こんにちは。アツコアツオです。
漫画家ゆでたまご先生を研究する【ゆでたまご研究所】へようこそ。
今回は週刊少年ジャンプの増刊号に掲載された『下町戦争』を紹介しましょう。集英社の赤塚賞に応募し準入選となった『キン肉マン オカマラスの巻』の次作として書かれたギャグ読み切りです。
初期ギャグ作品『下町戦争』
本作は赤塚賞授賞式典の帰り際に、あのアデランスの中野さん(のネタ元であるジャンプ編集の中野和雄さん)から、読み切りを1本書くように依頼されて書き下ろした作品です。
ゆでたまご信者、ゆでマニア、ユデッキーの皆さんは、彼の存在をご存じでしょう。そう、ゆで作品のそこら中に出てくる、モブキャラのこのオッサンです。
本作、『下町戦争』はこのオッサンが主人公。ドン・ピカーデリカオーネという名前です。名前がついていたって、みなさん知っていました?
最近は大好評キン肉マングッズであるメダルコレクションにも紛れ込んでます…。
他にもたくさん超人はいるのになぜこのオッサン…。この衣装はキン肉マン第1話の「宇宙怪獣襲来の巻」における”長官”スタイルですね。
いやはや、前置きにオッサンの紹介が長くなりましたが、『下町戦争』です。
フランシス・コッポラの名作『ゴッド・ファーザー』が下敷きのパロディギャグ漫画です。ドン・ピカーデリカオーネ率いるダウンタウンファミリーと、長屋ファミリーの縄張り争いが中心のお話し。それも町場にいる物乞いの縄張り争いなんです。
ダウンタウンファミリーには長男のケンスイ、次男のガンメン、末っ子のフッキン、そしてドンピカデリカオーネ。
そのファミリーにドラフト会議でスカウトした”ゴミあさりのザブ”が加わり長屋ファミリーと対決します。
ギャグのオンパレード
この作品、今みても結構面白い。絵のタッチには少し癖がありますが、テンポよくどんどんとギャグが飛び出します。とにかくボケのラッシュという感じ。初期のキン肉マンのギャグをもっと激しくしたというか、ちょっとDr.スランプっぽくもあります。
ゆでたまご先生の原作担当・嶋田先生曰く、元々は『ルンペン・ファミリー』というタイトルだったとか。中野さんからルンペンはまずいとの指摘があり、『下町戦争』に改題されたそうです。
話の内容は物乞いや乞食に関するエピソードが多いので、確かにルンペンの方がしっくりきますけどね。週刊誌に掲載するタイトルとしては当時でも不適切だったんでしょう。
嶋田先生はこの作品をかなり気に入っておられ、タイトル変更についても悔いているようです。
『下町戦争』が収録されている単行本
本作は、ゆでたまご短編集『お~い!!マンガだよ~ん』と『闘将!!ゆでたまご』に収録されています。どちらも入手困難なので、気軽に目にして頂ける状況ではありませんが、ぜひ読んでもらいたいギャグ漫画です。
また、キン肉マン熱闘スペシャル(こちらも入手困難)にも収録されています。
機会があれば、『下町戦争』ぜひチェックしてみて下さい!
最後に、『お~い!!マンガだよ~ん』掲載版の巻末にあるゆでたまご先生の作品解説を引用してこの項を終えましょう。
あのフランシス・コッポラの名作『ゴッドファーザー』の舞台を下町に置き換え、パロディとしてかいたのが、この作品です。デビュー後、初作品で未熟な所は多いのですが、部分部分は、現在でも笑えるギャグも多く、気に入っています。
『お~い!!マンガだよ~ん』の巻末から引用
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