稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。
今回は、『稲川淳二の怪談ナイト~ミステリーナイトツアーライブ盤』を整理!
(CD発売日:1999年7の月)
今まで、ある程度時系列に沿っていくつかのCDを整理してきましたが、ついにミステリーナイトツアーシリーズの音源の紹介までやってきました!
しかもコレ、ライブ盤ってんだからかなりの臨場感。スタジオ盤とは違う、素の語りがたっぷり詰まっています。そうとう怨霊、もとい音量が絞ってあるので、静か~なところでヘッドフォーンで聴くのがオススメ。電車で聴いても聞こえないぐらいです。
発売が1999年7月というのもツボを押さえていますね。(今となってはギャグみたいな話ですが、当時はノストラダムスの大予言が現実に起きるのかどうかが話題になっていました)
『稲川淳二の怪談ナイト~ミステリーナイトツアーライブ盤』
稲川淳二の怪談ナイトとは、稲川氏の怪談ライブのことで、稲川氏がたった一人で怪談を語っていくトークイベントなんです。
本作は1998年8月にクラブチッタ川崎で行われたオールナイトイベントのライブ収録盤なのです。最近は座長(稲川氏のニックネーム)も高齢のためかオールナイトイベントはないんですが、かつては初夏から秋にかけて全国ツアーを回る終盤に、クラブチッタ川崎でオールナイト怪談を定番化していたんです。(私は残念ながらオールナイトに参加したことはないです)
本作はそんなオールナイトイベントの中から、怪談5話と開演アナウンス~テーマソング~座長の漫談まで収録されており、本当に怪談ナイトに参加しているような気分にさせてくれる贅沢な作品です!
新品入手は難しいですが、オークションやレンタルショップではよく見かけますので、ぜひチェックしてみてほしい作品です。
収録話は以下の通り。
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(ベストアルバムBOXにようなもの)
稲川淳二の怪談ナイト オープニングテーマ
ミステリーナイトツアーのテーマ曲があるんですがね、その恐怖の旋律に乗せて、開演のナレーションが流れてきます。
気分が悪くなった方は係りに知らせて下さい、怪奇現象による不慮の事故等は主催者は責任を負いかねます…皆さんのご好運をお祈りいたします…といった具合にね、気分を盛り上げてくれますよ。
ミステリーナイトツアー’98 失意の病棟
ミステリーナイトツアーのテーマ曲とは別に、この98年ツアーは「失意の病棟」というテーマがあったそうです。そのイメージソングと言ったらいいかな。
この曲もなかなか雰囲気があって、怖い。途中一拍置いてサイレンの音が流れてくるあたりが最高です。
語り部 稲川淳二登場
怪談ナイト(ミステリーナイトツアー)に参加したことがある方ならご存じだと思うのですが、座長が登場されてから、いきなり怪談話に突入するわけではないんだな。
スモールトークというか、観客をリラックスさせるような、座長の近況とかその地区のローカルニュースなんかも話をしてくれて、だんだんと怪談のムードに入っていく。アットホームな空気感で、ときおり笑いもおきながらね。
このトラックは、そうした怪談ナイトの序盤にある座長の漫談を収録しています。
第一話「最後のクラス会」
これはね、ある中学校のクラス会のお話しなんです。
卒業した後にね、盆休みとかになるとクラス会をやったりするじゃないですか。このクラスは、非常にまじめで、仲が良くてチームワークが良い。頭がよくてまとまったクラス。先生も鼻が高かった。とても優秀、なにせ仲が良くて最高に楽しい。クラス会も盛り上がって賑やかワーッとやっていた。最高に素晴らしいクラス。
そんなクラス会。みると、端の方でぽつーんと座って黙っている女性がいる。だーれも彼女に気が付いていないらしい。気にしていないのか無視しているのか。彼女もたった一人で黙ってる。やがてクラス会が終わってお開きになると、みんなは二次会に行くわけです。最高に仲が良いクラス、素晴らしい団結力があって優秀なクラス。クラス会は思い出話や将来の夢なんかを語ったりしながらワイワイワイワイ盛り上がっちゃう。そんな素晴らしい団結力があるクラスなんです。
このクラス、チームワークが良くてまじめで優秀なクラス。団結している。ただ一人、彼女を除いてね。このクラスは団結していたんですが、それは全員じゃない。彼女はいじめられていたんです。彼女対全員なんですよね、このクラスは。
