こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。
金曜日は闘いのワンダーランド!
毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。
新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!
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9月15日は何の日?
今回は、2018年9月15日に広島サンプラザホールで行われたこの試合をテーマに考えてみることにしましょう!
直前のG1クライマックスでは石井が勝利しており、そのリマッチとなりました。
プロレスに何を求めるのか
”ベストバウトマシーン”ことケニー・オメガと、突貫ファイターの石井智宏が激突すれば、内容は保証付きで絶対に面白い試合になることは間違いない!
…間違いないんですけど、この日チケットを買った観客は、何がみたかったのだろうか。
スゲエ試合をみたかったのか、どちらが勝つか分からない試合をみたかったのか。はたまた、石井がIWGPヘビー級王者になるところをみたかったのか。
繰り返しになりますが、両選手が絡めば絶対にスゲエ試合になりますよ。なのでその視点で考えれば絶対に間違いがない試合(ひいては興行)といえるんでしょう。
ですけど、果たしてそこに勝負論はあるんでしょうか?
イメージビジネス
大方のファンは(擦れたファンといってもいいかもしれないけど)このカードを発表をみたときに、「どうせケニーが勝つんだろ?」そう思ったはずですよ。加えて、G1クライマックスのリベンジマッチときたら、石井が星を返すことは鉄板で確実ですよね。
そう考えると、内容保証付きのスゲエ試合になるこのマッチメイクは、すでに勝負論から逃げてしまっている、1種の消化試合でしかないんじゃないか、という見方だってできてしまう。
また、もう1つの重要な視点としては、「石井智宏のIWGP奪取をみたいか?」という論点だってある。
最初に断っておきますが、石井の闘志あふれるブチかましファイトは大好きですし、ショッパイ選手だなんてまったく思っていませんよ。
だけど、IWGPが持つ格に石井は相応しくない、私はそう思ってしまっているわけです。
やはりチャンピオンの格は重要で、プロレスは主観のイメージビジネスですから、どれだけ神格化されたベルトやチャンピオンが存在するかで、その団体の価値が決まると思うのです。
分相応というか、興行での役割というか。適材適所、ビジュアルや天性の素質があって、会社とファンから求められたポジションでどれだけ輝きを増すことができるか。
そんな意味では、この試合は私にとっては「結果が分かり切っていて絶対にスゲエ試合になるけど、石井にはIWGPヘビーのベルトは巻いてほしくない」という、やや複雑な関係性の試合なのです。
掟破りのプロレスがあってもいい
それでもなお、試合が始まったら石井が勝つことだってあるかもしれないわけですよ。だって試合なんですから。
そしてその時、自ら手繰り寄せて運命を掴んだ選手たちに、我々は感動し心を動かされるのではないでしょうか。(古い例えで恐縮ですが、猪木舌出し失神事件や、橋本真也負けたら即引退スペシャルなど)
スマホ脳プロレス
結末が分かるマッチメイクはつまらないし、内容だってどんな試合か想像がつく。だけど、試合自体はそんな冷めた視点を打ち破る素晴らしい戦いだったし、まさにスゲエ試合だった。
超最先端プロレスといってもいい、ケニーの超スピード展開かつ刺激が強いハードコア殺法は、現代人の脳に巣食う”手っ取り早く刺激を求める”性質とマッチングした「スマホ脳プロレス」といえるかもしれません。
とにかく展開が早く、矢継ぎ早にどんどん技が量産されていく。対する石井は限られた技ではあるものの、1発ずつ武骨な技で反撃していく。試合はお約束通りといってはなんですが、片翼の天使が決まりケニーが勝利しました。
石井は存在がプロレス
試合に負けた石井ですが、試合に敗れてからが石井の真骨頂といえるかもしれません。
タフネスマッチを終えたばかりですが、石井の闘争本能は未だオメガを狙い続けます!
この辺が石井プロレスの真髄で、試合が決するまでが仕事ではなくて、始まる前も、そして終った後も、組まれた試合にきっちりプロレスしていく石井の魅力でしょうね。
観客不在のゴールデンラバーズ
そして、試合後のゴールデンラバーズ。シチュエーション的にはBULLET CLUBのケニーに、本隊所属の飯伏が歩み寄る形になったんですが、新日本プロレスファンとしては白々しくみてしまいますよねえ。
外様を受け入れないっていう気持ちでは決してないんだけど、DDTの”あの日”の続きをこのリングでやられても…という思いでみてしまいました。
2023年9月現在、ケニー・オメガは米AEWマットを主戦場にしており、新日本プロレスとは微妙な距離感を保っていますが、再び新日本プロレス勢と激突する日はくるんでしょうか?
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