こんにちは!アツコアツオです!
今回は池袋の映画館、新文芸坐にて『226』を観てきましたので、紹介したいと思います!
今を遡ること87年目の今日、陸軍皇道派の青年将校が起こした軍事クーデター未遂事件、いわゆる二・二六事件を題材にした映画です。
監督は五社英雄、超豪華なキャストが大集結しています!
おそらく、ほぼ史実通りになっていると思いますので、詳しい内容は二・二六事件を確認いただくとして、映画の内容に触れていきましょう。
226をレンタルDVDでみよう!
見たいけど見る手段がないとお嘆きのあなた!
TSUTAYAやDMMが運営するCD宅配レンタルサービスを利用してみてはいかがでしょうか?
無料で始められますし、確認したところ2023年11月現在、どちらのサービスでもDVDレンタル可能です!
五社英雄監督『226』
〇基本情報
公開:1989年
監督:五社英雄
脚本:笠原和夫
製作:奥山和由
配給:松竹富士
冒頭、若い軍人が一室に集まってクーデターを企てるモノクロシーンから映画は始まります。
リーダー格のショーケンに諭されるように決起を決意する佐野四郎、モックン、竹中直人ら。最後まで渋っていた三浦友和もついには計画に同意し、映像がだんだんとカラーになっていきます。
皇道派の青年将校たちは尊王討奸をスローガンに、天皇を中心とした独裁政権を作ろうと軍事クーデターを起こします。雪の降りしきる1936年2月26日の夜、自分たちの部隊(隊員はクーデターであることは知らず)を率いて当時の首相や蔵相や内大臣、侍従長らを襲撃(一部暗殺未遂)。それぞれの屋敷では年老いた妻や娘らがいるなかで、容赦なくターゲットを襲っていきます。
初期の計画を遂行した青年将校らは、陸軍大臣に自らの考えを伝え一定の理解が得られたためクーデター成功かと思われましたが、結局天皇の勅命で”逆賊”とみなされ制圧されることに。
事態がわからないまま、隊のリーダーの指示でクーデターに同行していた一般の兵隊まで逆賊扱いにされるわけにはいかず、青年将校らは順に自らの隊を投降させ始めます。
そして、リーダー格のショーケンと、最後まで徹底抗戦を訴えた三浦友和でしたが、ついには拳銃で自害するのでした。
事件の詳細
新文芸坐にあったポスターでは、事件の概要がコンパクトにまとめられています。
教科書でならう二・二六事件は、”青年将校のクーデター”ぐらいしか、先生は教えてくれませんでした。最近はリスキリングという言葉が流行っていますし、これを機会に近代史を学び直すのもおもしろいかもしれません。
私がいつも好んで見ているYouTubeチャンネル『大人の教養TV』は優しく丁寧に、そしてあまり偏らずに説明してくれていますので、興味がある方はどうぞ。
私は常々、過去の出来事を今の価値観で判断してはいけないと思っています。
ですけど、やっぱり武力でもってのクーデターはいかんですよ。
映画のポイント
で、映画の話に移りましょう。
この映画を私なりに3つのポイントにまとめると…。
①脇役も超豪華な配役
②五社英雄が描く女たちの二・二六
③映画としての盛り上がりはちょっと残念
ひとつづつ語っていきましょう。
①脇役も超豪華な配役
主役級にショーケンや三浦友和がいますが、脇役やちょい役も超豪華!
ホテルの支配人に梅宮辰夫、陸軍の要職者に丹波哲郎、松方弘樹、渡瀬恒彦、仲代達也etc…。いや、ホントちょい役レベルなんですがね、なんとももったいない配役というか「気合入った作品でっせ!」というのはひしひしと伝わってきます。
一方、ショーケンの存在感は今一つ。リーダー格なので冷静沈着で落ち着いた演技ということもあるでしょうけど、これまで(私が)みてきた『傷だらけの天使』『青春の蹉跌』『アフリカの光』なんかの、アクの強いキャラクターの破天荒ショーケンの方が好きだなあ、と思ってしまった。
②五社英雄が描く女たちの二・二六
五社英雄作品は熱烈なファンがいることでも有名ですし、”五社英雄芸人”とか”あなたの知らない五社英雄の世界”などで、テレビで特集されることも多いですよね。
やっぱり特徴的なのは「女性の描き方」でしょう。見かじった程度で恐縮ですが、『鬼龍院花子の生涯』『陽暉楼』『吉原炎上』『肉体の門』なんかの印象がものすごく強い。
本作はクーデターを起こした青年将校側からの視点でストーリーが進行しますが、それぞれの将校が家庭に残してきた妻と子供との思い出がフラッシュバックするシーンがあり、健気で淑やかな女性が美しく描かれています。また、こちらの女房人の配役も有森也実・賀来千香子・藤谷美和子・南果歩・安田成美と実に豪華!
クーデターを起こした将校にも家族があったし、帰ることがない亭主を待つ妻の悲哀、というシチュエーションはわかるんです。だけれども、政府要人を暗殺しているわけですからね。逆賊とみなされたからって、今更幸せだったころを思い出すのは都合がよすぎるよ!って思っちゃいました。
政府要人を暗殺するシーンでは、その妻子も登場して必死で抵抗していましたからね。討奸の信念なのかもしれないけど、人の命にダブルスタンダードはあってはいけないと改めて感じてしまった。
③映画としての盛り上がりはちょっと残念
史実として、おそらく観客の多くは事の顛末をある程度知っているわけです。当然、クーデターが鎮圧(武力衝突になる前に投降や自害)されてしまい成しえなかったことも知っている。
ストーリーの起点から帰結までが明らかになっている題材を映画にするという意味では、やや単調に感じられたかな、というのが率直な感想。ちょうど2時間の映画だったんですが、「長いなあ」とは思わなかったものの、結構早い時間にもうこれ以上物語の展開はないなとわかってしまいましたね。
同じ史実におけるクーデター未遂を扱った映画でも、『日本のいちばん長い日』の方が、クーデター側の鬼気迫る想いが伝わってきましたね。
戦中の事件を扱った映画としてみるならいろんな感想があると思いますが、五社英雄作品をみたいという方は、他の作品の方がよいかもしれません。
コメント