稲川淳二の怪談を整理する、怪談！稲川倉庫です。
今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection6 樹海』を整理！
（CD発売日：2007年6月8日）＜MNT-06＞
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ
同シリーズ6枚目の作品。
アルバム名からわかる通り、樹海！樹海！樹海！
樹の海と書いて樹海！
樹海特集のアルバムです。
なんですが、樹海モノ以外も入っていてちょっと統一感がない（笑）せっかくだったら全話樹海にしてもよかったんじゃあないですかね。
樹海モノは3話収録されていますが、怪談の枕に“樹海”に関するちょっとしたエピソードトークがあって、スムーズに本筋に入っていくという。
雑談と怪談の境目がわからないこの話芸こそが、座長のトーク力ですよね。話題がどんどん紡がれるようにつながっていく。
だから、座長は怪談話以外も超おもしろいし、ますます引き込まれていくのです！
本作、『～Selection6 樹海』の収録話は以下の通り。
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection6 樹海』
MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト セレクションシリーズの第6弾はファン待望の”樹海”三部作が完全収録！ 富士山麓青木ヶ原樹海…、稲川ワールド炸裂！
公式ホームページから引用
樹海”三部作”とのことなので、稲川怪談の中でも、とりわけ推しの樹海話をまとめましたってな感じですね。
ポチップ
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（ベストアルバムBOXにようなもの）
樹 海 ～放置車～ (2000)
樹海での撮影現場へ向かうタクシー。ドライバーが導かれた謎の場所とは…。
公式ホームページから引用
真夜中、富士の樹海で恐怖モノの映像作品を撮っていたんですよ。
撮影の合間、セッティングの時間。暗闇の中からタクシーがやってきたもんですから、「演者が乗ったタクシーが来たんだな」そう思ったんです。
そのタクシー、えらいスピードを出してやってきたんですが、車が止まってもどうも様子がおかしい。車から一向に人が降りてこないんですよ。
しばらくすると、おもむろに車から降りてきた運転手と若手の俳優、「ここへ来るまでに恐ろしい体験をしちゃった」っていうんですよ…。
その若手の俳優さん。翌朝一番の撮影なもんですから、夜のうちにその撮影クルーがいる宿舎に向っておくように事務所からいわれたんですね。いわゆる前乗りというやつです。
駅で拾ったタクシーに乗って、目的地が書かれたFAXを渡した。俳優は道中眠ってしまって、ふっと起きると、運転手は「道間違えたかなあ」って妙な悪路を走っているんですよ。どうやら運転手は道に迷ってしまったらしいんですが、その時、前方に車の屋根のようなものが見えた。
「ちょうどよかった、道を聞いてみよう」と近づいていくんですが…。
一言コメント（ネタバレ注意）
タイトルにある通り、そこで「放置車」と遭遇してしまい、得体のしれない何かを見てしまうんですが、けっこう明確なオチもついていて、じゃあなんでそんな道を走っていたのか…とゾクっとさせる終わり方になっています。
稲川怪談で放置車系にカテゴライズされる怪談はいくつかありますね。以前紹介しました「血塗られたバス」なんかもそうでしょう。
もしかしたら、放置車系ジャンルは、稲川怪談に限らず全怪談共通のあるある話なのかもしれませんね。
樹 海 ～たたられた男～ (2006)
樹海の暗闇の中、どこからか聞こえる自分の名を呼ぶ声。 誰でも半狂乱になってしまいますよねぇ…。
公式ホームページから引用
春先の夜中、富士の青木ヶ原樹海でロケをしていた時のことなんです。前に歩いている女性やロケバスに乗っている女性が1人多く見えたり、妙なことが続いていたんです。しかも、その女性の姿っていうのが、ワンピースのような服にハイヒールですからね。樹海にそんな格好の女性なんかいやしないんだ。第一、歩けないですよね、そんな靴じゃあ。
撮影が進んで、遠くの方で焚いている照明を支えておくために、若手のスタッフが付いていたんですよ。照明が倒れたりしちゃ大変ですからね。スタッフがこちらから離れて、ポツンと一人で立ってる。
その彼から無線が入って応答すると「誰かこっちに来ている」っていうんですよね。ああ、あいつ怖がってやがんなってみんな笑ってましたよ。暗闇の中で照明持って、たった一人ですからね。
演者が位置について、じゃあ撮影を始めようかというとき、その若手スタッフが
「ギャー！」
けたたましい悲鳴を上がったかと思えば、走ってこっちへ向かってきた。
どうやら「死体を見た」らしいんですよ。
暗闇の中、溶岩でできた穴ぼこの中から
