こんにちは!アツコアツオです。
漫画家ゆでたまご先生を研究する【ゆでたまご研究所】へようこそ。
今回も張り切ってゆでたまご作品を研究していきましょう!
キン肉マン 熱闘スペシャル
ジャンプ連載時のキン肉マン(いわゆるコミックス36巻までの旧シリーズ)の人気シリーズといえば、「夢の超人タッグ編」を挙げる方も多いはず。
そんな「夢の超人タッグ編」のクライマックス時期の1984年の夏、週刊少年ジャンプ特別編集として発売された、雑誌『キン肉マン熱闘スペシャル』をご存じでしょうか?
発売タイミングとしては、マッスルブラザーズとヘル・ミッショネルズの決勝戦の頃。「キン肉マン」の人気がもっともヒートアップしていた時期かもしれません。
最高潮に盛り上がっているシリーズ最中に刊行された本誌ですが、ナントゆでたまご先生書き下ろしの漫画「ロビン・メモの巻」が掲載されているんです!
少年ジャンプでの「キン肉マン」連載、そしてフレッシュジャンプでの「闘将!!拉麵男」連載に加えて、書き下ろし漫画執筆とは…。例のごとくゆでたまご先生の働きっぷりは五臓六腑に染み渡るで~!
さあ、それでは「ロビン・メモの巻」を紹介しましょう!
ロビン・メモの巻
オールカラー8ページの超短編なのですが、ゆでたまごマニアにとってはかなり楽しめる内容になっていて、本編では見られない正義超人のトレーニング風景や、当時の「キン肉マン」では珍しいアノ超人も活躍しています。
敵キャラには、おそらく募集超人ではなくて、珍しくゆでたまご先生が考案したと思われる悪行超人も登場します!
どんな物語なのか、どんな超人が登場するのか!?
みていきましょう!
ストーリー紹介
本作は、正義超人のリーダー格であるロビンマスクが持っている、「超人たちの戦闘能力向上のために各超人の弱点を記したメモ」を巡る悪行超人との戦いです。
ロビン・メモの秘密
正義超人たちのトレーニングの一幕。大親友同士のオールアメリカンコンビ、テリーマンとスペシャルマンがコシティを使ってトレーニングに励みます。奥にリングがあるのに誰もスパーリングしていませんね(笑)
後ろではモースト・デンジャラス・コンビが日々の研鑽を重ねています。ブロッケンJr.は「ベル赤」の特訓か?
それにしてもウルフマンはウェイトトレーニングが好きですね(タッグトーナメント出場前もバーベル上げていましたし)。
奪われたメモ!!
さあ、そんな正義超人門外不出のロビンメモですが、謎の超人に奪われてしまいます!
謎の超人の登場シーン、テレビ番組「相席食堂」なら『ちょっと待てぃ!!』のボタンが押されるタイミングでしょう(笑)
ロビンの書斎が襲われるのですが、なんとロビンは倒れてきた本棚と壁の下敷きになって気絶してしまうのです!
超人は見るからに強力そうな金棒を持っていますが、決して金棒攻撃でやられたわけではありません(笑)
というわけで、簡単にさらわれてしまったロビンマスクと奪われたロビン・メモ。
謎の超人はなぜか飛び去っていくときに
ガーハハハ メモとロビンマスクをかえしてほしくば ウィーク・ポイント星まで取りに来な!!
と自らの所在を言い残していきます…。
(これは罠なのか、バカなのか、はたまた物語上のご都合主義なのか…)
そして、キン肉マン・テリーマン・ラーメンマン・ブロッケンJr.、ウォーズマン、ウルフマンの混成超人軍団が宇宙の荒野へ飛び出すのです!
この手の正義超人軍団にウルフマンが入っているのが珍しいですし、さらに「キン肉マン」において白の中華服を着たラーメンマンが登場することも珍しい!
ウィーク・ポイント星の謎…!!
ようやく(といっても1コマで)到着したウィーク・ポイント星。
ん?ウィーク・ポイント星を直訳すると弱点星という意味かな?
