こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。
金曜日は闘いのワンダーランド!
毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。
新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!
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9月8日は何の日?
今回は、2023年9月8日に後楽園ホールで行われたこの試合をテーマに考えてみることにしましょう!
本記事執筆の、まさに今日行われた試合です!
ボルチン・オレッグ選手の負傷欠場により、急遽代打出場となった大岩陵平が素晴らしいファイトをみせてくれました!
本大会は無料でみることができますので、興味がある方はぜひみてほしい一戦です!
乱立するベルト
最近、新日本プロレスでは様々なベルトが乱立しています。
IWGPヘビーとインターコンチネンタルはIWGP世界ヘビーとして統一されましたが、まだまだ無差別級含むヘビーのシングルベルトが多い状況ですよね。
・IWGP世界ヘビー級
・IWGP USヘビー級
・NEVER無差別級
・STRONG無差別級
・NJPW WORLD認定TV王座
感覚的には、↑の上位にあるもの順に最も権威が高いと思っていますが、それに加えて立ち位置が微妙な「KOPW」もありますから、6個ものシングル王座が存在することになります。
もちろん、「US」や「STRONG」は北米向けのベルトでありますし、「NEVER」は階級や団体を越えてきた歴史があることは理解しているのですが、素朴なファン目線(かつては”マーク”と呼ばれた一般層)で考えると、「じゃあ、ヘビー級で誰が一番強いのか」と疑問に思ってしまうじゃないですか。
マッチメイクには有利も…
まあ、こうした複数のベルトがあると、乱立する興行の中で選手権試合をマッチメイクしやすい、という利点はありますよね。
例えば巡業の合間にある中規模都市では「NEVER」のタイトルマッチを組んでおいて、最終戦の大会場で「IWGP世界」の試合を組むなど、興行全体を考えたときに柱になる試合を作りやすいし、また「IWGP世界」の権威付けにも有効なんでしょう。
ただ、一方ではそうした扱いで差別化をすると、”格落ち”のベルトと囚われかねない弊害もあって。スターダスト・ジーニアス時代の内藤がIWGPヘビーをしつこく狙っていた際、「ま・ず・は、NEVER」と暗に順列を示して田中将斗に挑んでしまい、ファンの反感を買いましたよね。
そしてまた、中邑真輔によって(IWGPヘビーと同等といっても差し支えないでぐらい)急激に価値が高まった「インターコンチネンタル」は、逆に扱いにくくなってしまったといえるでしょう。価値が上がり過ぎたこと、退団した中邑真輔の色が付きすぎたこともあり、結果的に統一という憂き目にあってしまったわけです。
複数のベルトが存在する功罪っていうのがやっぱりあるんじゃないかな。
複数のベルトが存在することは新日本に限ったことではなくて、世界中の団体のあるある設定だとは思いますけども。必ずしも良いことばかりではないということは踏まえておくべきでしょう。
NJPW WORLD認定TV王座
そんな中、またまた新設されたTV王座。
2023年のイッテンヨンで初代王者となったザック・セイバーJr.が、2023年9月8日現在も防衛し続けています。
なんか、ビスケットみたいであんまりかっこいいベルトではないなあ。
この「TV王座」は元々アメリカ由来の表現ですよね。古くはWCWとかTNAとか。日本国内だったら、全日本プロレス中継の衛星放送であるGAORAのTV王座がありますね。
そもそもはTV番組や中継される興行で防衛を行う、というコンセプトのようです。
大岩緊急出場!
さて、そんなNJPW WORLD TV王座戦に、ブシロードクラブ出身のアマレス戦士”超新星”ボルチン・オレッグが挑戦することになりましたが、負傷箇所の炎症に起因する発熱で無念の緊急欠場。
ボルチンたっての希望とのことで、大岩陵平が急遽挑戦することになりました。
プロレスの世界は、いつ・どんなチャンスが巡ってくるかわからないですから、いつかやってくるチャンスに備えて心身ともに準備をしておくことが重要。ヤングライオンたちは、試合がない日もコスチュームとコスチュームを持っていて、いつでも試合に臨めるように準備していると聞きます。
今回は、大岩がそのチャンスを自ら掴んだことになりますね!
G1クライマックスを終えてNOAHへ武者修行に旅立った大岩でしたが、いきなりのUターン参戦となりました。本人は「実質的には壮行試合」と位置付けていたようですが、チャンスを掴んだ大岩の試合はいかに!?