「アラキ…」
と自分の名前を呼ぶ声を聞いたっていうんですが、この後「アラキ」くんにさらに恐ろしい出来事が巻き起こるんです…。
一言コメント（ネタバレ注意）
アラキ君を呼ぶ声が聞こえた穴ぼこを見にいくと、そこにはワンピースのような布切れと黒いハイヒールがあった。
それは樹海やロケバスの中で見た、”消えた女性”が身に着けていたものに似てるっていうんですよ。おまけに穴から伸びた木々の枝に、長い黒髪がびっしり巻き付いていた…っていうんですよねえ。
もう死体は回収されたけれども、ここで自殺した女性の持ち物だったんでしょうか…。
で、アラキくん。この撮影の後日、なにかに導かれるように自室で首をくくっているところを、寸前のところで知り合いに助けられるんですが…
部屋に入ってきた時、そこに黒いハイヒールがあったって知り合いがいうんですよ…。
もし、樹海の穴ぼこで首をくくって死んだ女性がいたんだとしたら、なぜアラキ君が標的になったんでしょうか。道連れにしたかったのかもしれませんが、アラキ君は憑かれちゃったでしょうねえ。
このお話し、途中でアラキ君と撮影スタッフが無線機で会話するシーンがあるのですが、座長の「ジィーッ」という無線音がけっこうツボ。
このCD版の他にもいろんなバージョンがありますし、作品によってスタッフの会話が無線を掛けてくるアラキ君にもっとぞんざいなバージョンも存在します（笑）
バージョン違いの取り扱い
稲川怪談にはいろんなバリエーションがありますので、私の中ではミステリーナイトツアーのCD版とDVD版を一応スタンダードのものとして、それ以外を勝手に亜種扱いしています。
全部が「公式であり正しい」んですが、一応センターというか王道というか、そこに据えておくニュートラルなバージョンを設定しておくことは必要かと思ってまして。
亜種のバージョンもたくさんありますので、聞けば聞くほど面白い・そして他のバージョンを探したくなるのが、稲川怪談の魅力でもあります。
Youtubeチャンネル「遺言」
このお話は稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」にも上がっていますので、ぜひチェックしてみてください。しかも、人気作のためか2バージョンあります！
スーパーマーケットの加工場 (2005)
非日常な”空間”は実はどこにでも存在するのかも知れませんね…。
公式ホームページから引用
友人から聞かされたちょっと不思議で、結構怖いお話です。
座長の友人で、元Jリーガーの山田さんが体験したお話しなんですがね。山田さんは仙台でメロンパン実演販売の事業を興していまして、大変に人気なんだそうですよ。
で、地元の大手百貨店が新興住宅地にハイクラスのスーパーマーケットを開業することになったっていうんで、山田さんの会社にイベントで実演販売してくれないか？って、白羽の矢が立ったわけなんです。悪い話じゃあないですからね、話はまとまったわけです。
材料だとか機材だとかね、搬入はできれば夜中の内に入れたいってスーパーの関係者に伝えたところ、「夜は都合が悪いけど、朝ならどれだけ早くても構わない」っていうんですよ。
じゃあってんで、夜中のうちに出掛けてね、若手社員とワゴン車に必要な材料なんかを積み込んで出発した。夜中ですからね、渋滞もないし早く着いてしまったんですよ。もしかして空いてるかなあとおもって、一応スーパーマーケットの周りをグルグル回ったんですが、夜中なもんでやっぱり玄関が開いてない。
仕方がないから車で待機してたんですが、山田さんいつのまにか寝てしまった。すると、若手社員が「灯りがついてます」って起こすんですよ。見れば確かに灯りがついている。
どうやら、鮮魚売り場の加工場から灯りが漏れているらしい。
2人は灯りを頼りに入り口を探しながら向かうことにしたんですが…。
一言コメント（ネタバレ注意）
この話、個人的にすごく好きなんですよね。ガスマスクをつけて、鮮魚売り場で死体を捌いているって最高に恐ろしいじゃないですか（笑）
2人は時空のゆがみを彷徨って、かつて旧日本軍が人体実験していたというその研究所に迷い込んでしまったようですねえ。
夜中は都合が悪いっていってましたから、ほかにも既に見てしまった人がいたんでしょうね、きっと…。
元Jリーガーの山田さん関係のお話でいうと、「勧誘」なんかもそうですね。山田さんご本人からも聞いてみたいです！
彼女達の修学旅行 (1998)
彼女達の修学旅行…、峠を走るバスの中で一体何が起きたのか？ こんな事ってあるんですねぇ…。
公式ホームページから引用
テレビ局のタレントロビーで、オリンピック金メダリストのMさんから聞いたお話しなんです。Mさんの知り合いの女性がね、高校時代に自分の学校であった事件を話してくれたっていうんですよ。
それはっていうと。地方の高校なんですが、非行グループが大暴れしちゃって停学処分になったんですよ。で、修学旅行も行かせませんてことになってしまった。反発した非行グループはさらにバイクの暴走行為で大事故を起こしちゃって、グループの2人が亡くなっちゃったんです。そんな事故があったから、その年の学年全員の修学旅行が中止になってしまった。
