ぬ~べ~世代には「赤いちゃんちゃんこ」でおなじみのスプラッター怪談…『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection3 赤い半纏』

稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。

今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection3 赤い半纏』を整理!
(CD発売日:2004年8月6日)<MNT-03>

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『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ

さあ、同シリーズ3枚目の作品はというと、初期の傑作「赤い半纏」を含む全6話の構成です。

「赤い半纏」以外にも初期~中期の代表作「血を吐くお面」「おしいれのおばちゃん」を収録しており、これ場合によってはある種のベストアルバムといっていいかもしれませんね。

それでは、1話づつお話を確認していきましょう。

本作、『~Selection3 赤い半纏』の収録話は以下の通り。

『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection3 赤い半纏』

セレクションアルバム第三弾!!

四半世紀以上前に稲川淳二が電波を通して初めて世に送り出した怪談 「赤い半纏」を含む純和風な怪異談集。真夏の寒い一夜を過ごしませんか?

ホームページから引用
Mystery Night Tour
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(ベストアルバムBOXにようなもの)

赤い半纏 (1993)

稲川怪談の原点とも言える古典怪談。 某ラジオ局での初披露以来四半世紀の時を経て、スタジオ録音がついに実現。

ホームページから引用

当時、ニッポン放送のオールナイトニッポン2部のパーソナリティを務めていたことがありましてね。2部っていうと生放送が深夜3時なんですよ。

で、早めに局に入って、その日にかける曲を決めたりね、リスナーのハガキを読んでいたんです。そしたらスタッフが、「淳二これ怖い、これ怖いよ」「最後まで読めないかもしれない」っていってるんだ。「どんな話?」って、それ読んでみた。それが「赤い半纏」の話なんです。

深夜の番組ですからね、当時から怪談をやっていたんですけどね、そんな時にこの手紙がきたんです。それはっていうと、当時50代の女性から送られた手紙で、綺麗な字で書いてある。女学校の時の体験なんです、って書いてあった。

日本が戦争を始めるかどうかっていう時期でしょうかねえ。女学校の寄宿舎に入ったんですよ。この建物は畑の真ん中にぽつんと建っていて、先輩と同級生、何人かで生活していたんだな。

ある日のこと。風が心地いい。ふっと気づくとみんな出かけちゃっててね、自分ひとりだっけ。用を足したくなったんで、トイレへ行った。

いくつか個室が並んでいる、むかーしの和式のトレイですよ。別に選ぶ必要もないんで、適用に入った。心地いい風が吹いている。空は真っ青。よい天気なんだ。すると遠くの方で…

赤い半纏着せましょか~ 赤い半纏着せましょか~

(孫でも背負いながら、おばあさんがあやしてるんだ)と思った。

赤い半纏着せましょか~

(ん?随分近くにいるな…)

赤い半纏着せましょか~

だんだん近づいてきている。おかしい。こんなに早く移動できるわけない。用を足して出ようかとしたその時…

赤い半纏着せましょか~

いきなり隣の個室から聞こえてきた!うわー!っとおっとろして自分の部屋へ帰った…。

同級生も体験したっていうんで、学校に相談したら警察が来たんですね。

で、変質者を捕まえるっていってある仕掛けをするんですが…。

一言コメント(ネタバレ注意)

「赤い半纏」はリスナーからの投稿怪談だったと。

そして座長は別のメディアで「赤い半纏着せましょか~」のメロディは自身の即興でありオリジナルだとおっしゃっていましたね。私の世代では「赤いちゃんちゃんこ」というタイトルで有名な怪談でしたが、源流はこのリスナーからの投稿であるとのこと。

トイレに入った婦人警官は、ヤツの仕業でクサビ型の木が首に刺さってしまい、首から噴き出した血で来ていた服をどんどん赤く染めていって、それがまるで「赤い半纏」のようだった。

後年、このヤツの正体は、座長の調査によって悲しい物語に結実します。

追って紹介しますが、「赤い半纏完全版」として語られています。

そうそう、今の若い方って、半纏とかちゃんちゃんこって知ってますか?

