新日本プロレスワールド【NJPW今日は何の日】1991年8月11日:番狂わせ?真夏の本場所G1 CLIMAXの第1回大会は武藤VS蝶野の三銃士対決!

こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。

金曜日は闘いのワンダーランド!

毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。

新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!

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8月11日は何の日?

今回は、1991年8月11日に両国国技館で行われたこの試合をテーマに考えてみることにしましょう!

いまや新日本プロレス、いやプロレス界の夏の風物詩となったG1 CLIMAXの第1回大会は、当時新進気鋭だった闘魂三銃士の武藤と蝶野の優勝決定戦になりました。

歴史ある夏の本場所の初回大会を紐解いていきましょう!

https://njpwworld.com/p/s_series_00102_1_1

G1 CLIMAX

新日本プロレス、真夏の最強戦士決定戦は、今や新日本プロレスのみならず世界中のプロレスラーが憧れる舞台といっても過言ではないでしょう。2023年には第33回を迎える新日本プロレスの老舗シリーズです。

歴史を振り返ると過去にはトーナメント形式で争ったこともありますが、その大会の多くは総当たりリーグ戦で行われ、シングルマッチの連戦が続くことから、レスラーにとっては過酷な死の巡業といえるかもしれません。

また、新日本プロレスの純血メンバーはもとより、有力外国人選手や開催時に抗争・交流している他団体選手も参戦し、超豪華なシングルマッチが実現する新日本プロレスの名物企画ともいえますね。

当初はシリーズ名ではなかった

そんなG1 CLIMAX(以後、クライマックスと記載)ですが、第1回大会は単独シリーズではなく『サマー・ナイト・フィーバーIN名古屋』『バイオレンスストームIN国技館』という別々のシリーズを股に掛けた目玉企画の一つ、という位置づけでした。

しかも、名古屋1日・両国3連戦とたった4日間のシリーズで、1か月以上にわたって全国を巡業する今のスタイルと比較するとすごく短い大会だったのです

G1よもやま話

G1クライマックスの名付け親は、競馬好きの坂口征二がJRAの重賞レース「GI」にあやかって命名した、というのが定説なのですが、最近になって元リングアナの田中ケロ氏が自身のアイディアだったと明かしています。(CLIMAXは倍賞鉄男氏である、とも)

また、GKこと金沢克彦氏によると、第5回大会まではG1(ジーワン)の表記は「GI」だったといいます。第5回大会に参戦したリック・フレアーが煽りVTRでGIという表記から、しきりに「ジーアイクライマックス」と連呼したため、翌年から「G1」という表記に改められたとのこと。

「GI(ジーアイ)ジョー」なんていう玩具もありましたから、外国人選手ならジーアイと読んでしまうのは仕方なかったのかもしれません。

第1回大会のメンバー

さて、当時の新日本プロレスでは久しぶりのリーグ戦開催となったわけですが、まさにグレードワンの選手たちのみで開催されることになりました。

いわゆる白星配給係りや、”参加することに意義がある”といった選手は参戦していません!

<Aブロック>
藤波辰爾
武藤敬司
ビッグバン・ベイダー
スコット・ノートン

<Bブロック>
長州力
橋本真也
蝶野正洋
クラッシャー・バンバン・ビガロ

セミリタイア状態だったアントニオ猪木が参戦していないことはさておき、当時のトップどころと、いよいよ台頭してきた闘魂三銃士のみが参加という、誰が優勝してもおかしくないメンバーたち。

三銃士のライバルとされていた馳浩や佐々木健介も参加しないという、かなり厳選された選手たちだけで開催されました

優勝決定戦のカード

Aブロックは藤波が武藤に敗れて脱落、そしてBブロックの長州力はまさかの0勝3敗で脱落と、「俺たちの時代」を象徴する2選手が敗退。

また、Bブロックは橋本と蝶野がリーグ戦同点で並び(リーグ戦の結果は時間切れ引き分け)、最終日に直接対決を制した蝶野が勝ち上がり、優勝決定戦は武藤VS蝶野というカードに

この大会の意義が「闘魂三銃士のプッシュ」だったのかどうかはわかりませんが、優勝決定戦に闘魂三銃士が全員が絡むという、新時代を予感させる組み合わせになりました

試合内容

互いに同日デビューの対戦相手でもあった武藤VS蝶野

考えると、エクストラマッチだったとはいえ、蝶野は武藤の引退試合試合まで努めていますから、袂を分かった時代があったとはいえ、不思議な因縁がある両選手です。

蝶野はこの日、橋本を破って優勝決定戦進出を決めていますのでこの試合が2試合目。かなり疲労困憊な様子ですが、得意のSTFやケンカキック、また珍しいトペ・スイシーダを発射し武藤を追い込めば、武藤は鎌固めやリバース・チキンウィング(いまでは珍しい!)で蝶野の動きを封じ込めていきます。

現代の私たちが知る得意ムーブがないセクシーターザン時代の武藤は、ミサイルキック・バックドロップ・ジャーマンスープレックスで蝶野からフォールを奪いにいき、ゴッチ式パイルドライバーを見舞った武藤は勝機とみるや、ドラゴンスープレックスからラウンティングボディプレスを投下!しかし蝶野が寸前に身をかわし自爆してしまいます。

蝶野は再びSTFで武藤の体をしならせますが、なんとかロープブレイク。続いて蝶野は得意のダイビングショルダーアタックから…なんと卍固め!当時の得意ムーブだったのか、はたまた猪木を意識したものかはわかりませんが…武藤は命からがらロープブレイク。

しばらく我慢の時間が続いた武藤でしたが、蝶野へお返し卍!お返し卍!(辻アナより)

両者、ミサイルキックを迎撃する一進一退の攻防が続きますが、ついに動きが止まった蝶野に対して、武藤は再度必殺のラウンティングボディプレスの序章であるシュミット式バックブリーカーを敢行。ついに月面水爆を投下…!

が、蝶野が剣山を立て武藤の胃袋に直撃!

くの字に折れ曲がる武藤の体躯がゆらりと倒れ、腹ばいになり痛みをこらえます!

蝶野が武藤の頭をおさえつけ…パワーボム

奥の手ともいえる珍しいフィニッシュで、ついに武藤から3カウントを奪うのでした。

ラウンティングボディプレスを決めきれなかった武藤得意技の引き出しが一つ多かった蝶野、そうしたコントラストを感じた両者の一戦でした。

大団円

武藤はナウリーダーへの抜粋やグレート・ムタとしてのブレイクなどですでにポジションを確立しており、闘魂三銃士の中ではやや出遅れた感があった蝶野の優勝は予想を裏切る結果になったのかもしれません。

その裏返しなのか、えんじ色の座布団がリング内に投げ入れられる壮観な景色を生み出しました。(以降、国技館のプロレス興行では座布団を貸し出さなくなったとのこと…)

試合中も蝶野コールが起きていますし、観客はニュースター誕生を歓迎している様子。リング上では敗れた武藤と橋本ともに全員で手を上げ、観客の大声援に応える名シーンも生まれています。

やはりGI CLIMAXは闘魂三銃士が主役の大会だったのかもしれませんね。

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