そんなある年のクラス会。幹事が開始時間を間違えて案内してしまったために、前日に全員へ電話を掛けたんですね。で、その彼女の家にも電話を掛けたんですがね…。
一言コメント(ネタバレ注意)
虐められていた「ノダキヨミ」という女性。クラスメイト全員のストレスのはけ口になっていたんですね。脅しや暴力ではないんですが、陰湿なイジメですよね。物を隠したり無視したり笑ったり。全員が彼女をいじめたんです。
彼女はもともと足が悪いということで、彼女がクラス会の宴会場から去っていく足跡が稲川擬音によって印象的に表現されています。「ピタッ…トン!」「ピタッ…トン!」「ピタッ…トン!」
いじめられていたのに、毎回クラス会にやってくる彼女。幹事が電話して発覚するんですが、実はずいぶん昔に亡くなっていたんです。「友達が欲しい」と書き残して自殺してしまったんだそうです。
タイトルにもある「最後のクラス会」に、彼女がやってきます。例の足を引きずって、「ピタッ…トン!」「ピタッ…トン!」「ピタッ…トン!」
第二話「気のせいか?」
お寺の掃除を手伝っていた娘さん。夜遅くなったので先に帰るよう言われて、お墓を通って家路についていたんですけどね。どうも後ろから追いかけてくる気配を感じる。どんどん距離が詰められているような感じがするんですよ。
怖くなってきて、トットトット急いで帰ったんですが、前から風が来るのに、後ろからもふっと風が吹いてくるんです。まもなく家の玄関というところで安心したのも束の間…。
一言コメント(ネタバレ注意)
短くてシンプルなお話し。長編の間に挟むようなお話しですね。
後ろから誰かが確実についてきている気配がする。玄関へ足を突っ込む寸前に、(あ~気のせいか)と思った。そしたら突然後ろから、「気のせいか」って声がしたっていうんですよ。
第三話「彼女たちの修学旅行」
ある普通の高校なんですよ、そこには不良グループがいたんですよね。グループはある事件を起こして停学処分になってしまった。で、修学旅行の時期だったんですけど、不良グループは停学中ですから「修学旅行に参加は認めない」ということになった。不良グループは反発して、また暴れてしまった。バイクでもって暴走して、グループのメンバーが事故で亡くなってしまったんです。
そして、残念ながら修学旅行自体が中止になってしまったんですね。ただ、それじゃあみんながかわいそうだということでね、苦肉の策で、自由研究という名目でその期間の計画を親と学校の承諾を得れば、旅行してもいいということにしたんです。
仲の良い6人の女の子は、地方の貸別荘に旅行に行くことにした。このうちの1人の女の子には、違う楽しみがあった。後でバイクで追ってくる彼氏と現地で落ち合おうと計画していたんですよ。親には内緒でね。もちろん、他の5人のグループには伝えてね。
で、6人は電車を乗り継いで、バスに乗って現地へ向かうわけです。貸別荘についた彼女はね、同じグループの女の子から、「あなたの彼氏はバイク事故で死んだ」と告げられてしまうのですが…。
一言コメント(ネタバレ注意)
死んだのは誰?的な話。『稲川淳二の怖~いお話Vol.1霊界への扉』に収録されている「霊界への扉」と近い内容。「霊界への扉」は一方が生きている展開でしたが、本作は彼女以外全員事故で亡くなってしまって、そして彼女も数年後にトラックにはねられてしまうという、なんとも救いがないお話し。
彼女を訪ねてバイクの彼が部屋へやってきて、グループの女の子が彼女を引き留める際に、「行っちゃだめえ~」「行っちゃだめえ~」と恐ろしい声で静止します。
ハッと気づいた彼女は病室にいて、グループの中で唯一生き残った。そして、後を追っていたバイクの彼も、事故に巻き込まれて亡くなってしまっていたんです。
この話、元体操選手の森末慎二さんに聞いたんだと稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」でおっしゃってました。
第四話「207号室の入院患者」
大ベテランの看護婦さんなんですよ。この方の新人時代、初めての夜勤の日の経験なんです。
夜中、ナースセンターでいるんですが、昼間の疲れと緊張からうつら~うつらしちゃった。気づくと、ナースコールのランプがついてる。207号室。そこは、ナースセンターとは別棟なんですがね、(なんだろなあ)と思って、懐中電灯をもって、「ヒッタヒッタヒッタヒッタ」207号室へ歩いて行った。
