皆さんは好きなコンビニや行きつけのコンビニはありますか?
いまやコンビニなんてどこにでもありますが、意外と身近にあるコンビニ=好きなコンビニブランドだったりしませんかね?
私が今住んでいる家のすぐ近くにはセブンイレブンがあるんですけど、”近くにある”以外にもセブンイレブンへ行くことが多かったりします。
『まんがでわかる セブン-イレブン16歳からの経営学』
そんな時、書店で手にしたのが、今回紹介する本書『まんがでわかる セブン-イレブンの16歳からの経営学』です。
もしかして、私は知らず知らずのうちに、セブンイレブンファンになるように刷り込まれているのか?!そんな思いで読んでみました。
アツコアツオ的書評の中でも人気が根強い、「まんがでわかるシリーズ」。今回は宝島社から発売されているものです。原作本は勝見明著の同タイトル活字本です。
漫画のストーリー
例のごとく、この漫画のストーリーをざっと紹介しましょう…といっても今回はかなり薄いストーリーで、これと言って説明するところがない!
主人公・奈々子は16歳の高校生。ここのところ、父親の博文と顔を合わせては喧嘩ばかり。家にいたくない一心で、近所のセブンイレブンでアルバイトを始めることになりました。バイト先の先輩・広瀬の指導やオーナーの七海、またセブンイレブンの店舗経営相談員である鳳などと接するようになり、セブンイレブンを通して奈々子は大人へと成長していくのです。
ヤマなし!オチ!意味なし!なストーリー。
すごく大雑把に言うと、いがみ合っていた親子が、セブンイレブンで働くことで成長した娘によって、次第に互いを認め合っていく、というもの。突拍子がない物語で読みやすい反面、淡々とセブンイレブンで働く日常と私生活が交差していく様子が描かれています。
主人公の奈々子は見た目も性格もちょっと気が強そうな雰囲気。
それでは、本書の内容に触れていきましょう。
バイトにも仕事を任せる
セブンイレブンへいくと、店員が首から端末をぶら下げているのをよく見かけませんか?GOT(グラフィック・オーダー・ターミナル)というそうで、商品の発注に使用する端末なんだそうです。
奈々子はバイト開始早々、この端末を使ってお菓子コーナーを任されることになります。とりあえず見様見真似でやってみるものの、在庫の山になったり、そのまた逆にすぐに品切れになってしまったり。店長に怒られてしまい、発注の加減を教えてもらってないのにできるわけがない、と拗ねる奈々子に、先輩の広瀬からありがたーい一言が。
「僕たちがやっているのは作業じゃないんだ。仕事なんだよ。」
「作業はやり方を覚えてその通りにすればいい。時間を掛ければ誰にでもできる。」
「だけど仕事は違う。単なる勉強は役に立たない世界なんだよ」
厳しい世界や~セブンイレブン。広瀬は続けて、何がどれだけ売れるかは、<自分なりに仮説を立てて、実際に試して検証するしかない>と続けます。
セブンイレブンでは、アルバイトを活用して仕事を任せ、仮説に基づく行動によって、考える現場を作っていくんだそうです。
完売御礼!はダメ
そんな経験を積みながら、ついに奈々子は自分で考え仮説を立てて、お菓子コーナーの商品が無事完売!…でもまたまたダメだしされてしまいます。顧客から観れば「完売」は不都合でしかなく、うまく売れたことは買い手にとっては不満なこともある、と先輩から教えられます。
「機会ロス」と「廃棄ロス」という考え方。「機会ロス」は売り切れてしまって売り上げを逃すこと、「廃棄ロス」は売れ残った商品の廃棄で生じる損失のこと。廃棄ロスは目に見えて損失計算ができるけど、機会ロスは”本当はあとどれだけ売れたか”がわかりづらい。
品切れによる機会ロスが要因で来店客の失望が続けば、やがて来店しなくなる恐れがあります。そんな顧客減を防ぐためには、明日のニーズを読むことが重要である、と教えられるのです。
ある日、奈々子は偶然にも親戚が脱サラしてオープンしたパン屋を見つけます。陳列方法や2つのロスの考え方などを教え、奈々子流セブンイレブン受け売りテクニックでパン屋を繁盛に導くのでした。
…奈々子がセブンイレブン流で物事を解決したりイッチョカミしていくエピソード、なんだかちょっと腹が立つ展開なんですよね…。
つい来店してしまうテクニックとは
セブンイレブンはフレンドリーな接客に力を入れているんだそう。「基本4原則」と「接客6大用語」なるものがありますので、ここで紹介しましょう。
