こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。
金曜日は闘いのワンダーランド!
毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。
新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!
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7月28日は何の日?
今回は、2019年7月28日に後楽園ホールで行われたこの試合をテーマに考えてみることにしましょう!
2020年1月4日/5日の東京ドーム大会で獣神サンダー・ライガーが引退することが決まり、引退試合に向けたラストランとして、過去にゆかりある選手たちとの再会マッチが多く組まれました。
まさにライガー最終章となる2019年、ライバルでもあり盟友でもあったザ・グレート・サスケと組み、トンガリコーンズの大谷・高岩とタッグで激突します!
ライガーの功績
今回の試合は新日本プロレスではなくZERO1で組まれた試合です。
ライガーはこの試合がZERO1初参戦らしく、創始者であった橋本真也ともゆかりがあるし、それを引き継いだ大谷とは新日ジュニア時代にしのぎを削った間柄にも関わらず、意外にも今まで参戦の機会がなかったようですね。
獣神サンダー・ライガーの功績を語りだすとキリがなくなってきますので少しに留めておきますが、ひとつはジュニアヘビー級という階級を確立したことと、新日本純血にこだわらず様々な出自のレスラーと交流を持ったという2点があげられるのではないでしょうか。
ジュニアヘビー級を確立
藤波辰爾~タイガーマスクのジュニアヘビーの系譜を引き継ぎ、ヘビー級のおまけや前座という扱いではなく、新日本プロレス内で興行の柱になる一つのブランドを確立したといえますよね。
海外ではクルーザーウェイトと名称は違うものの、プロレス世界における軽量階級の存在価値を示した功績は大きいのではと思います。
インディーの発掘
そして、インディー系レスラーを新日本プロレスに登場させ、ジュニアヘビー級内のメジャーとインディーの垣根を取っ払ったこともエポックメイキングな出来事でした。
新日本プロレスの選手だけではなく、広く他団体選手に門戸を開いた大会『スーパーJカップ』の開催や、自団体大会『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』に他団体選手を参戦させたりと、ジュニアヘビー級全体の地位向上にも貢献したといえるでしょう。
そうした大会に参加することをきっかけに、インディー系の先駆けFMWからはハヤブサが、地域密着のローカル団体みちのくプロレスからはサスケ・デルフィン・TAKAみちのくらが一気にスターダムに駆け上がって行きました。
ライガーの価値基準
ライガーはよく「ジュニアもヘビーも関係ないし、メジャーもインディーも関係ない。良いもんは良いし、評価をするべき」といった趣旨の発言をしていました。
新日本プロレスであることの選民思想やジュニアヘビー級であることのへりくだりなどはなく、純粋にレベルの高い戦いを望んでいたし、そうした選手にスポットライトを当てたかったのかもしれませんね。
ある意味では自らがメジャーに押し上げた選手でもあるザ・グレート・サスケとタッグを組んで、ライガー最終章でZERO1初参戦となりました。
トンガリコーンズ
そんな90年代新日ジュニアで毎日のようにしのぎを削っていた選手が今回の対戦相手。
大谷・高岩に金本を加えたトリオはトンガリコーンズ(チーム名ではなくて愛称)と呼ばれ、ライガー・サムライ・カシンとの試合は、90年代新日本ジュニアのハイライトともいえる試合でした。
ジュニアヘビー級戦線が盛り上がったのはライガーというスター選手の後輩に、熱い男/大谷や3代目タイガーマスク/金本がいたことは忘れてはいけません。(高岩はジュニアの超竜と呼ばれるまで頭角を現すのが少し遅かった印象ですね)
