男版&女版のバイオレンスガンアクション!石井隆監督作品『GONIN』『GONIN2』を観た!

今回は池袋・新文芸坐で、石井隆監督の追悼特集として組まれた上映プログラムから、『GONIN』『GONIN2』見てきましたので、紹介したいと思います!

マフィア・ヤクザ系のアクション映画がお好きな方にはオススメです!

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GONINシリーズ

『GONIN』シリーズは映画プロデューサーの奥山和由氏と映画監督の石井隆氏による、バイオレンス・ハード・ガンアクションシリーズです。

『GONIN』『GONIN2』は舞台設定は近いものの、それぞれのストーリーに関連はなく、登場人物も異なります。共通点は、主人公が『5人』であること。

それから、『GONIN』には『GONINサーガ』という純粋な続編があるようですが、続編には奥山氏は絡んでいないようです。『GONINサーガ』は2015年の作品なのでわりかし最近の作品ですが、未視聴なので機会があったら観てみたいですね。

『GONIN』は、本ブログの『映画を観た!』コーナーおなじみの、「アナーキー日本映画史」にも掲載されています。

本書紹介の映画全視聴を目指してます!

それでは、『GONIN』『GONIN2』をそれぞれ紹介します!

『GONIN』

1995年公開、石井隆監督作品。『GONIN』は(ゴニン)と読みます。

先にも書きましたが、主人公たちは”ある目的”のために集まった5人衆です。

上の方にいるのが主人公たち…ではありません。左のビートたけしは敵役です!

☑ここは見てほしい!オススメシーン

・ビジュアル系ロックシンガーばりの本木雅弘の豹変っぷり
・急に閑散となるファミレスの異様さ
・大雨の組事務所襲撃、ビートたけしのスウェット姿がリアル

レストランでの襲撃シーン

ある日、YouTubeの”あなたへのおすすめ”『GONIN』のレストランシーンを視聴しました。根津甚八と、別れた妻子らしき人がファミリーレストランで復縁らしい話をしていて、賑やかな店内でウエイトレスはあわただしく給仕をしています。

刹那、気づくと店内はがらんとして、根津甚八を残して誰もいなくなってしまいました。何かを察した根津甚八はトイレから出てきた妻子を抱え、すぐに自家用車に向かい、助手席に押し込んみます。その瞬間、銃撃に合い妻子は打たれてしまうのです。銃で応戦する根津甚八、追いかけてくるのはビートたけしでした。

突如YouTubeで目にした、異様なレストランのシーン。私と『GONIN』の出会いはYouTubeの”あなたへのおすすめ”だったわけですが、違法アップロードを肯定する気はないものの、こうした思わぬ出会いから映画本編にたどり着くことだってありますので、デジタル社会の不思議なところです。

『GONIN』のあらすじ(ネタバレ注意)

主人公はディスコを経営する万代(佐藤浩市)。ヤクザからの借金で首が回らなくなっていたところ、バッティングセンターで竹中直人演じるサラリーマンの荻原からイチャモンを付けられてしまいます。荻原はリストラされて仕事がないからと万代に求職し、自身のディスコへ向かったところ、借金元のヤクザが客を帰らせて好き勝手に遊んでいました。万代とヤクザが揉めるや否や、荻原がバットで応戦、ディスコにいついている美青年の三屋(本木雅弘)も喧嘩を買って参戦、ヤクザは兄貴分になだめられるようにして退散します。

万代はヤクザが日々危ない金を動かしていて、金庫に大量の現金があるという情報を持っていて、三屋とともに組事務所に突入して金庫破りを画策します。その仲間に、組事務所に出入りする元ボクサーのジミー(椎名桔平)、過去に万代と因縁がある元刑事の氷頭(根津甚八)、リストラリーマンの荻原を加え、組事務所に突撃し現金強奪に成功します。

が、面が割れているジミーから万代ら5人の仕業であることがバレてしまい、ヤクザはヒットマンの京谷&柴田(ビートたけし・木村一八の2人組)を用意し5人全員を追い詰めます。恋人のナミィ(横山めぐみ)を殺されたジミーは体一つで組事務所へ特攻しますが、返り討ちに銃撃されてしまいます。荻原は自宅に帰ったところを狙われ射殺、氷頭はファミレスで妻子を銃撃されるも命からがら逃げることができました。

万代と三屋は、万代の生まれ故郷である長野県飯田に向かうため、バスターミナルにいました。そこに氷頭がやってきて、例のヒットマンが自分達5人を狙っていることを告げますが、すでにバスターミナルには彼らがやってきていて、万代は射殺されてしまいます。

大雨の夜。組事務所の前で車に乗って張り込む三屋と氷頭。事務所に突入する機会をうかがって随分と待つうちに、氷頭は眠ってしまいます。そこに組関係者が戻ってきて、コンクリート造りの事務所のシャッターが空きます。千載一遇の時、三屋は氷頭家族の写真をみてしまい、単独で突入することを決意。組関係者をピストルで襲撃しますが多勢に無勢で、大ピンチになったころへ乗用車が突っ込み氷頭が登場。互いに打ち合い勝負あったころ、上の階から例のヒットマン2人が降りてきて、さらにピストルの応酬。結局、三屋ただ一人が生き残ります。

飯田行きの高速バス。三屋は遺骨をもって万代の故郷へ向かいますが、途中休憩で立ち寄ったサービスエリアで京谷が再び登場。休憩中の無人バス車中で相打ちになり、2人は息絶えました。

登場人物 全員死亡

かなり短絡的な組事務所突撃&現金強奪計画と、あまり必然性のない5人。ヤクザに借金している万代は当事者なので良いとして、その他の4人はただ金のためだけに集まったのでしょうか?

