読書家の強い味方、あなたの読書がきっと進化します!書評『読書する人だけがたとり着ける場所』齋藤孝著

スポンサーリンク
スポンサーリンク

『読書する人だけがたとり着ける場所』

齋藤孝先生!よくぞ言ってくれました!

読書で得られる知識とネット情報から得られる知識はぜんぜん違う!

読書家の多くが思っているであろうことを、先生はわかりやすく簡単に説明してくれました。

本書『読書する人だけがたどり着ける場所』は、読書家の皆さんをにとっては、読書することそのものへの自信につながり、さらには読書のポイントや読書への向き合い方を教えてくれる1冊です。

読書が趣味でいろいろ読んでるけど、これって何か意味があるのかな?と悩んでいるあなた!
きっと本書がその答えの一助となること間違いなしです。

カバーイラストは『君たちはどう生きるか』の羽賀翔一先生です。

齋藤孝先生はテレビでもよく見かける有名人ですね。

本書の見開きから引用

読書とネット、情報収集の違い

私はここのところ週に1冊ぐらいのペースで活字の本を読んでいます。
好きなジャンルや自己啓発系の本などを中心にしつつ、できるだけいろんなジャンルの本を読むようにしているのですが、すべて「買ってよかった」と思える本かというとそうでもなかったりします。

ですが!この本は、私にとって圧倒的に「当たり」の1冊でした
前書きと序章からどんどん引き込まれてしまいました。だって、私が普段からモヤモヤしていたことをズバッとはっきり書いてくれたのですから。

長くなりますが、引用しながら紹介しましょう。

読書をしていないとはいっても、文字を読んでいないわけではありません。むしろ、大量に読んでいる。その多くはインターネットだったりSNSだったりするわけです。「本を読まなくても、ネットでいいじゃん」という人はいるかもしれません。
「すべて、ネットの中にあるではないか」と言われれば、まあその通りです。毎日膨大な量の情報が追加されているネット上には、最近のニュースだけでなく古今東西あらゆる物語や解釈や反応が含まれています。ネットの「青空文庫」では、著作権が切れた作品を無料で読むこともできます。ですから、わざわざ本を読まなくてもネットでいいじゃないかという意見も見当違いなものではありません。

しかし、ネットで読むことと読書には重大な違いがあります。それは「向かい方」です。ネットで何か読もうというときは、そこにあるコンテンツにじっくり向かい合うより、パッパと短時間で次へ行こうとします。より面白そうなもの、アイキャッチ的なものへ視線が流れますね。ネット上には大量の情報とともに気になるキャッチコピーや画像があふれています。それで、ますます一つのコンテンツに向き合う時間が短くなってしまう。
最近は音楽もネットを介して聞くことが多くなっていますが、ネットでの「向かい方」ではイントロを聴いていることができません。我慢できなくて次の曲を探し始めてしまいます。そこでいきなりサビから入るような曲の作り方をしているという話を、あるアーティストの方から聞きました。

現代人の集中力が低下しているということを示す研究もあります。

(中略)

現代人のアテンション・スパン(一つのことに収集できる時間)はたった8秒。2000年には12秒だったものが4秒進み、いまあ金魚の9秒より短いと言います。これは間違いなくインターネットの影響でしょう。とくにスマホが普及して、常にいろいろ情報にアクセスしたり、SNSで常に短いやり取りをしたりするようになったことで、ある意味で「適応」した結果です。

本書まえがきより

脳は常に次の刺激を求めている

インターネット、とりわけスマホやタブレットで操作する場合は、大して内容を深読みせず、どんどんスクロールしたり、次のコンテンツに切り替えたりしますよね。
YOUTUBEなんかでも、動画そのもののテンポがものすごく早かったり、最近では切り抜き動画やショート動画なんかも流行っています。要は人間の脳が刺激を求めて、長時間同じものに耐えられなくなってきている。すなわち集中力がなくなってきている、ということでしょう。

悪魔の道具との付き合い方

名著『スマホ脳』を読むと、スマホやタブレットは悪魔の道具で、上手に付き合っていかなければならないことが良くわかります。意味のないダラダラスマホタイムはやはり害悪で、単に脳の刺激欲しさでネットサーフィンを繰り返していることだけのようです。用事もなく反射的にスマホを手に取ってしまう人を見ると、なんだか考えさせられます。(私自身は聖人君主と言っているわけではなく、自戒も込めて言っているとご理解ください)

そんな流れから、スマホやタブレットなどで電子書籍を読むことは私は苦手。要は悪魔の道具で読書しているわけですから、集中力がもたずにネットサーフィンに切り替えてしまうことがあるからです。我ながらヤク中みたいです。
そんなツールを活用して、文章を読んで理解し知識になっていると言えるか?ということでしょう。

もう少し続けて引用します。

このように、ネット上の情報を読むのと、読書とは行為として全然違います。ネットで文章を読むとき、私たちは「読者」ではありません。「消費者」なのです。こちらが主導権を握っていて、より面白いものを選ぶ。「これはない」「つまらない」とどんどん切り捨て、「こっちは面白かった」と消費していく感じです。
消費しているだけでは、積み重ねができにくい。せわしく情報にアクセスしているわりに、どこかフワフワとして何も身についていない。そのときは「へえ」と思ったけれど、すぐに忘れてしまいます。浅い情報は常にいくつか持っているかもしれませんが、「人生が深くなる」ことはありません。

