私の仕事はメーカーの営業なんですが、いつもどうやったらもっとたくさん売れるんだろうか考えています。無い知恵を絞るんですが、そんなことは学校でも習わないし、会社でも教えてくれないし…。
だったら自分で勉強するしかないっしょ!
というわけで今回紹介するのはコチラ。
『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』永井孝尚著です。
本書のオススメポイント
俗にいう”マーケティング”をとてもわかりやすく、カンタンにやさしく学べる1冊です。
マーケティングとは、「頑張らなくても売れる」ことだと著者は語っています。世の中にあるマーケティング本は理論の説明ばかりで難しいけど、本来は子供でもわかるようなシンプルなものなんだそうです。
確かに本書の内容はとてもやさしくてわかりやすいです。
(表紙はオシャレな女の子で手に取りやすいんですが、本書内には全く出てきません!)
本書で紹介されているマーケティング用語をいくつか紹介しましょう。
売れるものとはなにか
例えば、バリュープロポジションという考え方があります。
お客さんが何にお金を出しているのか、その仕組みをわかりやすくしたものです。
企業が提供しているモノがあっても、欲しい人がいないと成立しませんよね。企業が提供できるものと、お客さんが欲しいものがあることで関係が成立し、しかもそのうち競合ができないものをバリュープロポジションといいます。
つまりお客さんが欲しがっていて、かつ自社しかできないもの、という考え方です。
また、レッドオーシャン/ブルーオーシャンという言葉がありますね。
市場における寡占状態を表すマーケティング用語。レッドオーシャンとは、血が漂う海で臭いを嗅ぎつけたサメがやってきて、ますます食い荒らされる海=競合過多な寡占市場。ブルーオーシャンとは、血もないしサメもいない=競合がいない新たな市場。
ビジネスをするうえでは当然、ブルーオーシャンを探さなければならないですよね。
バリュープロポジション、ブルーオーシャンどちらも、徹底的に相手の立場になって考えることが重要だと著者は語っています。
なぜセブンイレブンの近くにはセブンイレブンがあるのか?
セブンイレブンって、大通りを挟んで向かい合ったところに出店していたりしますよね?こんな近くに出店していて客の取り合いにならないのかな?と感じたことはありませんか?
これをランチェスター戦略という言葉で説明してくれています。
戦いには強者と弱者に分かれます。弱者はどうやれば強者に勝てるのか。弱者は弱者なりの戦略があり、また強者は強者なりの戦略があるわけです。
例えば、セブンイレブンにとっての強者はイオンモールです。
全国展開していて、豊富な品ぞろえがあり、大型店舗を目指して遠方から集客します。かたやセブンイレブンは、局地戦(ドミナント方式といいます)に持ち込み、3000品を毎日のように入れ替え、顧客の生活圏に小店舗で構えます。
小さなセブンイレブンで大きなイオンモールを攻め囲うようなイメージですね。
イオンモールは安いものを大量に並べて売るというチャネル(チャンネルと同義)戦略で顧客を取り込み、一方セブンイレブンは生活に密着した品ぞろえを近くで買える戦略を徹底しています。
もちろん、イオンモールVSヨーカードー、セブンイレブンVSファミマVSローソンなど、強者・弱者それぞれの階層でもライバルはいるのですが、そうした戦略をもって企業経営しているということですね。
意外と知らない、イノベーター理論とキャズム理論
私の勤め先では、少し特別な製品を売っています。これには目立った競合はないのですが、なかなか売れない。本書で学んだ、イノベーター理論とキャズム理論を理解すれば、売り上げ拡大の攻め方が変わるかもしれない!
新しいもの好きの人っているじゃないですか。その反対に、なかなか取り入れない人だっている。
日本でライン(チャットツール)を使用していない人はいないんじゃないかってぐらい普及率が高いですが、拡大当初はよく知り合いと連絡先を交換する際に「ラインやってる?」なんて聞いたものです。
新しいものを取り入れる際に、5つのタイプに分ける考え方がイノベーター理論です。
- イノベーター(全体の2.5%)革新者。新しいもの好き、なんでも真っ先に取り入れる
- アーリーアドプター(全体の13.5%)先駆者。良さそうだと自らが判断したら取り入れる
- アーリーマジョリティ(全体の34%)現実主義者。他の人が良いといったら取り入れる
- レイトマジョリティ(全体の34%)懐疑派。多くの人が取り入れたら自分も取り入れる
- ラガード(全体の16%)頑固者。最後まで文句を言って取り入れない
ブームはこの順番で徐々に広がっていく、というのがマーケティングにおけるイノベーター理論だそうです。
そしてここからが重要!
アーリーアドプターとアーリーマジョリティの間にある深い深い谷<キャズム>があり、この深い谷を越えて現実主義者を取り込むのは相当難しいということ。
例えばわが社の製品。「新しいものだから使ってみよう」層と「なんか良さそうだし使ってみよう」層を越え、「他の人が良いといったから使ってみるよ」層を取り込むのが難しい。
確かにその通りで、そういうときに役に立つのが”納入実績”ですよね。みんな使ってますよ~と、暗にあなた遅れてますねと伝え、アーリーマジョリティになってもらう作戦。
では新製品が登場した場合は…。とにかくイノベーター&アーリーアドプターを探して採用してもらうということが重要になりそうです。
どうやったら売れるか、をマーケティングから学ぶ
モノが売れるしくみを知っていけば、売り先を変えたり売り方を考えるヒントにもなりますし、自社製品の採用率や売り上げだってあがりそうです。
本書で書かれていることは、考えてみれば当たり前のことかもしれません。
ですが、理論立てられ言語化されたマーケティング知識をたくさん学べますので、仕事の整理にも役立ちますし、街中で流行ってるモノ・コトへの理解が深まると思いますので、オススメの1冊です。
コメント