【宇宙と地球の混血坊や】ゆでたまご先生が書く低学年向け読み切り漫画『あすとろボーヤ』を紹介!

こんにちは。アツコアツオです。

漫画家ゆでたまご先生を研究する【ゆでたまご研究所】へようこそ。

今回は、キン肉マン連載と並行して描かれ、週刊少年ジャンプ増刊に掲載された、初期読み切り漫画について紹介しましょう。

低学年向け短編読み切り漫画『あすとろボーヤ』です!

本作はIとⅡの2話存在しますので、それぞれ内容をみていきましょう。

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『あすとろボーヤ』

『あすとろボーヤ』は、以前ご紹介したデスゲームのあと、1981年1月の週刊少年ジャンプ増刊と4月増刊に掲載された作品のようです。

その時期は『キン肉マン』連載はアメリカ遠征~第21回超人オリンピック前のころですね。(その頃のキン肉マンはたのきんトリオ風地球防衛軍やシシカバ・ブーが登場するころです。

それにしても、『キン肉マン』の週刊連載をこなしながら、増刊号用読み切りを書くなんて…。ジャンプ編集部オソロシヤ。まあ、当時は週刊連載を連載を休むことなんか考えられなかったと聞きますし、漫画家は書いてナンボ!っていう時代だったんですよね。

掲載されているコミックス

あすとろボーヤ』を読むことができるコミックスは以下の通りです。

ジャンプコミックスのゆでたまご短編集1『お~い!!マンガだよ~ん』
※『あすとろボーヤⅡ』は本短編集にしか収録されていません!

短編集1と言いますが、2はありません!

いわゆるコンビニコミックスの『闘将!!ゆでたまご』
※『あすとろボーヤⅠ』のみ収録。

ゆでマニア垂涎のゆでたまご本。

2022年において、古本を入手することも含めて、なかなか読む環境が整っていませんね。

『あすとろボーヤⅠ』の内容

見開きを大きく使った書き出し。例の”オッサン”とモジャモジャ頭のお兄さんが登場します。©ゆでたまご/集英社

あるとき、宇宙船が日本という国へ不時着します。宇宙人はそこで出会った地球人のハナコと恋に落ちてしまいます。宇宙人はハナコを連れて星に帰り結婚しますが、同じ星の仲間は二人の仲を引き離そうとしました。

ほどなくして二人には子供が生まれますが、産後ハナコは体調を崩し、子供を人間の子として日本で育ててほしいと言い残し死んでしまいます。そうして、宇宙人=禿げ頭のオッサン(デリカ)とモジャモジャ頭(トム)、そして宇宙と地球の混血児である、あすとろボーヤが日本で生活を始めます。

あすとろボーヤは転校生として中学校に通うことになり、誰からも相手にされないいじめられっ子の非力くんと友達になります。悪ガキの重戦車がやってきてみんなをいじめようとしますが、あすとろボーヤが果敢に立ち向かいます。

ヤクザ反戦組の息子、重戦車。どうみてもスタン・ハンセン。©ゆでたまご/集英社

重戦車が連れているライオンがあすとろボーヤに飛びかかる!けど、ボーヤの体は硬くてライオンの歯が折れてしまった。

ハンセン、じゃなかった重戦車が、「タマー!」(ややこしい名前やなあ)と叫んでライオンのカタキにウエスタンラリアートでボーヤを襲う!

そのとき、弱虫の非力君が初めてできた友達、ボーヤのために重戦車に止めにはいります。もちろん返り討ちにあいますが、ボーヤは非力君の行動から友情パワーに目覚めます

あすとろボーヤの目が宇宙人っぽくなりました!©ゆでたまご/集英社

ついにボーヤは重戦車を軽々と抱えて投げ飛ばしました。

ボーヤは帰宅後、自宅の屋根に上って、死んだ母親に今日あった出来事を報告するのでした。

『あすとろボーヤⅡ』の内容

2話目にして禿げ頭のオッサンの名がデリカであったことが明かされます。©ゆでたまご/集英社

中学校は夏休みを迎えることになって、クラスメイトが夏休みの予定なんかを口々に話しています。旅行に行く生徒が多く、例の非力君はハワイにいるおじさんから遊びに来いと誘われているといって、土産話をお楽しみに!といってさっそうと出ていきました。

夏休みにすることがないボーヤは家でのんびり過ごしていましたが、非力君が乗ったハワイ行の旅客機が事故で炎上したというニュースを目にします。友達を助けるため、ボーヤはすぐに背中にあるジェット機をふかして飛んでいきます。途中、丁度良い(どんなんや)火山を見つけたボーヤは、それを容器代わりにして水を汲み、消防隊の旅客機消火活動を手伝います。

無事旅客機は鎮火しますが、時すでに遅し。非力君は黒焦げになって死んでしまいました。ボーヤは、助けに来るのがもう少し早ければ…と非力君に詫びるのです。

新学期、非力君の遺影がある教室に、日焼け姿の非力君がやってきて…。

やっぱり、非力君がハワイに遊びに行くというのは大ウソで、黒焦げになった非力君は人違いでした。非力君はハワイに行ったウソを成立させるために日焼けして登校したってわけでした。チャンチャン。

ひとコマだけキン肉マンが登場します。©ゆでたまご/集英社

まとめ

いかがだったでしょうか?

低学年向けの学園モノといえますが、ページ数の関係もあり今一つキャラクターが確立されていない感じです。キン肉マンのようなバトルモノではないし、しいていえばギャグ漫画になるのかな。

宇宙と地球の混血児であるあすとろボーヤは、少しロボットっぽい印象。非力君は友達がいないハミゴ君ではあるんですが、自分の状況をうまく捉えて理解していて、そのうえで生存戦略を考えているという、見ようによってはなかなかスゴイやつ。

それから、低学年を意識したということで、コマや画も大きくて子供には読みやすい内容ですね。

この2話だけでは何ともいえませんが、このノリで1話完結の週刊連載はなかなかきついでしょうね。残念ながら(?)、以後『あすとろボーヤ』は書かれていません。

今でこそ、ゆでたまご先生は偉大な漫画家コンビですが、当時は20前後の若者2人組ですからね。試行錯誤しながらの作品作りであったのは間違いないでしょう。

そう考えると、『キン肉マン』が序盤からキャラクターが確立されていたことがいかにすごいことか、改めて認識させられます。相当早い段階で、お目付け役のミート君、ライバルでもあり親友のテリーマンとの関係性が決まっていましたもんね。

最後に、『お~い!!マンガだよ~ん』掲載版の巻末にあるゆでたまご先生の作品解説を引用して、この項を終えましょう。

低年齢の読者向けに、初めてかいた作品です。それだけに主人公んのデザインも丸みを帯びた可愛いものを意識しました。ゆでたまご=熱血対決物を期待する人たちには。評判が悪かった作品ですが、またやってみたい題材です。

『お~い!!マンガだよ~ん』巻末にあるゆでたまご先生の作品解説より

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