残念ながら金本は新日退団時の経緯などが影響してか、ライガー最終章に絡んだ試合に参戦することができず、新日系とは絶縁状態が続いています。
大谷は2023年7月現在、2022年のリング禍で頸髄損傷を患いリハビリに励んでいます。大谷はいつもプロレスで世の中を明るくしようと励ましてくれました。今度はファンの私たちがプロレスの力で大谷晋二郎を元気づける番です。募金やチャリティー興行などで応援したいですね。
試合内容
ZERO1の真夏の祭典「火祭り2019」の決勝戦のセミファイナルとして組まれた一戦。
本動画の実況解説は試合の後に収録されているため、ライガーが特別ゲストで解説しています。自分の試合を自分で語るシチュエーションですが、ライガーはけっこう言葉数が少ない(笑)ZERO1の試合を特別に新日本プロレスワールドで配信している珍しいケースかもしれません。
リングアナはうれしいサプライズでケロちゃんがコール。この試合は「1999年7月の盛岡でのIWGPジュニアヘビー級タッグ選手権以来、20年ぶり」だそう。当時はチャンピオンチーム<ライガー&サスケ>に<大谷&高岩>勝利してベルト奪取していますが、実は<大谷&高岩>は初代IWGPジュニアヘビー級タッグ王者、そう考えると歴史の流れは感慨深いものがありますよね。
そして特別レフェリーは保永昇男!まさに役者はそろったという流れでゴングです。
全選手抜群の動き
試合はライガーと大谷のマッチアップからスタート。互いに当時を思い出すような確認をしながら、ロックアップやグラウンドの攻防を展開します。
それぞれサスケと高岩へのタッチを経て、次第に試合がスピーディーに進行。ライガーをコーナーマットへ逆さづりしての低空ドロップキックや逆水平チョップで押し込みますが、次第にライガー&サスケに捕まってしまい、場外で怒りの獣神による椅子攻撃のえじきに。最前列の観客にパイプイスが当たってしまわないかひやひやします(笑)
激しい攻撃が大谷の熱いボルテージに充填されていき、大谷コールが自然発生!しばらく大谷のローンバトルが続きますが、サスケのセントーン・アトミコの自爆を誘発し高岩にタッチ。サスケのケブラーダ、ライガーのトペコンヒーロが大谷・高岩に炸裂し、一進一退の主導権争いが続きます。
ベテラン選手たちは流石の試合展開、緩急の付け方が絶妙で、トップスピードはないもののトロトロした印象はまったくなくてかなり動きが良い。軽量級ということもあってか、ヘビー級のベテラン選手とは違って、ノソノソしたトロさがまったくないことが驚きです。
得意技の応酬からフィニッシュへ
ライガーにコーナーで尻餅をつかせることに成功した大谷は、いよいよあの「顔面ウォッシュ」を見舞っていきます。
よく考えればこの技はいかにも「プロレス」的。そもそもプロレスは格闘技である側面を考えるとありえない技ですが、こうしたリングを縦横無尽に駆け回るスピード感や華やかさ、またエンタメ性を許容したのも、90年代ジュニアヘビー級の大きな役割だったのかもしれませんね。(顔面ウォッシュは元々は金本浩二が考案しましたが、次第に大谷が自身を象徴する技に昇華しましたね)
ライガーの代名詞である掌底に顔面を突き出して受けきる大谷、ライガーからのダメージを次第に熱いパワーに転換してボルテージが溜まっていきます。ライガーの必殺技である垂直落下式ブレーンバスターをカウント2で返し(試合権利をもつサスケのカバーがちょっと遅かった)、サスケからの猛襲が続きますが、トップロープからのシャリマティ、サスケスペシャル10Ver10.2セグウェイ(モノマネ禁止)を被弾するも、高岩のカットが間に合いカウント2。
両軍入り乱れて勝負どころとみた大谷&高岩はライガーを分断することに成功すると、大谷はサスケに対して得意のミサイルキック→ライガーボムを放ち、創始者・橋本真也の得意技でもあった袈裟斬りチョップで、勝利を収めました。
ライガーは直接試合の結果には絡みませんでしたが、この後ライガー引退試合で再び相まみえることになります。この続きはライガー引退試合まで持ち越されることになりました。
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