・リストラリーマンの荻原:金が欲しい、仕事がほしい、ムシャクシャしていて暴れたい?
・元ボクサーのジミー:恋人をフィリピンに帰すための金が欲しい?
・三屋:万代のことが好きだった?
・元刑事の氷頭:元妻とやり直すための金が欲しい?

映画だからやりたい放題ではあるんだけど、5人はヤクザに仕掛けて逃げ切れると思ったんだろうか?ちょっと浅はかに感じてしまいましたね。

それから、組関係者もメンツがあるから、あの手この手で5人を追い詰めます。自分たちでは確実な仕事ができないから、ヒットマンを雇ってよこすほどですが、ヤクザからすると5人全員をやるまで終われないですからね。

ラストシーンでヒットマンの京谷(ビートたけし)が、三屋と相打ち後のバス車中で「疲れた、ちょっと休憩」といってこと切れますが、抗争が始まってしまった時点で、全員死ぬまで終わらない戦いだったのかもしれません。

異様なキャラクターが登場

ちょっとイカレ気味な登場人物が多いのも本作の特徴でしょう。(さっきのあらすじだけだったら、これといって特徴のないヤクザ映画と思われるかもしれませんが)

  • ナイフ野郎の三屋(本木雅弘):冒頭登場する彼は、本木雅弘とは思えないビジュアルバンドばりのメイクと長髪で、タイトに体へ張り付くような服を着ていてかなりキレやすい、どうみても男色系。
    物語には登場しませんが、ゲイを客引きし脅迫して金をせびっていたようです。強奪計画に参加してから、やけに万代になつくようになり、万代は絶命する間際に三屋の意志を知っていたのか、三屋に口づけをします。
  • リストラリーマンの荻原(竹中直人):リストラされたとムシャクシャしている様子。仕事が欲しいと言って万代についてきて、強奪計画に参加しますが、実は家族皆殺しにしていたという恐ろしいやつ。笑いながら怒る竹中直人のネタそのもののヘンなオッサンです。
  • ヒットマンの京谷&柴田(ビートたけし&木村一八):京谷が攻め、柴田が受けのゲイコンビ。京谷のサドっぷりが激しく、荻原をやったあとその家のリビングでおっぱじめる始末。ふたりの関係を示唆するゼンマイ仕掛けのおもちゃが登場します。
    また、大雨の組事務所襲撃の際は、先に柴田がやられ、スウェット姿の京谷が柴田を介抱するシーンがなんとも独特で異様。あれだけサドだったに、やっぱり好きだったんですね。ラストで生き残った三屋を襲撃するシーン、ヒットマンのとしての仕事か、柴田の復讐か、どっちだったんでしょう。
    思えば、万代&三屋もゲイっぽい雰囲気があったから、お互い恋人同士を無くした三屋VS京谷が最後の果たし打ちというのは悲しい結末ですね。

『GONIN2』

1996年公開、石井隆監督作品。『GONIN2』『GONIN』の続編ではなく、同じ舞台をモチーフにした同系統作品です。

バッティングセンター、ディスコなど共通する場所がでてきますが、基本的には配役やストーリーは異なっています。

中心に怪しい人物が写っています。この男は一体…。

☑ここは見てほしい!オススメシーン

・悲しきモンスターとなった緒形拳の不死身っぷり
・素人女が急成長するガンアクション
・喜多嶋舞の可愛さと食肉加工場のシーン

『GONIN』のあらすじ(ネタバレ注意)

しがない鉄工所を営む外山(緒形拳)は、妻である陽子(多岐川裕美)の誕生日に2人で夕食をとり、宝石店に立ち寄ります。陽子は500万円もする猫目石の指輪に憧れるも、安っぽいイヤリングを買って、車で鉄工所の中にある自宅に帰りました。

鉄工所の前には数台車が止まっており、留守の鉄工所には電気が付いていました。外山はヤクザから借金をしており、その取り立てに来ていると察知した外山。陽子に車にいるように告げますが、鉄工所で飼っていたハトはピストルで打たれ、陽子はヤクザに弄ばれてしまいます。

いったんは追い払ったものの、外山は再びヤクザがくると警戒していましたが、眠ってしまっていて気付くと翌朝に。自分に毛布が掛けられていることに不審に思い陽子を探すと、陽子は鉄工所の梁で首を吊って自殺をしていました。