部屋の表札には吉川何某って書いてある。中を覗くと中年の女性がちょこなーんと座っていて、ブルブルブルブル震えている。「ここおかしいわよ!」「お願いだから部屋変えてちょうだい!」「窓から若い顔の潰れた女が私のことを呼ぶのよ!連れていかれると死んでしまうから、お願いだから部屋変えてちょうだい!」と半狂乱状態。看護婦さんは、窓越しに外を見て何もないことを確認して、吉川さんを落ち着かせて、ナースセンターに戻った。
しばらくすると、またナースコール。見ると「207」。通路を通って207号室に向かった。部屋に入ると、今度はベッドの周りをグルグル歩き回っている。同じように「顔の潰れた女が…部屋を変えてちょうだい!」と繰り返す。しまいには、外の確認するために開けた窓からその女が入ってきたと叫ぶ始末。あーだこーだ言っているうちに、その患者さんは疲れて寝てしまって、看護婦さんはまたナースセンターに戻ったんです。
3度目のナースコール、見るとやっぱり「207」。しょうがない、通路を進んでいくと通路で何かがしゃがんでいる。さっきの患者が部屋の外でしゃがんでいたんですよ。「あいつが部屋の中に入ってきちゃった!隣のベットで寝て、私を引っ張るの!」とヒステリックにお願いだから部屋を変えてほしいという患者。仕方なくナースセンターの仮眠室を案内することにして、2人で向かったんです。
ドン!と何か重い扉が閉まったような音がして、急に患者が居なくなった。ナースセンターに居合わせた先輩ナースに「207号室の吉川さんを見ませんでしたか?」と聞くと、「207号室に患者さんはいないのよ。付いてきなさい。」と、鉄の扉の前に誘導された。扉を開けるとそこには…。
一言コメント(ネタバレ注意)
この話は私大好きなんですよ。吉川さんと顔の潰れた女が、ラストでどのように関係してくるのか。オチっていう感じではないんですけど、この展開はなかなか予想できなんじゃあないでしょうか。
病院っていう場所は、生と死が交わるこの世の別れ道ですからね。幻覚なのかまたは意識の暴走なのか、病院に蠢く負のエネルギーが、そうしたこの世ならざるものを見せてしまうんじゃないでしょうかね。
第五話「病院裏の火葬場」
尿道結石が原因で検査入院することになったAさん。Bさんが見舞いに来た際に、”病院裏の火葬場”の話を始めた。
「古い病院の裏に小さな墓地があって、その先には廃屋になっている焼き場がある。この小屋の窓は打ち付けられて入ることはできないが、間違って中を覗いてあるものを見てしまうと、見たい人間は死ぬんだってさ。」
入院患者に向かって妙な話をしやがって、趣味の悪いやつだなあとAさんが言うと、Bさんは笑って帰っていったんです。
ほどなくしてAさんは退院したんですが、今度はBさんが体調を崩してしまった。実家の家業を継ぐと言って、療養もかねて福島県に帰ったんです。それからしばらくすると、Bさんから電話があった。聞くと、入院していて手術になるかもしれない、退屈で暇だから遊びにこない?そういう電話だった。結構元気そうだったんですよ。
休みができたら行くよとAさんは答えたんですがね。すぐにまた電話がかかってきた。「遊びに来てくれよ、頼むよ、来てくれよ。」なんだか様子がおかしい。Bさんへ見舞いに行ったところ、Bさんはげっそりやせ細ていた。そうとう神経質になっているなと思ったんで、「手術なんか怖くないよ、寝てりゃあ治るんだから。」安心させようと盛り上げたんですが、Aさんの帰り際に、例の”病院裏の火葬場”
の話を始めたんです。Bさんは、入院先の病院で、火葬場を覗いてしまったと告白し始めます…。
一言コメント(ネタバレ注意)
別名「火葬場」ですね。この話も恐ろしくて良いですねえ。
Bさんが作り話と思ってAさんに語った火葬場の話、これが現実のものとなってしまうのですが、本当にBさんが火葬場を見てしまったというより、無意識の中で幻覚を見てしまい、自分に死が迫っていることを知らされてしまったのかもしれません。病院裏の火葬場?あなたが入院してしまった場合は、探さない方が賢明だと思いますよ…。
そうそう、このライブ盤は話の最後にかなり驚くことが起きますので覚悟して聞いてください…。
それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。
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