ロビン・メモは正義超人の弱点を記したものだから、そのメモを巡って戦う場所がウィーク・ポイント星、というネーミングはかなり短絡的では…。
いや、もしかすると元々その星にはウィーク・ポイント星という名前が付いていて、謎の超人がたまたまロビン・メモの存在を知り強奪に至った、という可能性だってある。
つまり、偶然にもウィーク・ポイントつながりだったわけだ。
うーん…きっと違いますね。ゆで先生がテキトーに名付けたんでしょう(笑)
巨体ブートン…!!
とはいえ、無事に到着したテリーマンが開口一番。
ここが ロビンをさらったブートンのいるウィーク・ポイント星だ
なんで”ブートン”という名を知っているんだ!
正義超人がウィーク・ポイント星を調べたときに、領主「ブートン」って分かったのかもしれませんが…
8ページという制限もあってか、駆け足過ぎる展開!
ブートンは「正義超人たちが来たのは知っていた」といいますが、自分が誘っておいてよくいうよ(笑)
見せつけるように、囚われの身になったロビンを地面の下から登場させます。
ウィーン ウィーン
本棚の下敷きになっただけで磔にされてしまうロビン!
危うし!正義超人
ロビン救出のために全軍で特攻をかけた正義超人でしたが、迎撃するブートン配下の部下があやつる砲台からゲンコツミサイルが飛び出してきて、強奪したロビン・メモで得た各超人の弱点を狙っていきます!
でた~っ!!ブートン軍団の地獄の砲台…!!
キン肉マンは右脇腹(ん?ウォーズマン戦の時に発覚した古傷の位置は左脇腹だったのに、その後故障したか?)、テリーマンは義足の左足、ラーメンマンはスクリュードライバーでえぐられた左頭部、ブロッケンJr.はミスターカーメンに噛みつかれた右肩…
といった具合に、ゲンコツミサイルが「ドボッ」っと音を立てて、彼らの弱点箇所に突き刺さるのですが…。
その程度の弱点やったら、正義超人のことをちょっと調べればすぐわかるやろ!
というツッコミはほどほどにして、ロビン・メモを盗まれてしまったことで弱気になってしまったキン肉マンは、
ダ…ダメじゃ こうまで相手に弱点を 読まれているのでは勝ち目はない…
とページが少ない都合もあってか、あきらめるのが早い!(笑)
そして、ウォーズマンとウルフマンはゲンコツミサイル喰らってないんだから、もうちょっと頑張ってくれ(笑)
このとき、おのれの仕事は絶対に遂行するブロッケンが相手の砲台を奪うことに成功!やはりこういう時に頼りになるのはブロッケンじゃ~!
よっしゃ ブロッケン 今度はブートンの五体に弾丸をあびせてやるんじゃーっ!!
勝ち目がないとボヤいていたのに、このキン肉マンの変わり身の早さよ(笑)
砲台を奪ったブロッケンはキン肉マンの指示通りにゲンコツミサイルをブートンめがけて発射ーっ!
複数のゲンコツが完璧にブートンにクリーンヒットするも、まったく効果がない!
的確にアゴの急所を打ち抜いているのに、「ククククク」と不気味にほくそ笑むブートン。ブートンは無敵の超人なのか…?
お…大きすぎる!わたしたちにはあまりにも巨大な敵だ!!
やっぱり諦めようとするキン肉マン(笑)
その時、やおら赤い光線がブートンの方へ伸びていく…!
激勝!!サザン・クロス
みるとその光線はロビンの角部から伸びていて、ウィーク・ポイント探しの名人のロビンが、ブートンのウィーク・ポイントを知らせようとしているんだ!とキン肉マン。ウィーク・ポイント連呼。
どうやら、赤い光線がブートンのもつ金棒を示している!ブートンの弱点はここだ!
「よし!!」とブートンの金棒にターゲットを絞った正義超人軍団!
バレてしまって明らかにビビッてひるむブートン、かなりわかりやすい性格です(笑)
友情のなせる業、超人サザン・クロスが決まった!
なにがサザン・クロスなのかまったくもって意味不明なのですが、5人同時のドロップキックがブートンの弱点である金棒にクリーンヒット!ブートンの体がバラバラに吹っ飛びました。
どうやら、ブートンの本体は金棒だったようですね。…ってそれってよーく考えると、どういう意味なんだろう(笑)
…っていうかウルフマンどこいった!?
