こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。
金曜日は闘いのワンダーランド!
毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。
新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!
新日本プロレスワールドとは?
新日本プロレスの動画ストリーミングサービスで、大会の生中継・見逃し配信・過去の試合・オリジナルコンテンツetc…月額たった1,298円(WEB決済の場合)で楽しめちゃうすごいサービスです!
動画はパソコン・スマホ・タブレットなどのデジタルデバイスで見ることができ、Google chrome castなどがあれば大画面テレビにキャストして観ることも可能!
あなたの自宅がスペシャルリングサイドに早変わり!
気になる方は↓をクリック(まずは無料動画だけでもチェックしてみてくださいね)
※サイトリニューアルに伴い、過去の試合の多くが視聴できなくなっています。
また、WEB決済とアプリ決済(Google PlayやAppleなど)で月額料金が異なりますのでご注意を!
アントニオ猪木名勝負セレクション
新日本プロレスワールドのリニューアルで過去の動画の多くが視聴できなくなっています…。
リニューアルに関する幣ブログの記事はこちら↓。
木谷オーナーが動きだし状況が緩和されているような印象を受けますが、リニューアル時のファーストインプレッションです。
過去の試合は順次追加されていくとのことですが、「今日その日」の動画がほとんど存在しなくなってしまったので、しばらくは「アントニオ猪木名勝負セレクション」と題して、アントニオ猪木の名勝負を振り返ることにします!
というわけで、本日の試合はこちら。
初期新日本プロレスの名物カードですが、1976年の猪木VSシンに強烈な違和感が…。
テーマ不在の猪木VSシン
この試合を3つのテーマに絞って解説していきましょう。
①異種格闘技路線の直前
②まさに狂人
③カタルシスがない試合
それでは、1つずつ振り返ってみましょう。
①異種格闘技路線の直前
1976年のアントニオ猪木は、プロレス史、いや世界格闘技史に残る特異なファイトを展開した1年でした。
柔道金メダリストのウィリアム・ルスカ、ボクシング世界チャンピオンのモハメド・アリなどとの異種格闘技戦は、猪木本人にいわせると「プロレスと格闘技を分けたことはない」とはっきり明言されるのでしょうけど、格闘家とのプロレス/プロレスラーとのガチンコ/格闘家とのガチンコなど、普段のリング上とは異なる異質な試合をこなした1年であったことは間違いないでしょう。
モハメド・アリへの挑戦に端を発した異種格闘技戦の数々は、ルスカ側の金銭的な事情から実現したとされる柔道金メダリストとの一戦から本格化します。
今回紹介するタイガー・ジェット・シンとの試合は、そんな異種格闘技路線に突入する直前に組まれた試合。
猪木とシンの数々の遺恨は、前年1975年にNWFヘビー級選手権を巡る一戦(シンが猪木から奪取し、猪木が再び奪い返す一連の抗争)で決着をみたかに思えましたが、年明け早々に改めてマッチアップされたようです。
猪木のもつNWF王座にシンが再び挑戦表明をしたところ、猪木はルスカの挑戦に対してベルトを賭ける意思を表明したことから、怒りのシンが猪木を襲う!という流れだったのかもしれません。
改めて「プロレスも格闘技も同じだ」と怒られてしまいそうですが、2月6日のルスカとの一戦を前に、ビール瓶を駆使したコテコテのアメリカンプロレスをやってのける猪木、このあたりが“ホウキとでもプロレスができる”といわれる所以でしょうか。
また、本シリーズの最終戦(と思われる)1月29日にも猪木はシンと対戦し、サーベル攻撃による反則勝ちとなっています。瞼裂傷の流血試合だったようですが、ルスカとの大一番を前に八面六臂の大活躍ですね…。
②まさに狂人
金のサーベルを手に持って頭にターバンを巻いたステレオタイプなインド人スタイルのシン、初参戦のブルータス・ムルンバを帯同して入場。なかなかリングインせず場外から猪木を挑発していきます。
たまらずエプロンから場外へ飛び出した猪木でしたが、しめたとばかりにムルンバが羽交い絞めにしてシンのサーベル攻撃!追撃の椅子攻撃を受けて、猪木はあっという間に流血してしまいました。
リングに戻ったシンに罵声を浴びせものを投げつける観客、シンはさらに挑発するかのように、タオルで猪木の首を絞めていきますが、シンのニタリとしたなんともいえない恍惚の表情がたまらないですねえ。
「試合のことなんか知ったこっちゃない、猪木を殺す!」とでも言いたげなラフファイトを超えた狂人プレー。片時も素の表情にならない、顔面でプロレスできるシンは顔芸の天才でしょう!
特にシビれるのは場外で完全にのびきった猪木をよそに、リング上で首をフラフラ揺らすシンに対して観客が罵声を浴びせるシーン。シンは顔を引きつらせて首を振りながら、2階席の方向をみてさらに挑発するようなシャードーパンチで煽っていきます。ヒールレスラーという役割を超えたキチガイ系で、ぶっ飛んでるというか、イっちゃってるというか…完全にヤバすぎるヤツにみえてきますねえ。
とにかく、このシンの立ち居振る舞いはぜひ注目してみてほしいところです。
③カタルシスのない試合
さて、試合はというとシンが終始狂乱ファイトに興じ、リング上でろくに試合もせず、ほとんど場外戦のみで両者リングアウト。
当時の会場には大型ビジョンがないから、生観戦している観客にとっては場外でチョコチョコやってもろくにみえないですよね。
いくら猪木VSシンだからって、ほとんどリング内で試合をせずにメインイベントが終わってしまうっているのはフラストレーションがたまるんじゃないかなあ。両者リングアウトの裁定が下った後、猪木がシンにナックルパートや逆水平チョップを見舞ったりしていますが、はっきりいって遅いよ!。
大方、最終戦に向けた煽り試合だったか、ルスカ戦に備えた省エネ試合だったんでしょうけど、今の価値観でこの試合をみたらファンは離れていくでしょうね…。
ただ、全員でプロレスを作るという意味では面白いポイントもあって。
本試合のレフェリーは田中米太郎なんですが、とにかく反則に対するジャッジがアマアマで解説の東スポ櫻井さんからもはっきり指摘されています。
田中米太郎はシリーズ序盤にシンにケガを負わされたミスター高橋の代理で試合を裁いており、同様にシンから暴行をされることを恐れて甘いジャッジになっているのでは…といわれる始末。
不透明決着、シンが一方的に攻める猪木の省エネ試合、田中米太郎のヘナチョコジャッジ、それをフォローする解説陣etc…
流れをうまく作っているなあと感心する一方で、やっぱり試合自体はなんのカタルシスもない観客のウップンがたまってしまう一戦でした。
↓新日本プロレス黎明期の猪木を振り返るのに最適の一冊!
↓ファイター視点でアントニオ猪木の技術を検証する一冊!
↓ジャイアント馬場という対立軸でアントニオ猪木を考える一冊!
コメント