仕事柄、会社紹介を製品説明をしなければならないことがあるんですが、どうも説明口調だったり、スライドにいろいろと書きすぎたり、スライドを読んでいるだけになってしまったり…もっとうまくプレゼンテーションできないものかなあと悩んでいました。
場数を踏むにつれて、だんだんうまく(というよりも慣れなんですが)できるようになってきたんですが、根本的なテクニックやノウハウを勉強しようと思い手に取ったのが、本書『TEDトーク世界最高のプレゼン術』ジェレミー・ドノバン著です。
読後までコレジャナイ感が続く
結論から先に書きましょう。私は最後の最後まで馴染めなかった!
そもそも本書で紹介されているようなプレゼンテーションは、日本の文化の中ではちょっと恥ずかしいと思ってしまうもの。そんなこともあってか、読んでいてもどうも乗り切れない。どこまでいってもコレジャナイ感がぬぐえませんでした。
TEDトークとは
とはいえ、気を取りなおして本書を紹介しましょう。そもそも、皆さんはTEDトークをご存じでしょうか?
少し前で言えば、パロディCMで有名な家庭教師のトライ×アルプスの少女ハイジで、オンジがTEDトークを模したようなプレゼンテーションをしていましたね。
TEDとは、テクノロジー、エンターテインメント、デザインの3つの分野から感動や衝撃をもたらすアイディアを紹介し、広めていくことを目的とした非営利組織(NPO)です。TEDには様々な事業がありますが、中でも広く知られているのが、会員だけが参加できるカンファレンスと、プレゼンテーションのインターネット無料配信です。
本書P13より引用
日本ではNHKで「スーパープレゼンテーション」という番組名で放送されていましたので、そちらで見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
プレゼンテーションの構成・組み立て・スピーチを体系的に学ぶ
内容・ストーリー・構成編では、トピックの選び方からキャッチフレーズの作り方、自己紹介の方法、やスピーチをはじめ方が紹介されています。スピーチが始まる前の空気感を重視すべきなようで、準備していたことを話すのではなく、始まる前までの出来事をアドリブでイジるなど、プレゼンテーションはナマモノであることに触れています。
以降、スピーチ内でいかに聴衆を引き付けるか、どうやって締めるか、自身のキャラクターや実体験をストーリーにして示すことも重要であるようです。
後半では、言葉の使い方や効果的なスライドデザインや、ユーモアを盛り込むコツや身振り手振りなど体が使ったコミュニケーションが有益だそう。
昔でいうとスティーブ・ジョブズのアップル新商品発表会、最近で言うとトヨタ自動車の豊田社長なんかの手法と同様です。これが欧米流プレゼンテーションの大本流ということでしょう。
違和感の正体
本書は和訳本で、元々はアメリカの書物です。TED自体もアメリカのイベントですし、本書の登場人物は日本人からするとみんなが外国人。出てくる登場人物、全員誰やねん!の世界です。
誰やねん!の登場人物が知らんがな!なストーリーを語ります。頭に入ってきまへん…
また、ユーモアについては、ひとつのジョークがウケたら、さらに笑いを誘い込むフレーズを3つほど叩き込む。1分間で平均1つのジョークを織り込もう、とのこと。このジョークの例も、当然アメリカンなので、Oh!ポカホンタス!いまいち理解が進みません…。
権威を少しばかりこき下ろす笑い、というテーマで以下のように紹介されています。
ところがある日の深夜、このレポートをまとめていた時、私はある発見に気づいたのです。統計的にいうと、スウェーデンの優秀な学生たちの世界情勢に関する知識は、チンパンジーよりも著しく低いということです。(会場笑い)
私はカロリンスカ研究所の教授たちにも、ぶしつけな調査をいたしました。ノーベル医学賞を授与する人たちです。その結果わかったのは、彼らはチンパンジー並だということです。
(TED2006 ハンス・ロスリング「最高の統計を披露」より)
本書P148より引用
また、最初の30秒で笑いをとれ!(どうもイロモネアっぽいですが)というテーマでは、ロビンソン卿は開始10秒で笑いをかっさらったといいます。
他のプレゼンテーションの後に登場した彼はー
おはようございます。気分はいかがでしょう。素晴らしかったですね。私もすべてに感動しどおしでした。だからそろそろ帰ってもいいかなって。(会場笑い)
(TED2006 ケン・ロビンソン「学校教育は創造性を殺してしまっている」より)
本書P72より引用
いや、わかるんですよ。そもそもナマモノを文章で、しかも和訳して読者に伝えるのは難しいでしょう。ですが、私がプレゼンターとして先のジョークで笑いを取る自信はありませんね…
そして、プレゼンテーションのジョーク手法として、”テンドン”も紹介されています。”テンドン”は世界共通なんでしょうか。
そうはいってもエッセンスは確かに使える
帯のに書かれている本書内容の抜粋。
- 聴衆が最も注意を傾けているのは、最初の10秒から20秒間
- キャッチフレーズは最低3回は繰り返そう
- 小学6年生が理解できるレベルの言葉を使う
- 一気に話し、適度に間を置く。「間」が聴衆の注意を引き付ける
- 聴衆は、あなたのプレゼンテーションがうまくいってほしいと思っている
など、実例はイマイチなものの、エッセンスは大変参考になります。各章の末には要約が載っており、それだけでも実践に使えそうです。
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