本書まえがきより

スマホによるネット操作で、同じページに留まる時間は数秒だそうです。情報の大量消費社会や~(彦摩呂っぽく)。脳の快楽の赴くままに新しいページにアクセスしているだけだけなんですよね。

現代は情報化社会と言われていて、あたかも私たちは毎日大量の情報に触れているかのように思っています。確かにインターネット上にある情報の量はすごい。その気になれば、何でもいくらでも調べられます。
しかし、意外にみんなそれほど情報を摂取していないというのが私の印象です。いつもスマホをいじっているのに、あれも知らない、これも知らない。「最近こういうニュースが話題だけど…」と話を振っても、「そのキーワードは聞いたことがあるんですが、どんな内容なんですか?」と聞かれてしまいます。どうやら、表面だけサーっと撫でてキーワードだけ拾っており、詳しいところまでは読んでいないようなのです。

「まとめサイトしか見ていない」という人もいます。知りたいことが簡単にまとめてあって、それでわかった気になる。わかった気になったけれど、聞かれると答えられない。間違って読んでいたり、すぐに忘れてしまったりします、

インターネットの海といいますが、ほとんどの人は浅瀬で貝殻をとっているようなもの。深いところへ潜りにいく人はあまりいません。潜れば、まだ見たこともない深海魚に出会えるかもしれないし、知らなかった世界が広がっているのに、です。同じ海を目の前にしても、やることは人によって違うわけです。

序章 なぜ、今本を読むのか より

”見た”のと”読んだ”のは違うし、”読んだ”と”知っている”は違いますものね。

先ほど、多くの人はインターネットの浅瀬にいると話しましたが、インターネットのでは、深く潜るのだって実は難しくありません。クリックして3回とべばいい。最初のページだけ読んで終わらせるのではなく、関連するページや、他の角度からみたページを探して読めばいいのです。それだけで、情報にも厚みや深みが出ます。

ただ、どこをどう潜るのか、というところは人によって差ができるでしょう。まずは3回クリックするだけで深くはなりますが、もっともっと知識を深めるには潜る能力が必要なのです。
その「潜る」能力は、読書によって鍛えられるというのが私の考えです。

第1章 読書する人だけがたどり着ける「深さ」とは より

繰り返しになりますが、私は常々スマホやタブレットとの付き合い方や情報の取り方について慎重になっていてます。いつも文庫本や新書を持ち歩いて、用事がない場合は電子端末を使わないようにしています。電子端末で”読書”することにけっこう抵抗があるのですが、本書冒頭で「やっぱ本で読書の方が良い!」と激しく背中を押され、強力なサポーターを得た気になりました。

それだけでも本書を読んだ甲斐があった!と痛感しています。

様々な本の読み方

さあ、だんだん核心をついてきました。このあと、読書で「潜る」能力について各章で解説してくれています。

  • 深くなる読書 浅くなる読書 何をどう読むか
  • 思考力を深める本の読み方
  • 知識を深める本の読み方
  • 人格を深める本の読み方
  • 人生を深める本の読み方
  • 難しい本の読み方

いくつか印象的なエピソードを紹介しましょう。

物語で身につく「映像化」する力

子供への読み聞かせを例に、自由にイメージを沸かすことが重要とのこと。反対にアニメは(素晴らしい文化)としたうえでイメージ力を鍛えるにはあまり向いていないだろうと。そしてジブリの宮崎駿監督も、子供が気に入って『となりのトトロ』を何十回も見ているという母親に向かって、「そんなことをしてはダメです」と言ったとか。映像は想像力があまり必要なく、映像に頼れば頼るだけ、絵本を楽しむ時間が必要になるということです。

読書で思考力を磨く

そういうことか、で終わるのではなく、自分に置き換えて考えてみよう。『星の王子さま』の読み方を例にあげて解説してくれています。
また、思考を動かすことも重要。読んだ本について本自体と対話しつつ、それを人に話しながら同意や反論を得ていきましょう。

この方法は映画でも同じことが言えそうですね。集中して2時間なりの映画を観る。ただ観るだけではなく、物語に対して自分の意見や思考を巡らせる。そしてアウトプットし他の意見にぶつけてみる。映画の場合はネット上に様々なレビューがありますから、それらと比較すると面白いですよね。

読みながら意識すること、読んだ次にすること

その他、より読書が深まるテクニックや方法も紹介されています。

  • ポップを書く。ヴィレバンのアレですね。短いフレーズで内容を表す練習です。
  • 好きな文章を3つ選ぶ。自分の思考の特徴を好きな文章から掴みましょう。
  • ニーチェにもツッコむ。そんなやつおらへんやろ~と突っ込むことで自分の意見と違うことが明確になります。
  • 予測しながら読む。想像通りであったか、予想を裏切られたか。思考を回転させる練習になります。

さいごに

いかがでしょうか。少し紹介しただけでも、読書が立体的になってきた気がしませんか?
ただ文章を目で追っていく読書ではなく、読んでいる最中の意識や心がけ次第でどんどん思考が深まり、読後は自分のものになった感覚になるような気がしますね。

ある程度の読書家の方であれば、”何を読むか”はさることながら、”どう読むか”も重要になってきますよね。本書は、そうした読書への向き合い方を変えるきっかけにもなる1冊だと思いますよ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました