奥多摩の旅館で座長がみた幻の浴場…過去の名作含む『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection11 奥多摩の旅館』

稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。

今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection11 奥多摩の旅館』を整理!
(CD発売日:2011年6月3日)<MNT-11>

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『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ

同シリーズ11枚目の作品。

ネタ切れにならないほどまだまだ稲川怪談があるというのもスゴイ!毎年のツアーや心霊探訪の賜物でしょうね。

『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection11 奥多摩の旅館』

稲川淳二の怪談には、ノスタルジックな風や土の匂いがある…。
初期の代表作、「奥多摩の旅館」を含む全六話収録。
色あせる事のない、稲川怪談の奥深さをご堪能ください。

公式ホームページから引用

表題怪談が過去の名作「奥多摩の旅館」というのも少し寂しい気がしますが、人間の変えられない運命を指し示す「死神を乗せたタクシー」をタイトルにしてもよかったんじゃないか?

他には冬山登山系怪談「慰霊碑」、稲川泣き声リフレインが不気味な「猫が鳴く」など収録しています。

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死神を乗せたタクシー(2007冬)

起きてしまった事件や事故の中には、どうしても説明のつかない事ってたまにあるんじゃないでしょうかねぇ。
あなたは信じますか…? 死神の存在を…。

公式ホームページから引用

夕暮れ時、車で家路を急ぐ2人。

前に走るタクシーが蛇行していたんで追い越したんですが、追い越しざまに友人がヤなものをみたっていう。空車のランプがついているにもかかわらず、そのタクシーは後ろの座席に”気持ち悪いもの”を乗せていたっていうんです。

次第に追い抜いたタクシーが後ろから追い付いてきて、2台並ぶ格好になった。

その時、ふっとタクシーをみると、頭からぐっしょり血で濡れた女が座っていて、前方を指指してパクパク口を動かしている。どうやら運転手はそのことに気づいていないらしい!

「なんか言ってやろう」と思って、次の交差点の信号で止まったんですが、タクシーはそのまま信号を無視して交差点に突っ込んでいって、運悪く青信号で侵入してきたトラックと衝突してしまった。

事故を目撃した2人は救急車を呼んで、状況を見守っていたんですが、タクシーの後部座席にあの女はいなくて…。

一言コメント(ネタバレ注意)

事故は事故なんですが、大した事故じゃなかったそうです。だけど、タクシーの運転手さんはトラックとぶつかるもっと前に、すでに心臓発作で亡くなっていたようです…。

あの血まみれの女はなんだったんだろう…。死神だったんだろうか…。

意外とこうした事件や事故、あるかもしれないですねえ。

本作をファイナルデスティネーション的な物語だとすると、「時間がない…」と関連付けられそうな怪談ですよね。

それから座長の「いっけねー!」というセリフはいつか使ってみたい(笑)

空車のタクシーと並走しても、見ない方がいいかもしれませんよ。

慰霊碑 (2005)

雪の降る群馬県の温泉場で、聞かせてもらったお話です。
冬の北アルプスで遭遇してしまった不思議な体験談でした。
山登りをされる方…、お気をつけください。

公式ホームページから引用

友人と2人で北アルプスの雪山を登山していたんですが、昼を過ぎたころ風が出てきて、次第に空模様も怪しくなってきた。

雪と風が舞い上がって視界が効かなくなってきて、身動きが取れなくなってしまったんですね。で、ちょうどよい窪みを見つけたんで、そこで一休みすることにしたんですが、相変わらず雪風が強くて動くわけにはいかない。仕方なくじーっと堪えてたんです。

すると友人が、以前山岳部の学生がビバーク中に亡くなった出来事を思い出した…。自分たちも同じ結末を迎えてしまうのか、2人は何ともいえない気分になった。

豪雪が収まりそうもない状況なので、窪みにもっと隠れて風を避けられるよう深く掘っていったんですが、そこで人工的に作られた石の慰霊碑を見つけてしまい…。

一言コメント(ネタバレ注意)

