『ドラゴンへの道』
池袋にある名画座の新文芸坐で、ブルース・リー特集を観てきましたので、今回はブルース・リー主演の『ドラゴンへの道』を紹介します!
ブルース・リーは、もともとアメリカで俳優として活躍していて、アメリカ時代の映像作品はたくさんあるのですが、私たちがブルース・リーにイメージする「アチョー」や「ホワ~」は香港帰国後の劇場映画です。
映画スターとしていよいよ本格的に世界へ進出、というときに亡くなってしまったため、ごくわずかな主演映画しかありません。有名作品は以下の通りです。
- 『ドラゴン危機一発』1971年、日本公開は1974年
- 『ドラゴン怒りの鉄拳』1972年、日本公開は1974年
- 『ドラゴンへの道』1972年、日本公開は1975年
- 『燃えよドラゴン』1973年、日本公開は1974年
- 『死亡遊戯』1978年、日本公開は1978年
今回の特集では、『ドラゴンへの道』と『死亡遊戯』を観てきましたので、まずは『ドラゴンへの道』を紹介します!
あらすじ
前半の明るいコメディ風ドラマ
アクションスターとしてのブルース・リーを待ち望んでいたのですが、前半約30分にわたってギャグパートが続きます…。
冒頭、リーは空港で女性と待ち合わせしている様子でソワソワ。
腹が減ってレストランに入り餃子を注文しますが、ウェイターのばあさんにうまく伝わらず、仕方なくスープを注文。するとメニューを何度も指さしたせいか、6つぐらいのスープが運ばれてきました。頑張って完食しばあさんに支払い。要所要所でコメディ風のSEが鳴りリーの「ヤレヤレ」という演技が続きます。う~ん、安っぽいドリフみたい。
レストランを出るとアジア系女性と遭遇。どうやらこの人と待ち合わせの予定だったようです。女性の車で空港を出ると、そこはイタリアのローマ。そうか、リーは香港からイタリアへやってきたのか。聞くと、亡くなった父親を継いで中華レストランを経営することになったこの女性チェンは、マフィアの地上げ屋から店から立ち退くよう脅されているという。
知り合いに相談し、用心棒としてやってきたリーでしたが、田舎者丸出しでドジばかりやっていて、チェンはあきれ果てます。
リーとチェンはローマ市内を散策しますが、リーは途中で出会った白人女性とイイ女性の部屋へ。いきなり裸で出てくる女性にウブなリーはびっくり!照れて部屋を出てしまいます。
…とこんな感じでゆる~いコメディ風ドラマが続きます。このパート長いよ!リー演じる主人公のタン・ロンは田舎者で世間知らずの若者だ、という印象を与えたかったのかな?それにしても、長すぎやしないか?
いよいよ用心棒デビュー
ほどなくして、チェンの店へ行くリー。店では従業員たちが地上げ屋対策として空手を練習していました(多分自己流)。リーがクンフーをやっているといえば、「そんなものは必要ない!」と従業員たちは強がります。そうしているうちに地上げ屋がやってきて、あっと言う間に従業員はやられちゃいますが、たまたまトイレに行っていたリーは、「肝心な時に逃げていた!」と罵られてしまいます。
さあ、ここからがアクションスター、ブルース・リーの活躍です。
またまたやってきた地上げ屋をクンフーで蹴散らし、店に乗り込んできたマフィアのボスも蹴散らし、マフィアのアジトにも乗り込みます。リーに弟子志願した元空手従業員たちは、知らぬ間にチャイニーズカンフーが上達し、マフィアの雑魚敵を蹴散らしてしまいました。
マフィアは、犬猿の仲だという日米空手家両巨頭を呼び寄せるも、リーにとっては噛ませ犬。あっと言う間に退治します。仲間の裏切りなどでストーリーの厚みも増しつつも、本作の見どころは最強の刺客、チャック・ノリス演じる空手の達人コルトとの死闘でしょう。
チャック・ノリス演じるコルトとの死闘
最終決戦上はコロッセオ。お互いかくれんぼか鬼ごっこのように探し合いますが、ついに遭遇します。お互いの流派の儀式?準備?を経て対峙する2人。
正直に言って、今までの雑魚敵とのバトルはリーの圧勝でした。リーが強すぎて相手にならない!という感じだったのですが、マフィアがよこした最強の刺客コルトは強かった!
猫の泣き声を合図にいよいよ勝負が始まりました。コルトの蹴りがリーにヒットし蹴りを中心にリーをどんどん追い込みます。が、疲れたコルトをリーが前蹴りやローキックで牽制し、少しづつ形勢逆転。リーの強烈な打撃で次第に体の自由が効かなくなったコルトは、諦め感丸出しでリーに突撃。その状況で勝てるわけもなく、リーに首元をガッチリホールドされ、フロントチョークで絞殺されてしまいます。
この格闘シーンは非常にマジっぽいです。映画だから演技なんでしょうけど、結構理詰めで相手を追いこんでいきますのでガチンコっぽい。黎明期のUFC風と言いますか、相手をヤるというリーの殺気が明確に出ています。
フィニッシュシーンは首締めですが、勝負はすでについていたのに、そこまでする必要あったのか、とは思いますが、両者正々堂々タイマン勝負でリーが勝利しました。映画のアクションではありますが、かなり白熱した死闘です。このバトルをリーのベストバウトに挙げる方も多いそうですよ。
コルトを倒した後、いろいろあってマフィアは警察にお縄になりました。これまたいろいろあって(はしょりすぎ)従業員全員が死んでしまったチェンを残し、母国香港から呼び出され、リーはローマを後にするのでした。
その他雑感
前半にも書きましたが、リー演じるタン・ロンはドジで間抜けな田舎者でいて、素直で明るい一面もあります。ですが、クンフーとなるとスイッチが入ったように人が変わります。これがかっこよくて、リーの超スピード格闘がより冴えますね。今更ながら、打撃がものすごく早くてキレがあります。こりゃ当時の少年たちが興奮したのもよく理解できます。
一方、ブルース・リーが演じるものはすべてブルース・リーである、とも言えそうです。私は過去に『燃えよドラゴン』を視聴済みなんですが、リーの格闘シーンは演じ分けられるわけでもなく、生涯残した映画作品が多くないので、図りようもないのですが、全部一緒ではと言ってしまいそうになる。良いも悪いも格闘アクションスターなんでしょう。
また、リーは肉弾戦だけではなく、こん棒・ヌンチャク・ピストルには木を削ったダーツも駆使します。まさにジークンドー格闘術極まれりといった感じ。
本作は誰もが想像する例のBGMは登場しませんが、その他の作品もチェックしてみようと思っています。まずは、次回『死亡遊戯』の紹介をお楽しみに!
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