【たけしの芸能界成り上がり伝?】戦国×男色×バイオレンス!北野武監督『首』を観た!

こんにちは!アツコアツオです。

今回は北野武監督作品『首』を観てきましたので紹介したいと思います!

今後、劇場で北野映画を観る機会はそんなにないかもしれない…と思い、いつものように映画料金が安いTOHOウェンズデーを利用してきました!

例のごとく予備知識なしで臨みましたが、義務教育レベルの日本史を知っていれば、細かいことは抜きにして十分楽しめる映画に仕上がっていました

どんな映画だったのか?私なりの視点で考察していきましょう!

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北野武監督作品『首』

『アウトレイジ』シリーズ以来、6年ぶり19作目の作品になる本作。

天下統一目前の織田信長(加瀬亮)の跡目を狙う、明智光秀(西島秀俊)や背後で暗躍する豊臣秀吉(ビートたけし)や家康などが登場する、戦国時代を背景にした天下統一の物語です。

公式ホームページから引用

タイトルの通り、様々な”首”をめぐる争いを中心に描いています。

さらに本作の特徴としては、北野映画的なバイオレンス描写、懐かしのタケシムケンを彷彿とさせるコント調のノリ、そして本作最大の特徴ともいえるあからさまな男色描写でしょう。

史実を基にしたストーリーなため歴史の本流は変わりませんが、光秀はなぜ信長を討つに至ったか、信長の首を取ったのは誰か、そしていかにして秀吉は天下統一を成し遂げたか…など、北野武独自の解釈を交えながら光秀没までを描いています。

ビートたけし成り上がり伝

この映画は、豊臣秀吉が天下統一を成し遂げる過程を通じて、ビートたけしがどうやって芸能界をのし上がってきたかを暗喩している、という見方はできないでしょうか。

本作は信長パート、光秀パート、秀吉パートの3陣営を中心に進行していきますが、キチガイマックスな織田パートの傍若無人っぷり武人として生きる光秀パートの難さと比較すると、明らかに秀吉パートだけコント調のノリで表現されていることは多くの方が気づくと思います。

秀吉(ビートたけし)と秀長(大森南朋)と黒田官兵衛(浅野忠信)のトリオで掛け合うやり取りは、内容がどこかばかばかしいだけでなく、一部アドリブなのかと思うほどテレビたけしのボケに近いような印象を持ちます。

信長の跡目を狙う百姓出身の秀吉は家臣の協力を得て、また同業の武将に頭を下げつつ利用しながら、時にははやし立てられて自分の行く末を選択していく流れは、足立区のたけし/世界のキタノの成り上がりストーリーと重なる部分があるように描かれているのでは?という視点でみてしまいました。

リアルに神輿に担がれるシーンもありますし、「刀持ってこい」という流出した音声をリアルに思い出させるセルフオマージュ(んなわけない)もあります。

ラストシーンでは戦国武将が固執する”首”を目の前にしても光秀だと気づかず、「光秀が死んだことさえわかればいい」といって蹴っ飛ばす様は、「芸能界のとったとられたや、誰がドンなのかなんて、もうどうでもいいや」という、オフィス北野やたけし軍団を離脱した最近のビートたけしの姿をそのまま描いているような気がしてなりませんでした

本作のエンドロールでは秀吉役の表記が北野武ではなくビートたけしになっており、なるほどだから秀吉パートはテレビたけしっぽくって、だからこそビートたけしの芸能界成り上がり伝という見方も成り立つのではないか、と。

松本人志がちらつく

私は松本人志作品のフリークでして、映画はもちろん過去の映像作品をほぼすべてみてきました。

本作はコント調のシーンが多かったり、木村祐一が出演していることから、松本人志作品のような印象も受けてしまいましたね

いくつか例に出して紹介しましょう。

光源坊

作中、信長の手紙を買いに行くシーンで登場する光源坊は、巨体と全身白塗りの人形のようないでたちで、リアルな時代劇とみたときにかなり異質な存在です。

前列にはキツネの面をつけた女性を2名従えており、光源坊が少し話し始めると、食い気味で女性2人がエフェクトがかかった声で話し始めるというなんともシュールな映像

しかもこのあとあっさり死んでいるシーンが挿入されるという不気味さ。

どことなく漂う『ビジュアルバム』感を感じずにはいられませんでした。

曾呂利新左衛門

木村祐一が演じる甲賀の抜け忍。

しゃべり方もそのまま木村祐一が演技しているため、こちらも『ビジュアルバム』や『すべらない話』感が強めでした。

しかもしゃべりだけで天下を取るといって、持ちネタの小噺を披露するシーンまでありますから、もうリアル木村祐一にしかみえませんでした(笑)

くのいち

ブス好きの家康をもてなすために登場した、女衒とその元締めの柴田理恵。

柴田理恵は女衒を一人づつ紹介していきますが、ブス好きの家康はまさかの柴田理恵を指名し夜のお供に…というシーン。家康の寝室にやってくる柴田理恵のメイクはくっきー!のそれっぽい白塗りで、やっぱりギャグシーンにみえてしまう。

で、実は柴田理恵はくのいちだった!という流れで、寝こみを襲ったところを服部半蔵に見破られ自ら毒を飲んで命を絶ちますが、これはやっぱり『さや侍』を連想してしまいました。

決して松本人志作品をパクっている!といいたいわけではなく、コメディ調の演出やシュールなキャラクター、出演者などから、松本人志作品と似ているシーンがあるなあと感じてしまいました。

まとめ

斜め読みしたような紹介が続きましたが、本作の最大の魅力は信長をとりまく男色家たちの関係性や跡目争い、そして硬派な光秀が暗躍する本能寺の変へ向かう勢力争いでしょう

命のやり取りから生まれる「男が男に惚れる」心情を直接的な描写を使いながらも丁寧に描いているなあと感じましたし、時代劇の描写や合戦シーンなんかも素晴らしい映像が続きますので、うがった見方をしなくてもかなり満足できる作品ではないか、と思います。

一方で、とにかく首が飛んで軽々しい命がどんどん消えていく人が多く死ぬ映画ですので、グロシーンはたくさん出てきますのでご注意を。

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