今夜あたり、トイレで「赤い半纏着せましょか~」って聞こえてくるかもしれませんよ…。

血を吐くお面 (1993)

古美術、骨董品収集に御興味はありますか? へたなものや奇妙なものには手を出さない。これにつきますね…。

ホームページから引用

当時、昼のテレビ番組で共演者していた、この方実業家の方なんですがね。壷だとか絵だとか、古美術の収集家としても有名だったんですよ。で、ある時見せてもらったんです。

それはっていうと、古いお面なんです。中国かどっかの白いお面なんですよ。焼き物かプラスチックみたいな、卵の殻を貼ったような、そんな質感なんだな。壁に掛けるお面なんですよ。なんだか薄気味悪い感じがしたんですけどね。

しばらくして、またその方に会ったんです。その時にね、「怖い思いをした」って言うんですよ。それを聞かせてくれたんですが…。

一言コメント(ネタバレ注意)

この実業家の方、福富太郎さんじゃないかと思うんです。実名は明かされていないんですけどね。

部屋にお面を掛けて飾っていると、夜中うなされて目が覚めて、見ると部屋が真っ赤になっている。それが不幸の予兆じゃないかってその方思ったんですが、何度かそんな経験があった後、夜中苦しくなって目が覚めた。また部屋は真っ赤、お面見ると目や口から血を吐いているっていうんですよ。

急遽、心霊の先生に見てもらったところ、このお面は生首だっていわれたっていうんですよ。冷たくて重いお面だったそうです。

骨董品には、当時の持ち主の呪いや怨念が吸収されているのかもしれませんね。

お面が吐いた血、不思議なことにながれるだけで床には溜まらなかったそうですよ。

裸の人形 (2003)

数えきれないくらいたくさんの人形が奉ってある神社の宮司さんから聞かせて 頂いた奇妙なお話です。これが怪談といえるかどうかはわかりませんが、結構 怖いお話です。

ホームページから引用

有名な神社の宮司さんから聞いた話なんです。

この神社、人形の神社としても大変有名で、各地から人形が集まってくる。引き取って供養してほしい、預かってほしいという依頼が多くて。また、この神社、婦人病や安産にもご利益があるっていうんで、女性がけっこうお見えになるそうですよ。

で、若い奥さんから「人形の怖い夢を見た」ってお話を聞いたんです…。

奥さんが寝ている時に怖い夢を見てうなされたんです。隣に寝ていた旦那さんが心配して大丈夫かって起こしたんですけど、「ぐしょ濡れになった裸の人形が枕元になって睨んでいた」って、旦那さんに夢の内容を伝えたんです。

そしたら旦那さんは、それは俺の妹だっていいだして…。

一言コメント(ネタバレ注意)

不思議に思った奥さんが旦那さんに聞くと、「死ぬとは思わなかったんだよ!」。どうやらその旦那さん、幼いころに風呂場で妹を殺してしまったようです。

宮司さんは適当にはぐらかして話を終わらせたようですけどね。

それにしても、奥さんが見た夢を拡大解釈しすぎな気もするこの旦那さん。おそらくずーっと、妹の事件の事に怯えていたんでしょうねえ。

人形には魂が宿るっていうじゃないですか。映画のトイストーリーみたいな世界もあるのかもしれないですよね。

おしいれのおばちゃん (1997)

話を聞いた当初は何とも思わなかった事や気づかなかった事が、ある時突然 解明されて理にかなってしまう事ってありませんか? 私も随分と後になってからこのお話の答えに気づきましたよ…。

ホームページから引用

座長の仲間うちの女性が聞かせてくれた話なんです。

埼玉の田舎なんですが、その女性が小さいころにお父さんが事業を始めた。人手がないもんだから、たまにお母さんがお父さんの事務仕事を手伝いにいくことがあったんだそうです。そんな時は、近所のおばちゃんがその女性の家に晩御飯を作りに来てくれるんだそうですよ。晩御飯が出来て、お父さんお母さんが帰ってきて、そのおばちゃんが帰っていく。

そんな時なんですけどね、ちょっとした楽しみができた。おばちゃんが家に晩御飯を作りに来ると、女性はそのおばちゃんの家に遊びに行くんだそうです。その家には自分と同じぐらいの幼い女の子がいて、その子と遊ぶんだそうですよ。で、晩御飯が出来たころに自分の家に帰る。

そんなあるとき。いつものようにおばちゃんがやってきた、でおばちゃんの家に遊びに行ったわけだ。子供の遊びですよ、何の意味もないんですが、「あんたのおかあちゃんどこにいる?」って聞いた。おばちゃんは自分の家に晩御飯を作りに行ってますからね、「あんたんち」「あーたり」ただそれだっけ。

だけど、その子は「このおうちにいる」って言い張って聞かない。そんなはずはない。おばちゃんはおご飯を作りに行ってこの家にはいませんから。「どこにいんのよ?」「おしいれにいる」。

子供同士で言い合いになってしまって、ついにはその子がいうおしいれを開けてしまうのです…。

一言コメント(ネタバレ注意)

