元気ですかー!野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。
今回は、新日本プロレスの声出し解禁一発目の大会『バーニング・スピリット』を新日本プロレスワールドで観戦しましたので、振り返っていきましょう!
熱戦譜『新日本プロレス バーニング・スピリット』2022年9月5日(月)東京・後楽園ホール(700人/札止め)
※生観戦したわけではありませんので、会場の様子や試合の写真はありません。文章のみでお届けするプロレスジャーナルです(良くいいすぎ)。
そんなわけで写真が使えませんので、派手さはないかもしれませんが、新日本プロレスから取材拒否を受けてしまった当時の週刊プロレスをイメージしながら読んでください…。
声出し応援可能な大会
本大会はコロナ禍以降、約2年半ぶりに声出し応援が可能な大会となりました。
ただし、全席声出し可能なわけではなく、後楽園ホールの北側と、南側の後部(たぶん一番安い席)は声出しできない席になっていました。
声出し応援可能な席は左右が空席になっていたり、不織布のマスクが義務付けられていたりと条件がありましたが、興行としてのプロレスを考えたときに、声を出して応援できるというのは観客にとっても戦う選手たちにとっても、大きな1歩と言えるでしょう。
今後、試験的に声出し応援を解禁していきながら、以前のようなフルハウスの会場で大声援が聞こえる日がくると良いですね。
観客をあの日の応援へ導く
オープニング、高橋ヒロムが会場を盛り上げる前説役として登場!
最近のプロレスラーにはマイクアピール力が必要だ、なんていわれるじゃないですか。要するにリング上でしゃべる能力。大会を締めたり、対戦要求をしたり、それに応戦したり。プロレスラーは戦うだけではなくて”言葉”を持っていないといけないと。マイクだけではなくて、アドリブ対応とセンスが求められる、非常に頭の回転が求められる格闘技といえます。
高橋ヒロムはしゃべれる選手でありながらも、「盛り上げる力」にも長けていますよね。これって、<ロックの手法>を応用しているんじゃないでしょうか。ロックバンドのライブではコール&レスポンスっていうのがありますよね。「盛り上がってるか~い」「イエー!」みたいなさ(文字にするととてもダサいですが)。
しかも最近のロックバンドって、対バン(複数のバンドが同じライブに参加する小規模ライブ形態)やフェス(一日中、朝から晩まで様々なアーティストが参加する祭りのようなライブ形態)の経験が多くて、”誰が一番盛り上げるか”っていうのが焦点になったりします。
これってプロレスと一緒じゃないですかね。大昔にFMWとロックの融合イベントで「炎のバトル」ってのがありましたが、ロックとプロレスはとても親和性が高い。チケットを買った観客をいかに盛り上げ満足して帰すか、そしてリピーターになってもらい、またチケットを買ってもらう。そして物販も買ってね、と。構図は同じでしょう。
ヒロム選手は元々ロック好きのようですし、いろんなバンドとの交流も多いそうですから、こうした前説的盛り上げ力は日本プロレス界において右に出るものはいないんじゃないでしょうか。言葉でもって観客をのせる・扇動するのがとても上手い(YouTuberでもありますよね)。
「醍醐味を失ったプロレスを好きでいてくれてありがとう!」
ヒロム選手は盛り上げるだけではなく、この日を待っていたファンに対しての感謝も伝えてくれました。
新日本プロレスではヘビー>ジュニアヘビーの構図がずーっとありましたが、高橋ヒロムの陽キャラクター、時代の閉塞感、デスペラードなど数多くのライバルの存在などから、彼ならこのヘビーとジュニアの構図をひっくり返してくれるような気がしています。
試合順の妙
いつもの後楽園大会と同じような、何の変哲もない対戦カード。シリーズ中のビッグマッチに向けたタイトル戦の前哨戦的対戦カード。
と思いきや、実に練られた構成だったのでは?と考えさせられる試合カードでした。
第一試合は鈴木みのるが登場。鈴木みのるといえば入場曲『風になれ』、そして「かっぜっーになれー」の大合唱ですよね。
前説で盛り上げて観客を温めておいて、みんなが比較的声を出しやすい『風になれ』の大合唱に持っていく。声を出すことを忘れてしまったり躊躇してしまう観客を、「風になれっていってもいいんですよ?」とスムーズな声出しに導くような。
そして、その次は悪党ハウスオブトーチャーの登場。結成来初の大ブーイング!!声を出して選手名を叫んだりして応援するっているのは意外と抵抗があるもの。だけど、「ブー!」とブーイングすることならけっこう簡単にできちゃったりします。
そして対戦相手には矢野通がいますので、おなじみの「ヤノ!トー!ルー!」の大合唱も忘れません。ここまでくると観客は、自然に声を出すことに違和感がなくなったのではないでしょうかね。
ほかにも「D・K・C!」とか「レッツゴータイチ!/タイチは帰れ!」など、応援しやすい定型句があって会場は大盛り上がりでした。
勘ぐりすぎかもしれませんが、ただ単に「声が出せるようになりましたから、どうぞ声を出して楽しんでください!」ではなくて、「観客が声を出しやすい構造」を作ったカード編成だったのではないかと。
そういう意味でも、新日本プロレス恐るべし。
プロレスは日常を取り戻す
メインイベントでは、棚橋弘至がTMDKのシェイン・ヘイストからハイフライフローで勝利。対戦相手のTMDKには申し訳ないが、棚橋&オカダの(いろんな意味での)最強タッグ、初の声出し応援大会という状況がそろったうえで、観客の誰しもが棚橋の「愛してまーす!」大合唱を願っていたことでしょう。
私はてっきり、棚橋は入場時に泣いていると予想していたのですが、最後のマイクアピールが終わっても涙は見せず。バックステージに戻ったとたんに泣き出していましたから、こらえていたんでしょうねえ。
泣いていること自体が感動的だとはいいませんが、自分のビジネスや応援してくれる人のために全力で涙を流せるって素敵だなあって、棚橋弘至を観ているといつも感じます。
ヒロムや棚橋はしきりに”待っていてくれたファン”にお礼を伝えていましたが、ファンのひとりとしては、この日をあきらめずにプロレスを盛り上げ続けてくれた選手のみんなにお礼がいいたい。
我々はいつも、プロレスから元気や勇気をもらっています!プロレスのおかげで、明日も元気に過ごせます!プロレスのおかげで、辛くても立ち上がり、あきらめずに立ち向かっています!
逆境から立ち上がるのがプロレスの魅力でもありますから、少しづつでもみんなで日常を取り戻しましょう!
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