今回紹介するのは、新日本プロレスの自他共に認めるエース棚橋弘至選手の『全力で生きる技術』です。
この本はこんな人にオススメしたい!
- 学校や会社生活でうまく立ち回れない人
- モチベーションが上がらずやる気に慣れない人
- 時間がないのにやるべきことがいっぱいある人
棚橋弘至と新日本プロレス
棚橋選手はプロレス団体の盟主である新日本プロレスの絶対的エースプロレスラー。日本人のプロレス観を見事に変えた選手、といっても差し支えないでしょう。K-1やPRIDEなど格闘技と比較され八百長論で片付けられてしまったプロレスの氷河期において、ストロングスタイルという格闘プロレスを標榜していたために最も煽りを食らった新日本プロレス。その団体の氷河期を耐え抜き、外れのない試合を連発し、地道なプロモーション活動を続け、今もなお続く黄金期の基礎を作り上げたのは、まさしく棚橋選手の功績でしょう。
棚橋選手のキャリアは、まさに逆境の連続でした。
交際女性との痴情のもつれから背中を刺され”棚橋はもう終わり”と揶揄された。後輩である中邑真輔に追い抜かれ先にチャンピオンになられてしまった。外国人チャンピオンの欠場による、やや不本意な形でチャンピオンになるも、ファンからの大ブーイングで歓迎されなかった。
それでも棚橋選手は腐らず(ちょっと腐った時もあったかもしれないが)に、実直にプロレスの力を信じて、ファンからの信頼を勝ち取った!
私はリアルタイムで棚橋選手のデビューから嫌われ者時代、ブーイング時代を見てきましたが、ブーイングが声援に変わる瞬間を目の当たりにしました。(大阪府立体育館 王者:中西学戦)
まさに棚橋選手が自分の力で、時代やファンを掴んだ瞬間でした。
本書には、そんな棚橋選手の”逆境を生き抜く”技術がたくさん紹介されています。
棚橋流 逆風の跳ね返し方
棚橋選手が自身のポジションを掴んだ経験から、自分探し・人間関係・やる気の出し方・うまくいかない時の切り抜け方など、具体的な体験をもとに説明してくれています。
プロレスに例えられている話が多いため、プロレスファンの方はイメージができて、すんなり頭に入ってくるはず。
プロレスファンではない方や棚橋選手を知らない方は、やや理解がしづらいかもしれません。ただ、スーパーポジティブというよりはポジティブになる術を知っている、という印象がありますので、必ず参考になると思いますよ。
印象に残ったテーマ:
意見と人間性は分けて切り替える
自分を支える2つのモチベーション
時間のマネジメントでトレーニング時間を確保する
組織の中での戦い方(選挙運動と同じである)
限られた時間で集中的にやる
難しい話はありませんし、博学な一面もある棚橋選手(立命館大学出身)の、やさしく丁寧な自己啓発本です。
プロレスがご存じない方にはピンとこないかもしれませんが、”受け身を取る勇気”というテーマでも語られており、プロレスの、相手にぶち当たる覚悟と、やられても立ち上がる強さは、人生にも共通するよなあ。
確かにプロレスは人間同士が戦っているという単純なものではなくて、人生をかけたドラマであり、プロレスそのものがレスラーの人生なのだ。
逆風が吹いても、立ち上がれなくても大丈夫。棚橋はこんな時でも戦い抜いた!俺達には棚橋弘至が付いている!と思わせてくれる1冊ですよ。
棚橋が語る、オカダ観・中邑観・内藤観(ただし2015年時点の)
本書の中には2015年時点の新日本プロレス状況ではありますが、絶対的なエースが語るオカダ観・中邑観・内藤観が語られています。
2015年というと、オカダの横にはマネージャーである外道が。中邑は新日本プロレス所属でインターコンチネンタル王者で独自のチャンピオン像を築き、内藤は過去の棚橋と合わせ鏡のように、観客からブーイングを受けている時代。
本書の中で棚橋が語るそれぞれのレスラー観は、現在の新日本プロレスの答え合わせになっているかも?!
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