どうやら、そこはかつで学生が亡くなったその場所だったようですね。しかも5年前のその日だったという。

その後、彼らは無事に山小屋までたどり着くことができるのですが、このお話は偶然の出来事だけでは済まなかったんです…。

ビバークの話題がでるので”こいつに決~めた”の「ビバーク」と混同されやすいかもしれませんが、まったく別のお話。巷には雪山にまつわる怪談は数多くありますが、本作はわりとオーソドックスな作りですね。

上級者でも雪山に行く際は気を付けてくださいよ…。

ロケバス(2010)

湖の畔、辺りは暗い闇。
バスの車内にはあなた一人きり。
ちょっと想像してみて下さい。
耐えられますか?

公式ホームページから引用

周囲を深い森に囲まれた湖のほとり、深夜にドラマの撮影が行われているんですが、少し離れた森の中でロケバスが撮影が終わるまで待機していたんです。

そこは死体が上がったこともある湖。そんな雰囲気の中でロケバスの運転手はクルーが戻ってくるのを待っていたんですね。

真っ暗闇の森の中。誰かの足音が近づいてきたので、ロケバスのドアを開けたんですが、だあれも入ってこない…。

「足音は空耳か…」

見渡すと誰もいないんですが、車内には誰かがいる気配がして…。

一言コメント(ネタバレ注意)

怪談自体は非常にオーソドックス。オチまで古典的なんで意外性には欠けますね。

一方で、ロケバスのドアが「ウィーン」となる稲川擬音は聞き逃せません!

湖と深い森の中…。ただじゃあ帰ることができないことは覚悟してください…。

奥多摩の旅館 (1995)

この話、ずいぶんと以前のものなのですが、私は好きなんですよね。
最近ふと思う事があるんですよ。
あれは私自信が本当にあの場所に足を運んで体験してしまった事なのか、それとも、私の魂かなんかだけが行ってしまったのか…。

公式ホームページから引用

座長が出演していた朝のワイド番組で、正月特番の生放送をすることになった。

で、番組用で事前に東京の日の出を撮りに行こうということになって、夜にテレビ局へ集合して、ロケ車で奥多摩に向かうことになったんです。出発が遅かったこともあって、ずいぶん遅い時間に宿に着いたんですね。

古い蔵を改造したような部屋に通された座長でしたが、部屋の中に洗面台がない。廊下を出ても見当たらないので、仕方ないから母屋へ行こうと廊下を歩いてから外へ出て行ってヒゲを剃ったんですが、翌日になって、女将からそこは”ありもしない風呂場”だと聞かされて…。

一言コメント(ネタバレ注意)

稲川怪談名作コレクション(勝手に命名すな!笑)ともいうべき、初期稲川怪談の定番ですね。

今はもう火事で焼けてしまい、すでに無くなった古い旅館にかつてあったという、女将が亡くなった風呂場…。

燃えた古旅館に焼き付けられた情景を、座長はその時みてしまったのかもしれません

奥多摩は夏は気持ちいんですけどね、冬は物寂しいものがありますよねえ。
稲川淳二メモリアル「遺言」

公式YouTubeチャンネルにもアップされています!

地下のリハーサル室(2008)

全国ツアーをしていると、色んな会場で色んな事がありますね。
立ち入り禁止のフロア、使用禁止の楽屋…、確かにありましたよ。
何処とは言えませんがね…。

公式ホームページから引用

とある演劇集団が公演をするという会場なんですが。

階段下に古い部屋があると聞いて、空き時間に数人で見に行ってみることにした。

”使用禁止”と書かれたリハーサル室。なぜ使用禁止なのかわからないまま、興味本位で部屋を入ってみることになったんですが…。

一言コメント(ネタバレ注意)