それじゃあ真面目に学業に専念している生徒たちがかわいそうだってことで、苦肉の策でもって、修学旅行の期間を自由に使ってくださいってことになったんだそうですよ。親の承諾があって、学校に届け出ればね、時間を何に使ってもいいってことになった。
仲の良い女子グループで、貸別荘に宿泊することにしたキョウコさんたち。景色の良い大峰峠を乗り合いのローカルバスで現地へ向かったんです。バスの中ではあれやこれやで盛り上がっちゃう。山があって谷があって、景色が最高に美しい。
で、そのキョウコさんなんですが、実はもう一つ楽しみがあったんですよね。親には内緒で彼氏と現地で落ち合うことになっていた。仲の良い女子たちと、バスの中ではワイワイ盛り上がっちゃう。そして、現地では彼氏と会える。最高ですよね。
「ドーン!!」
楽しいはずだった、彼女たちの修学旅行。
急な衝撃と共に、キョウコさんの目の前には運命の扉が現れるのです…。
一言コメント（ネタバレ注意）
他の媒体では、はっきりと森末慎二さんに聞いた話、しかもNHKで聞いたとまではっきり明言しています（笑）このCD版でも金メダリスト・とてもさわやかな好青年・CMでも活躍している、と言っていますから連想クイズで正解できそうなもんですけどね。
これは稲川怪談のなかでもかなり救いがない部類のお話しですよねえ。お友達は死んじゃうし、キョウコさんは道連れにされそうになるし、手を差し伸べてくれた彼も死んでいたという。そして、最後はキョウコさん自身も事故死してしまうという。
この話は『稲川淳二の怪談ナイト～ミステリーナイトツアーライブ盤』にも収録されていますので、ライブ盤と聞き分けてみるのも面白いですよ。
今作もまたさまざまなバージョンがありますし、非行グループがゴキゲンに暴れまわるシーンが長いバージョンもあったような気がします（笑）現在でも入手できるCDやDVD、そして過去のメディア作品や果てはテレビのバラエティ番組版など探し続けるとキリがないですが…。
皆さんも、稲川怪談沼にハマってみませんか？
Youtubeチャンネル「遺言」
このお話も稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」にも上がっていますよ。
樹 海 ～霊界からの挑戦～ (1994)
随分と以前から話し続けている私の”樹海”での体験談です。 向こう側の世界への入り口を見つけた私に、あの”声”がもの凄い勢いで襲ってきました。 今でも、いや一生忘れる事はありませんね…。
公式ホームページから引用
TBS系列28局の女子アナウンサーを集めて、クイズ番組をやるって特番があったんですよ。座長はクイズの出題者に選ばれまして、樹海からクイズを出すことになった。
富士の樹海のうっそうたる雑草をかき分けて、女子アナ2人と暗い木々の奥深くに入っていく。
女子アナにロープを括り付けて、どんどん奥底に進んで中継させることにしたんですが、
物音がことりともしない樹海の中で、「ロロロロロ～」
お経のような低い声が遠くの方で聞こえてくるんです…。
一言コメント（ネタバレ注意）
稲川淳二in樹海ではもっとも有名なエピソードでしょう。この話、どんな話だと聞かれてもうまく説明ができません（笑）
稲川淳二の樹海リアル実況という感じで、その時樹海に入った時に起きた出来事を、生々しく時系列に沿って話してくれます。この会談で話されているテレビ番組の収録は実際に放送されたとのことで、動画サイトにUPされていたりします。気になった方は探してみてください。（公式ではないので直リンクは控えておきます）
また、過去に紹介しました『ホントに怖いから聞かないで』にも「樹海からの誘い」というタイトルで収録されていますよ。
Youtubeチャンネル「遺言」
このお話も稲川淳二公式YouTubeチャンネル「遺言」にも上がっています。本CDの作品はほとんど公式YouTubeチャンネルで語られていますね。
さいごに
いかがだったでしょうか？
ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin6！
公式YouTubeチャンネルで語られている話が多いということもあって、今なお絶大な人気を誇る怪談集と言えるでしょう。私のイチオシ「スーパーマーケットの加工場」はYouTubeにはないようですので、是非CD版でじっくり聞いてみてほしいです！
ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。
それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。
ポチップ
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