新日本プロレスワールド【NJPW今日は何の日】1982年11月4日:ハンディキャップマッチ、猪木VS国際軍団について考える

こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。

金曜日は闘いのワンダーランド!

毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。

新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合をご紹介したいと思います!

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11月4日は何の日?

今回は1982年11月4日、蔵前国技館で開催された『闘魂シリーズ』大会の最終戦から、この試合をテーマに考えてみることにしましょう!

いわゆるはぐれ国際軍団とアントニオ猪木の1対3のハンディキャップマッチですね!

絶好調のテレビプロレス

この試合、見返してみると実況の古舘伊知郎(テレ朝)の名調子と、解説の桜井康夫(東京スポーツ)が古館の投げかけにプロレス幻想を守りながら呼応する2人の掛け合いが最高です。

普通に考えたら、1対3なんて試合は成立しないんですけど、2人が最大限にアントニオ猪木を持ち上げつつ、国際軍団へも敬意を払いながら、この試合を盛り上げる舞台装置としてうまく機能していると感じましたね。

アントニオ猪木を中心とした新日本プロレスの隆盛には、テレ朝のプロレス中継はもとより、この2名の存在は欠かせなかったんだと思います。そして古館節のような、プロレスそのものを実際の試合以上に妄想し想像力を掻き立てる手法が、活字プロレスという文化を生み出したんじゃあないかとすら思えてきます。

にしても古館さんの”国際殺りく軍団”というニックネームはどうかと思います(笑)世界のテロ組織みたいやん!

ハンディキャップマッチ

ラッシャー木村の「こんばんわ事件」に端を発した新日本プロレスと国際軍団との抗争ですが、いくつかの試合を経て、この1対3のハンディキャップマッチにたどり着きました。

アントニオ猪木が「まとめて相手になる!」と意気込んだため、当初はアントニオ猪木VSラッシャー木村、アントニオ猪木VSアニマル浜口、アントニオ猪木VS寺西勇の3連戦を予定していたそうですが、国際軍団から「まとめて相手になるっていったじゃないか!」とイチャモンをつけられ、猪木が受けて立つ形でハンディキャップマッチになってしまったようです。

ですがこの展開、”無茶な要求をのむ猪木”の時点で、暗に猪木アゲ:国際サゲの印象操作が入っており、この交渉ですでに勝敗は決しているようなものですよね。今も昔も、プロレスの世界においては、こうした”どちらの方が格上か”を観る者に対して何らかの序列を印象付けるような出来事が多くあります。擦れたプロレス者にとっては、こうした見方で楽しむこともできますよね。

ハンディキャップマッチじゃあ猪木の絶対不利だ!と思いきや、関節技やフォール中のカットプレーは禁止らしく、それなら実質連戦と変わらないのでは?と想像してしまいました。

ところが、国際軍団はレフェリーの隙をつき通常のタッグマッチのようなカットプレーで猪木を妨害することを目論んでおり、それを察した新日本プロレス側はメインレフェリー山本小鉄、サブレフェリーに柴田勝久と栗栖正信(なぜこの人?)を用意。国際軍団のカットプレーを防止する厳格なレフェリングができるシフトを敷きました。

そんなわけで、この試合は

・アントニオ猪木がどうやって3人の選手と対峙するか
・国際軍団は隙をみてカットプレーができるか、またレフェリーは静止できるか

という2つの見どころで進行することになります。

国際軍団

ラッシャー木村は黒いロングタイツで力道山のようなコスチューム、アニマル浜口はワンショルダーのアマレススーツで前後色が違うツートンカラー。そして寺西勇は白いショートパンツ。へその上まで上げる全日本プロレススタイルです(そんなスタイルはない!)

3選手ともレスラー然としたごつくて分厚い肉体。寺西勇は両選手や猪木と比較するとふた周りくらい小柄ながらも、あんこ型体形でいかにも昭和レスラー風で、とてもシブイ選手です。のちになってタイガーマスクと抗争することになります。

試合展開

VS寺西

猪木は3選手に勝たなければならないわけですが、まずは寺西を腕ひしぎ逆十字であっさり仕留めました。顔じゃない・格が違うといわんばかりに、猪木はほとんど寺西の技を受けません。解説の桜井氏が思わず「うまい!」と漏らしてしまうテクニックでグランド状態からバックを取り流麗な関節技でギブアップ勝ち

VS浜口

このあとしばらく浜口⇔木村のタッチワーク、で両選手と交互に対戦することになる猪木ですが、古傷の膝を攻められるも、巧みに場外へエスケープしながら間を取ります。リング上で木村を足四の字固めに決める猪木に対して、それまで八面六臂の大活躍だった新日レフェリー軍団のカットプレー防止網をかいくぐり、ついに浜口の介入を許してしまいます。

その流れで気をよくしたのか、タッチを受けた浜口は不用意にトップロープからリングイン、するとそこに猪木のカウンター延髄斬りが炸裂浜口はカエルのようにビヨーンとの垂直に飛び上がり腹ばいにダウン!猪木のフォールでカウント3!これで2人抜きとなりました。

この浜口の謎受け身、カエル飛びの理論はわかりませんが、猪木の延髄斬りの威力が強烈なことを想像させる素晴らしい受け身ですね。(レイザーラモン/スコットホールのスタナー受け身に通じるものがあります)

VS木村

1対1となった猪木と木村。チョップ攻撃やボディスラムでじわじわ追い込む木村に対して、猪木のバッグドロップ一閃!ここぞというところで大技を決める猪木ですが、連戦のダメージが増しているのか、その後木村にズルズル場外に引きずられてしまいます。しまいにはエプロンでぬるーい袈裟斬りチョップを受けた際、ダウンした猪木の足がロープに引っかかってしまい、リングアウト負けになってしまいました。

さすがの猪木も3人相手では負けてしまうのは仕方ない、不運にもロープに足が引っかかってしまいリングに戻れなかった。と、猪木には傷がつかずに済みプロテクトできて、負ける言い訳が立つこの展開と構成。格を落とさず勝ちのを逃す素晴らしいアイディアに脱帽ですね。

そしてこの試合、残念ながら猪木は負けてしまったのですが、試合後に起きる万雷の猪木コールも凄まじい。それだけ、カリスマ猪木はこのハンディキャップマッチで観客を魅了したということでしょう。

国際軍団に勝ち目はあったのか

そして、両陣営とも大技らしい大技はほとんど使わず(猪木:ダブルアームスープレックス/バックドロップ/延髄斬り、浜口:エアープレーンスピン→バックフリップぐらい)、逆にいうとラッシャー木村はチョップとボディスラムと膝関節攻めぐらいで有効打がありませんでした。いったいどんなビジョンで猪木に勝とうとしていたのか…けっこう疑問に感じちゃいましたね。(国際軍団は、まあ試合には勝ったのですが、勝負に負けたってやつでしょう)

また、国際軍団も自団体でこれだけ白熱した試合ができるなら崩壊せずに済んだのでは…と思う反面、このヒートはアントニオ猪木だからこそ作り上げることができたものなんだんでしょうね。

でも、猪木のダメ試合・かみ合わなかった試合があったりもするので、当コーナーでその日が来ればそうした試合も紹介させて頂きます!

編集:週刊プロレス
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