませんので、ネットオークションやフリマサイト、で探すかまんだらけなど専門店をチェックするしかないですね…。

『勇者ビッグボディ』の内容

鋼鉄のようで巨大な体が猛々しい!©ゆでたまご/集英社

物語は地球ができて間もないころのお話し。人類が誕生し、世の中に善も悪もない平和な時代が舞台。

神は完璧な生命体として人類を誕生させましたが、ライオンやゴリラのようなパワーはなく、また寿命が来ると死んでしまう人間は不完全な生命だといいます。

そして、不滅の肉体(ビッグボディ)を生み出すためにいくつか試作品を作りましたが、力や生命力はあるものの、いずれも心の存在がなく恐ろしい生命体が誕生してしまったと神は嘆いていました。

ろうそくが溶けて固まったような妖怪たち。かなりキモいデザインです。©ゆでたまご/集英社

そんなとき、神はついに完璧な不滅の肉体(ビッグボディ)を完成させました。

©ゆでたまご/集英社

神は凶暴なゴリラに自身を襲わせ、ビッグボディが心を持った存在で神を助けることができるかどうかを試したところ、無事に神を救出します。

しかしそればかりか、いとも簡単にゴリラの頭をひねりちぎってしまい、神は自らが作り出したビッグボディに恐れおののきます。

ビッグボディの強さに恐ろしくなった神は、聖剣でビッグボディを処分しようとしますが、その時急に地震が起き、邪悪な失敗作4体が放たれてしまいます。

ビッグボディの下敷きになる神。う、動けん!©ゆでたまご/集英社

そして邪悪な4体は、ビッグボディの体の一部をそれぞれ奪って地上へ降り立ってしまいました。

このコマだけやたらとキャラが立っています(笑)©ゆでたまご/集英社

神は自分の命と引き換えに、ビッグボディの頭をゴリラの体に移植し(といってもピタっとひっつけただけですが)、地上に向かって妖怪を止めるように指示するのでした。

地上では平和な時代から1年が過ぎ、妖怪たちはブラックボディーズと呼ばれ恐れられていました。そして歯向かった大人は殺され、また忠誠を誓う従順な大人は妖怪たちの手下になっていました。

これまた絶妙に気持ち悪い!©ゆでたまご/集英社

残らされた子供たちは、地上に降り立ったビッグボディを狙う妖怪たちから彼をかくまい、ともに行動することになります。しかし、子供たちは直接ビッグボディに助けを乞うことなく、自分たちの作戦で妖怪に挑もうと計画していました。

子供たちの抵抗では妖怪に勝ち目がないことを分かっていたビッグボディでしたが、直接手助けすることなく状況を見守っていましたが、自らがブラックボディーズから体の一部をとり返すことをこだわるあまり、抵抗していた子供たちも簡単に殺されてしまいます。

なんだかノンキなコマに見えるのは私だけでしょうか?©ゆでたまご/ゆでたまご

子供の命を犠牲にして良心が苛まれたビッグボディは、神が授けた聖剣を使いブラックボディーズのパーツをすべて取り返しました。

当時のゆで先生にしては珍しい構図ではないですか?©ゆでたまご/ゆでたまご

ブラックボディーズの体から出る血で、生命が吹き替えし子供たちは甦るのでした。

まとめ

いかがだったでしょうか?

正直、昔読んだ時には「面白くないなあ」という印象だったのですが(先生ゴメンナサイ)、今回改めてしっかり読んでみるとなかなか味わい深いですね。

さっきも書きましたが、『キン肉マン』と『闘将!!拉麵男』とは別のテイストを作るっていうのは同時連載だとすごく難しいと思いますし、そういう意味ではこの作品は『闘将!!拉麵男』と世界観が似通っているのではと感じていたのですが、はっ!と気づいたんです。

この作品は『闘将!!拉麵男』の1エピソードだったとしたらすごく腑に落ちる、と。

この話にラーメンマンとシューマイがいて、「勇者ビッグボディの巻」なんているタイトルで、その時訪れる村のエピソードだったとしたら、かなり腹落ちするんですよ。って私だけでしょうか?

なかなか影が薄い、隠れすぎた短編ではありますが、ビッグボディの名は先生もお気に入りだったのか、キン肉マン・ビッグボディにその名が引き継がれていますね。

勇者ビッグボディ自身が寡黙なせいか、ブラックボディーズの方がキャラが立ってしまった感もあるこの作品ですが、最後に『お~い!!マンガだよ~ん』掲載版の巻末にあるゆでたまご先生の作品解説を引用して、この項を終えましょう。

(先生自身はこの作品に対して少し後悔されているような解説になっています)

ゴリラの力、狼の牙、豹のしなやかさ等…強力な野生動物の特性を結集させた肉体を持つ男が大活躍。というコンセプトでかいた作品でしたが、当時の未熟な構成力ではこの広大なスケールは描ききれず、失敗作となった。

『お~い!!マンガだよ~ん』巻末にあるゆでたまご先生の作品解説より

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