私、ここで殺されたよ…

どうやら使用禁止のリハーサル室、そこではかつて女性が殺された過去があるようですね。

そして、公演中には、パンフレットにも載っていない謎の演者が出演していたという…。

「そいつやん!」といいたくなりますが、何の暗喩もなく謎が謎を呼んでこの怪談は終わっていきます

一方で、オチのセリフがばっちり決まっていて、ミステリーナイトツアーの会場で聞くと映えそうなお話ですね。そんな意味でこのCD版はお話としてうまくまとまっていて、かなり完成度が高いと思います。

怪談の語り口調の違い

余談ですが、ミステリーナイトツアーが初出しのような怪談はCD収録には向いていると思います。

変わって座長の名作コレクション系は、おそらくテレビやラジオが初出しであり、そうした状況を想定した作りになっているから、少人数を対象にこじんまりとライブの臨場感で口調や展開、筋書きになっている気がします。

そんな怪談はCD版ではテンションを作りにくそうな印象を受けますね。(スタッフやエンジニアはいるでしょうけど、基本的にはマイクに向かって話しているでしょうし)

そんな観点からか、傑作怪談「ゆきちゃん」や伝説的怪談「生き人形」はミステリーナイトツアーCDにはしにくいのかも、と考えてみたり。

先の「奥多摩の旅館」は話し言葉怪談、この「地下のリハーサル室」は朗読風怪談といえばわかってもらいやすいかな?

この辺は座長が著書で語っておられますので、別の機会に考察したいと思います。

リハーサル室で、いったい何があったんでしょうかね…。

猫が鳴く(2009)

仮の宿には結構こんな話があるんですよね。
お仕事柄、出張の多いあなた…、
怖~い体験をされたなら、是非私に教えて下さいね。

公式ホームページから引用

土木機械技師の男性が、仕事の都合でしばらく、東北地方にある安アパートに住むことになった。

とはいっても、土木現場には風呂もあるし大きな食堂もある。仕事終わりにはいつもの居酒屋で仲間と飲んで、帰ったら布団を敷いて寝るだけのアパートなんですがね。

そんなある時なんですが、夜中頃。

ふっと目を覚ますと、どこかで猫が鳴いている。

アパートの誰かが飼っているのか、野良猫が住み着いているのか、その時は特に気に留めなかったんですよ。

別のある夜。

猫の鳴き声がずいぶん近い。どうやら押入れの方から聞こえてくる。

「野良猫が押入れに入ってきているのかなあ」とも思ったんですが、まあ、わざわざ起きて確かめるのも面倒くさいんでそのまま寝ちゃったんです。

翌日、布団をしまおうと押入れのふすまを開けたとき、昨夜の猫のことを思い出したんで、少し探してみたんですがね。

ふすまの裏に書いている、5つの日付と人の名前を見つけてしまうんですよ…。

一言コメント(ネタバレ注意)

「猫の鳴き声だと思ったら赤ん坊の泣き声だった」シリーズ。といっちゃあ元も子もないんですが(笑)

怪談の異様な不気味さ、それから脈絡のなさからくる恐ろしさでいうと、同じ猫鳴き怪談でも「マー」の方が圧倒的にクオリティが高いと思うのは私だけでしょうか。

作田さんは毎夜毎晩、猫のような鳴き声を受信することで、少しづつ赤ん坊の霊とチューニングがあってしまったのかもしれませんねえ。

それにしても座長の「オギャアオギャア」リフレインはマジで気持ち悪いです(笑)夜寝ながら稲川怪談を聞く方も多いと思うのですが、この話はオススメしません(笑)

あなたが聞いているその猫の鳴き声…。本当に猫なんでしょうかねえ。

さいごに

いかがだったでしょうか?

ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin11!

定番怪談はないものの、過去の名作あり、不思議系怪談あり、正攻法な怪談ありと、結構バラエティーに富んだラインナップだったなと思います。

ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。

それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。

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