前のコマでは一緒にブートンへ突っ込んでいってるんですけど、超人サザン・クロスに1テンポ間に合わなかったか、ドロップキックに参加できていない!
セリフもないし登場させる意味があったのか甚だ疑問!そんな扱いなんだったらスペシャルマンを連れて行ってやってくれよ、ゆで先生!
…ウルフマンはブートンの手下を相手していた、と妄想しておきましょうか。
(そして、実はウォーズマンもセリフがなかったりします…)
激闘の果て…!!
てなわけで、無事にロビン救出に成功した正義超人御一行。
キン肉マンがジャンケンに負けてしまったがために、地球までロビンをおぶってかえることになりましたとさ。
前に歩く正義超人。澄ました感じがなんか鼻に付きますね(笑)
いつもこういうときって、キン肉マンが損な役回りのような気がしますが、きっとリーダーシップ型のリーダーではなくて、キン肉マンはいじられ愛されキャラのリーダーなんですよね。
ウルフマン、サザン・クロスに間に合わなかったんだから持ってやれよ!
意外とこういう時は、正義超人ってのは助け合わない流儀なのかな…。
手伝ってやればいいのにね(笑)
超人考察:ブートン
さて、今回の主役(いや、主役は一応ロビンか)であるブートンです。
この超人、キン肉マン関連のムック本やゲームでも紹介されていないので非常にデータが少ないんですが、ナント学研の図鑑『超人』では登場していました!
スゲ~!
『超人』によるとブータンのスペックは以下の通りです。
魔族の仲間<魔人>
超人強度:100万パワー
本体は金棒の先に付いた拳に見える部分で、それ以外はかいらいに過ぎない
魔族ということはアシュラマンと同等の格なのかと思いきや、超人強度100万パワーとはなかなか控えめな設定です。
そして、拳の部分が本体でそれ以外は傀儡ということですから、本体以外の体は操られているにすぎない、と。催眠術とか寄生とかそういった類の能力なのかな?
今回登場した際は、たまたまこんな太っちょのビジュアルでしたけど、場合によっては他の超人の体なんかも乗っ取ることができるのかもしれませんね。
一方、ゲンコツミサイルで闘いを挑んできましたから、操られている部分で戦うのは得意ではないのかも。
現行シリーズ「キン肉マン」新章では懐かしの超人が登場したりしていますが、ブートン再登場の可能性はほぼゼロでしょう。(既にネタがバレてますしね)
スマホゲーム「キン肉マンマッスルショット」なら、マイナー超人枠で登場の可能性があるか・も!?
掲載されているコミックス
今回紹介しました「ロビン・メモの巻」が掲載されている『キン肉マン熱闘スペシャル』は、キン肉マン関連本のなかでもかなり入手困難なアイテムなのですが、これまた入手困難な『ゆでたまご短編集1⃣お~い!!マンガだよ~ん』にも掲載されています。
現時点ですと、今でも比較的手に入りやすい『マッスル・リターンズ』にひっそりと掲載されています(ヤッタネ!)から、そちらをチェックしてみてはいかがでしょうか。
新刊では入手できませんが、あまりに爆売れしたコミックスなため、フリマサイトですと安価で入手可能です。
昔なら古本屋で見かけたんですが、最近はめっきり見かけなくなりましたので、探し回るよりネットで買った方が手っ取り早いと思います。
『マッスル・リターンズ』掲載版はカラーではないため、ブートンが青色であることが分からないのが残念!
そして、この『マッスル・リターンズ』はキン肉マンの歴史を語るうえでもっとも重要な作品(コミックス)だ!と考えていますので、追ってじっくり研究していきたいと思います!
最後に、『お~い!!マンガだよ~ん』の巻末にあるゆで先生の作品解説を引用して、今回の研究を終えることにしましょう。
『キン肉マン』連載中より、ロビンマスクを主人公に作品を、と考えていた所に依頼を受け、キン肉マン増刊に8ページでかいたのが、この作品です。
『お~い!!マンガだよ~ん』巻末の作品解説から引用
のちにこのストーリーはふくらまされ、映画の『キン肉マン』の1本となりました。
どマイナー超人や募集超人までフォローされている学研の図鑑『超人』、まだ見たことがない方はサンプルだけでもチェックしてみてください!
キン肉マンファンの方なら、一家に一冊必携です!
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