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本日の一冊はコチラ。
『アントニオ猪木と新日本「道場」最強伝説』



道場のルーツ
今なおオールドマニアの心を掴んで離さない「プロレスこそ最強の格闘技」という幻想。その幻想がUWFを生み、日本から世界へ繋がる総合格闘技の熱狂を生んだことは間違いないだろう。
そしてその幻想のルーツはアントニオ猪木であり、さらに言うと日本プロレス時代に力道山が要請したカール・ゴッチ教室といってもよい。
初期の新日本プロレスにおいて、カール・ゴッチは外国人選手招聘のブッカーであり「プロレスは闘い」であることの証明、通行手形でもあった。新日本プロレスは資金が潤沢で政治にも長けたジャイアント馬場に対抗しながら、もっと巨大な世間のプロレスに対する偏見とも闘わなければならなかった。
新日本プロレスの選手たちは道場で厳しい練習を積み、肉体と精神を鍛え、そして極めっこと呼ばれるグラウンドテクニックを磨いていった。他団体の選手、道場破り、練習生、そして同僚らに舐められないために、ただひたすら強さを求めて修行を重ねていく…そんな道場だった。
本書は、新日本プロレス旗揚げ当時から昭和最後の新弟子である鈴木みのるまでを振り返る、新日本プロレス野毛道場にフォーカスした一冊だ。
あなたの知らないエピソード
とはいえ、マニアであればあるほど「道場エピソード」にまつわる新日出身レスラーの述懐はすでにご存じのことと思う。正直言って藤原喜明が語る猪木・道場・包丁エピソードは広く知られているし、最近の書籍『猪木のためなら死ねる!』などでも多く語られており、やはり食傷気味ではある。
一方で、未だにプロレス書籍の売れ筋は「昭和新日本モノ」か「UWFモノ」というから、おそらく本書を手に取る方は初心者の方ではないだろうし、マニアにとっては「自分が知らない情報が載っているか」がポイントになるだろう。
本書で初出しエピソードを持っていそうなのは、普段この手のインタビューにあまり登場しない木村健吾(らしくもないぜ!)と栗栖正信だろう。
キムケンは大相撲廃業後の上田馬之助との出会い~プロレス転向、日本プロレス時代のユルい道場稽古、新日本移籍後の厳しい練習を述懐。とりわけ木村夫人と猪木とのエピソードは、厳しさだけではない新日本黎明期の心温まる逸話が飛び出す。
ロサンゼルスのクリス、もとい栗栖の章には「手が合わない」ドン荒川とのエピソード、「グリグリ」なるクルクルパーの亜種表現も登場。栗栖が語る任侠的世界の猪木愛も素晴らしい。
ところどころで東スポ所蔵のレスラー写真も登場し、その時代にどんな選手が所属していたか、知らない顔を探すのも面白い。私は平成新日本からのプロレスファンなのでSWS系の新倉・畑・仲野にはとんと弱いが、写真とともにしっかり選手名も添えており見識が深まる。
プロレスラーのYouTubeを通じて考える
この手の昭和を振り返るプロレス最強論では常連の鈴木みのるインタビューもあるが、ここでは「新日本道場」が(多くのファンがそう認識しているのであえてこういう表現を使うが)衰退していった意外な理由が見えてくる。
私はプロレス系YouTubeチャンネルをいくつか視聴しているが、その中でもお気に入りが田村潔司の『一人UWF放送室』と永田裕志の『ゼアチャンネル』だ。
田村は言わずもがなU系プロレスラー最強の格闘家で、プロレスの世界から総合格闘家に見事に転身した両刀使いのトップ選手。『紙のプロレス』編集長の古くからの友人をパートナーに世紀末マットを紙プロ誌面を活用し振り返っているが、その多くの時間を猪木的プロレスや道場論などに割いている。
本チャンネルでは「いつからか新日本道場から失われた極めっこなどガチンコの練習」と「UWF道場が果たした役割」がテーマになることが多い。格闘技風プロレス(格プロ)から総合格闘技へボーダーレスに渡り歩いた田村はまさしく「プロ」レスラーだし、進行を務めるパートナーは、見るプロ・書くプロで猪木プロレス最強の論客だ。令和のプロレスには疎い二人だが、本書を好むようなファンには絶対にオススメのチャンネルである。
鈴木みのるが語る「新日本プロレス退団の理由」は強さへの執着によるところだし、闘魂三銃士以降の新日本プロレスはショー的要素ばかりで「強さ」の鍛錬を怠っていたとみなされている。冷静に言えば「素晴らしいプロレスを観客に見せるために効率的な練習に移行した」のだろう。
かたや、ゼアチャンネルで永田裕志は、道場でのガチンコの練習は健在だと語っているし、彼自身もキックボクシングへ出稽古へ出向いていたり、結果は振るわなかったがガチンコの試合へも出撃した。一線を退いたとはいえ新日本プロレスのトップ選手が語る一言は重く、外野(UWF勢や妄信的なファン)が「新日本プロレスではガチンコの練習はしていない」と決める付けるには無理がある。
鈴木みのるが語る新日本道場の変貌は、維新軍団やUWF勢の離脱による選手不足から、必要に迫られた若手選手の底上げと活用(さらに新弟子が夜逃げしないような道場に作り替える)を暗に示している。
そして、猪木のセミリタイア、坂口×長州政権、長州派閥によるアマレス出身者の厚遇など、新日本プロレスの台所事情と時代の変遷が大きく影響しているとも思う。
食傷気味とは言ったものの、まだまだ語られる素地を残しているのはやはり新日本道場なのである。
内容★★★☆☆
赤裸々★★★☆☆
ケーフェイ★★☆☆☆
レア度★☆☆☆☆
必読度★★☆☆☆
一言コメント:巻末にはジョージ高野宇宙人伝説も!

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