外山はヤクザへの復讐を誓い、手製の刀を作り組事務所へ襲撃。金庫の中にある現金から500万円を奪い、例の宝石店に向かいました。

そのころ、まったく無関係の5人の女たちはそれぞれに事情を抱えて、偶然宝石店に居合わせました。

スタンガンをもって宝石店を襲撃しようとする蘭(余貴美子)、スタンガンを買うところを偶然目撃し、蘭の後を追って宝石店に来た早紀(夏川結衣)。夫の浮気現場を目撃したため、結婚指輪を外してもらうために宝石店を訪れた志保(西山由海)。セーラー服姿の売春婦サユリ(大竹しのぶ)は17歳という嘘が通用しなくなった絶望感にとらわれ、フラリと宝石店に入ってきていました。

4人がたまたま居合わせた宝石店に、強盗が押し寄せてきて宝石を奪って逃げようとします。誰からともなく、4人は強盗に抵抗します。蘭はスタンガンを使って強盗団に抗戦、早紀とサユリと志保もこれに加わり、ついには銃と宝石を強奪。

パニックになった宝石店に、あの日妻と共に見た猫目石の指輪を探しにきた外山がやってきますが、4人は外山とニアミスし店を脱出します。そこに、宝石店店員で強盗メンバーである梶の恋人で、強盗の手引きをしていたちひろ(喜多嶋舞)も加わり、5人は強奪した宝石をどう処理しようか思案します。

ちひろは「いい場所がある」と横浜のディスコへ向かいます。ここは梶たち強盗団のアジトで、強盗団は外山の鉄工所に金を貸していた系列の暴力団員で構成されていました。猫目石の指輪を追いかけてやってきた外山は、強盗団を刀で斬殺していきます。

逃げた5人は宝石を分けたあとディスコでダンスに興じますが、ちひろの密告などもあり、梶たちがやってきてサユリを銃殺。そこに外山も合流し、猫目石の指輪が欲しい外山、宝石をもって逃走したいGONIN、組員がやられた落とし前をつけるヤクザによる、三つ巴の抗争に発展します。

組がよこしたヒットマン(鶴見慎吾)も加わり、外山や残った女たち4人を追い詰めていきますが、途中で逃げ出した志保を除き、蘭・早紀・ちひろが生き残りました。その半年後、3人は暴力団の権力者である野崎(左とん平)を暗殺するのでした。

こちらも濃いキャラが集合

ほぼ全編夜のシーンで構成されていて、雨のシーンが多く全体的に暗い印象。加えて、復讐の鬼と化した緒形拳が登場する際は、ダークヒーローよろしくさらに暗いシーンになっています。緒形拳はもはや不死身のモンスターみたいな描き方になっていて、彼がいるところには”ハト”が登場する演出も印象的です。絶命するシーンは銃弾を浴びに浴びて立ち往生しますが、漫画でよくある大男が仲間をかばって死ぬシーンのようです。

大竹しのぶ演じる売春婦は、どこかフワフワしていてコメディ要素が強いです。テレビで見る大竹しのぶそのもののキャラクターっていうという感じだったんですが、中盤に殺されてから、物語はさらにハードな内容に突き進んでいきます

本作のヒットマンは鶴見辰吾なんですが、前作のビートたけし&木村一八に比べるとキャラがステレオタイプすぎて弱いです。ほとんど見せ場もないし残念。

普通の女性がヤクザに対抗する違和感

だけど、本作の女GONINは、各々のバックボーンがほとんど描かれておらず、偶然居合わせただけで宝石強奪に加担するだろうかと、その必然性がちょっと弱いように感じましたね。しかも一人は途中で逃げ出して以降登場しないという、GONINである必要があんまり明確ではなくて、GONINだから女5人を配置しました、という印象がぬぐえませんでした。

宝石強盗事件から、たった一晩ちょいな時間経過なはずなんですけど、成り行きで宝石強奪に加担してしまった女たちは、それぞれ覚悟を決めてどんどんたくましくなっていきます。

それぞれ何らかの事情を抱えている女性たちなんですけど、やはりバックボーンの描写が弱いせいか、映画シナリオのご都合主義で急にパワーアップしていく感じがして、丁寧さに欠けると感じてしまいました。(余貴美子なんか防犯グッズショップでスタンガンを買うときでさえ訝しげだったのに、中盤から盗んだ銃をばんばん撃つんだもん。)

ハラハラするストーリーは魅力的

ただ、スーパーバイオレンスアクション映画としてみたときに、私は男たちが主人公の『GONIN』よりも本作の方が楽しめました。外山と女性たちがどんな風に交わるのか、物語はどこに向かっていくのかが読めなくて、ストーリーはこちらの方が凝っているなと思いましたね

そして、喜多嶋舞がひたすらにカワイイ。例に大沢樹生の件があったりして、私は世代じゃないものですからノーマークだったんですけど、本作の宝石店店員の喜多嶋舞にやられました。しかも、終盤ヤクザに捕まった食肉加工場のシーンはスゴイっす。エロいっす…。

なかなか機会はないかもしれないですけど、このシーン含め『GONIN』と合わせてみてもらいたい作品です。

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