試合内容
大岩の変身
なんと、大岩のセコンドとしてプロレスリングNOAHの清宮が登場!
武者修行中のNOAHで(師弟タッグのような)チームを組んでいるので、もしかしたら…と思ってみていたところ、まさかの登場。
だけど、あんまり観客が湧いていない…。先のG1にもエントリーしていたのに…。
大岩はヤングライオンを卒業したこともあって、髪型とコスチュームを一新。シルバーのロングタイツを履いていてもわかる丸太のような太もも、そして逆三角形に仕上がった分厚い肉体!
見ようによってはちょっと太ましくみえる上半身は、若手の頃の棚橋を彷彿とさせます。武藤の系譜を継ぐ棚橋ですが、フォロワーのように評される内藤とも海野とも違う、新日本プロレスのエース路線を継げそうなビジュアルに惚れ惚れしてしまいました。
ヤングライオン時の芋っぽさがなくなって、これは本隊のエースとして大化けに期待できそう!
制限時間の中で
同王座戦は15分1本勝負。制限時間を意識してかスピーディーな攻防から試合がスタート。
ショルダータックル合戦ではパワーに勝る大岩が押し勝ち、また場外戦では大岩がザックを場外フェンスに振っていく荒業で展開。ヤングライオン時代の動きとはまったく違いますね。
コーナーへの串刺しドロップキックを突き刺した大岩はペースを掴んだようにみえましたが、次第にザックの腕殺しコンビネーションが火を噴きます。腕へのキックや変形腕固めでじわじわと攻めていく。
5分過ぎ、水車落としの構えからスパインバスターにつなげ、さらに俵返しでザックを抑え込む大岩。大岩は基本技でも独自の角度で投げたり、また少し変形気味に仕掛けたりと、技のアレンジが面白い選手ですね。さらにはジャーマンでカウントを取りに行くも、これで決めることはできません。
続いて、現・パートナーを意識した足四の字固めをみせますが、ポジションが悪くあえなくロープブレイク。
さらに狙ったドラゴンスクリューをかわされた大岩は、ザッグの腕固め地獄に捕らえられてしまい、三角締め→アームバーの体勢に入られてしまい、あえなくギブアップ負けとなりました。
ヤングライオン論
新日本プロレスの若手はいつの日かヤングライオンを脱して、入場曲・コスチューム・ビジュアル、そして使用する技をオリジナルなものに変えていきますよね。
「コスチュームとか見た目を変えただけでは何も変わらない」「派手な技を使うようになっただけ」なんて意見もあると思うのですが、今回の試合をみると大岩の変身っぷりに驚きました。
ヤングライオン時代の溜め(ヤングライオンとして抑圧された本人の意識、観客が感じている没個性、そして確かに蓄積されていく経験と技術)が解放され、この溜めがあるからこそ新日本プロレスの若手レスラーはレベルが高いんだ、と改めて感じさせられました。
NOAH批判をしたいわけじゃないんですが、他団体の新人が脱新人キャラをするときって、この”溜め”が全然活きてないんじゃないですかね。
それこそ、見栄えを変えただけにしかなっていない場合が多いような気がします。(これだけ若手を大事に育てることができる新日本プロレスの経済力・層の厚さの結晶ともいえますが)
木谷オーナーは「ヤングライオンの成長に時間をかけすぎている」といった、もっとスピード化を求める意見をおっしゃってました。
確かに世の中が進むスピードが速くなっているから、もっと早い展開でニュースターが必要なのはよくわかります。
だけど、この”溜め”がないと、新日本プロレスのレスラーの水準までは到達しないのでは?という気がしないでもないのです。
皆さんは、ヤングライオンというポジションについていかがお考えでしょうか。
ちょっと一言よろしいかしら
そうそう、試合後にはセコンドに付いていた清宮とザックが一瞬にらみ合いになりました。ザックはかつてNOAHに継続参戦していた経歴がありますから、知らない仲じゃないですよね。
なんのアングルもないのにここで下手に動けないのはわかりますけど、こういう時は展開無視でいいからもっとザックに食って掛かれよ!と思ってしまった。
別にルールを破れという意味ではなくて。
業界を盛り上げるためには、そうやってリング上で既成事実を作っていくしかないんじゃないですか?
会社が決めた流れやストーリーに乗っていくだけでは、弾けないんじゃないですか?
観客はリングにサラリーマン劇場を見に来ているのではない!といっておきましょう。
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