基本4原則
- 品揃え:欲しい商品を提供
- 鮮度管理:常に新鮮
- クリンネス:清潔で気持ちの良い店舗
- フレンドリーサービス:感じの良い接客
接客6大用語
- いらっしゃいませ
- はい、かしこまりました
- 少々お待ちくださいませ
- 申し訳ございません
- ありがとうございました
- またお越しくださいませ
うーん、別にセブンイレブンに限ったことでもないような。
コンビニっていうのは、いわゆるフランチャイズ型オーナー店舗が多いですから、こうしたアルバイト教育っていうのも難しいのかもしれませんね。
セブンイレブンが密集している理由
以前に『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』でも登場した、セブンイレブンのドミナント戦略。一定地域に密集させて効率的に配送し、鮮度を保った商品を売る。そして、顧客が店舗を目にする機会を増やし、この店は信頼できるという心理的効果も生まれてくる。そんな店舗で、先のような原則や接客でファンになってもらえれば、常連客になる好循環が生まれてきますよね。
どうやって顧客を呼び込み囲い込んでいくかも、セブンイレブンのノウハウがあるのです。
「暗黙知」は対話して伝える
セブンイレブンの直営店は約3%なんだそうで、ほとんどはフランチャイズのお店。セブンイレブン本部には、そんなフランチャイズ店舗に対して、広告宣伝やシステムサポート、経営相談を行うOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)なる担当者がいるそうです。そして、その担当者は本部社員の3分の1を占めているんだとか。
1人当たりで7,8店舗を担当し、毎週担当店舗を回ってオーナーとの経営打合せや発注アドバイス、店舗体制づくりなど幅広い仕事をしているようです。
そこで求められるのは、オーナーとの対話。セブンイレブンでは<顔を突き合わせて思いを伝える>ことを重視していて、<言葉では伝わらないもの>を伝える努力を怠らないと言います。
販売状況や数値など言葉やデータで伝わるものは、「形式知」として効率的に共有する一方、言葉で表現できない想いや価値観、経験からくる知恵やノウハウを「暗黙知」として、ITによるコミュニケーションで共有することは難しいといいます。
なるほど、昨今の在宅ワークの効率化一辺倒の流れには、この発想が抜けているのかもしれませんね。
店舗は暗黙知を共有する場である、と。それはOFCもオーナーもバイト君も同じであると。
未来を見据えて行動するトップの条件
長年、セブンイレブンのトップに立つ鈴木敏文氏が考えるトップの条件は6つあります。
- 会社の理念を掲げて動じない:当たり前の実践
- 決める力:責任者として決断し結果と向き合う
- 過去を否定する力:常に新しいことに挑戦する
- 徹底させる力:ブレずにやりぬかせる
- 伝える力:共感できる優しい言葉で語りかける
- 未来型思考を持つ:未来をみて今やることを考える
今どこのコンビニでも導入しているコーヒーサービスは、元々セブンカフェが発祥でしょう。そういう意味でセブンイレブンは”市場を自ら作り開拓した”と言えますよね。
セブン銀行なんていう金融機関も持ってますし、ちょっと前には金の〇〇シリーズなんていう高級プライベートブランドもヒットしました。おそらく、あまりぱっとしなかったサービスもあるんでしょうけど、目指すべき未来を見据えて、今何ができるのか考えて行動している結果が成功につながっているんでしょう。
まとめ
『まんがでわかる セブン-イレブンの16歳からの経営学』は、セブンイレブン成功の秘訣について、初歩の初歩にちょこっと触れた、という印象。知っている人には読み足らず、知らない人には入門書にはもってこい、そんな一冊に仕上がっています。
最後に、近所のセブンイレブン。昼過ぎに行くとお弁当系は売り切れているし、気持ちの良い接客もない(いや別に不快ではないんですが)。
私にとってそこに行く理由は、もっとも最寄りのコンビニだからであって、やはりコンビニエンスストア(便利な店)は立地にかなうものなし!と改めて感じました。
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