大人になってわかったことなんですが、自分の家に晩御飯を作りに来てくれるおばちゃん。

おばちゃんんには子供なんかいなかったんです。じゃあいっしょに遊んでいたあの子は…。そして押入れにいたおばちゃんは…。

幼いころにおしいれにいる血まみれのおばちゃんを見てしまったら、最大級のトラウマになりますよ…。

久々に和室を開けてみると、思いもよらない何かがあるかもしれませんよ…。

稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」にも上がっています。

梁に軋む音 (1999)

どうしても寝付けない部屋ってありますよね…。 闇の中で冴えわたる五感が感じてしまうもの。あなたにもありますよね…。

ホームページから引用

昼のワイド番組。現地からの生中継に備えて、ロケハンのスタッフが栃木県にある、古いお屋敷に向かった。その他にもいろんなところを回って、中継の準備自体は無事に済んだんです。で、ロケハン中に屋敷の主人から、「全部終わったら寄ってってよ」って声を掛けられたもんだから、帰りに寄ったわけだ。座敷に上がると豪勢な料理とお酒を用意してくれていて、すっかりごちそうになってしまった。

その屋敷っていうのは、持ち主もわからないずーっと空き家になっていたんですが、文化的な価値があるっていうので、間に人が入って法人化されて、その場所に移築したっていうんですよ。

縁もたけなわ。食事と酒をご馳走になって、屋敷の別棟にある離れで泊まらせてもらうことになった。古くて広い屋敷の離れで、番組のスタッフが2人。真っ暗闇の中、慣れない場所のせいかなんだか眠れない。

ギィ…ギィ…耳につく音が聞こえていたんですが、眠れないもんだから、タバコでも吸おうとライターの火付けたときに、見てはいけないものを見てしまうんですよ…。

一言コメント(ネタバレ注意)

まさに「梁に軋む音」。スタッフ2人はライターの炎に照らされた真っ暗な闇の中で、何者かの顔と足をみてしまう。そして翌朝。その付近をよーくみてみると、天井の梁に少し削れたような跡があった…。

この話、情景と独独の音によって、間接的に話の輪郭が埋められていきますので、聞く人の想像力に訴えかけてきます。

顔と、足と、梁にある跡と、ギィ…ギィ…という軋む音と…。

この話は、同じシチュエーションの場所で聞くと怖さ100倍でしょうね。

三面鏡 (2001)

今はもうほとんど見かけなくなりましたが、昔はどこの家にも必ず三面鏡が あったように思われます。三面の合わせ鏡が作り出す世界は異様な空間ですよね…。

ホームページから引用

建設会社に勤める岡本さん。中国地方へ出張中に突発的な大地震に遭遇してしまった。電車は止まるわ道路は寸断されるわで、町場まで出れなくなってしまったんですよ。

仕方ないからタクシーを拾って、せっかくだから温泉でも浸かろうかなあと思ったんですがね、その場所は観光地じゃないから温泉はないっていう。で、旅館もないっていうんですよね。そうはいってもどっかに泊まんないといけないんで、運転手さんに相談して、宿を探し探し進んでもらうことになったんです。

そしたらね、古い宿が見つかったんです。なんですけど、同じように地震でもって帰れなくなった団体なんですかねえ、先客がいて満杯だっていうんですよ。せっかく見つかった宿ですからね、こういう状況なんで泊めてもらえないかって頼み込んでね、番頭さんは渋ったんだけども。「ないこともないんですが…」っていうもんだから、どうにかお願いして泊めてもらうことになったんですよ。

その部屋っていうのは本館とは別の離れのようになっていて、改装中なんで部屋の風呂は使えないから大浴場にいってくれっていうんです。まあ一晩泊まるだけですからね、気にしてなかったんです。

風呂も入ってビールも飲んでさあ寝るかってときに、部屋にある三面鏡が

「ギイイイイィィ…」

音を立てて開き始めたんですよ…。

一言コメント(ネタバレ注意)

20分越えの長編です。恐怖体験が始まるのは14分ころから。どれだけ前置き長いねん!って気もするのですが、そうとうたっぷりとその時の状況だとか輪郭を詳しく話してくれています。

どうも立て付けがよくない三面鏡が、ひとりでに開いていくとき。男女の密会の場所であったというその離れの風呂場で起きた、惨殺された女性が映るそうですよ…。

三面鏡は合わせ鏡になっていますからね。あの世を繋ぐ魔力があるような気がしませんか?

さいごに

いかがだったでしょうか?

ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤のSelectin3!今でも大人気、もはや伝説級の「赤い半纏」や、過去の傑作「血を吐くお面」「押入れのおばちゃん」は、未聴の方がいらっしゃいましたら是非聞いてみてください。

ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。

それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。

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