VUCAワールドには必須のスキル?1日たった10秒で難しい時代を生き抜く瞑想術!書評『1日10秒マインドフルネス』藤井英雄著

みなさんはVUCA(ブーカ)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

最近はなんでもかんでも略語にしたものが多いですし(GAFAとかね)、まだそんなに浸透していない言葉かもしれません。

VUCAというのは「先行きが不透明で将来の予測が困難な状態」を意味し、VUCAはそれぞれ下記の頭文字を取った略語です。

  • V(Volatility:変動性)
  • U(Uncertainty:不確実性)
  • C(Complexity:複雑性)
  • A(Ambiguity:曖昧性)

気候問題、政情不安、感染症などなど、現代社会はますます先が読めなくなってきています。とりわけビジネス界においては、VUCAの時代にSDGsに配慮をしながらどうやってBCPを作っていくかと、というのも課題の一つです(これまた略語だ)。

そんなVUCAワールドで生き抜くためのスキルとして、マインドフルネスが注目されています。マインドフルネスは、過去に研修で体験したことはあったのですが、自分でも勉強しようと思い、本書『1日10秒マインドフルネス』を手に取りました。

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『1日10秒マインドフルネス』

シンプルですが綺麗なデザインです。
この帯だけではホンマカイナと思ってしまいますね。

マインドフルネスとは、すごく簡単に行ってしまうと「悟りを開いた状態」です。頭の中がすっきりした状態、自分を認識し達観した状態と言えるかもしれません。

マインドフルネスのルーツは仏教にありますが、仏教流「瞑想」が欧米に伝えられて、仏教の枠組みを超えて心理療法の中に取り入れられました。そして思考のゆがみを修正する方法として、うつ病や不安障害を解消する認知療法と融合して、マインドフルネス療法が確立されたんだそうです。

いまでは労働者のメンタルヘルスとして、Googleやインテルなどの欧米企業が社員教育の一環でマインドフルネス瞑想を取り入れているそうです。

「悟り」とか「瞑想」というと、宗教的なイメージが付きまといますが、それらを応用して現代版にアレンジしたものがマインドフルネス瞑想と言えますね。

マインドフルネスは生き方をも変える

私たち現在人(特にビジネスパーソンの皆さん)は、過大なストレスにさらされている方が多いのではと思います。マルチタスクかつ猛スピードで業務をこなすよう求められ、一息ついたり深く物事を考える余裕がなく、ただひたすらに毎日をこなすのが精いっぱいという方も多いのではないでしょうか。

マインドフルネスは、仕事術とかノウハウとか小手先のものではなく、生き方全体に浸透するような根本的な解決策だといいます。

自動操縦モードからの脱却

マインドフルネスとは、「今、ここ」の現実リアルタイムかつ客観的に気付いていることです。過去にあったことに耽ったりや未来について考えている状態ではなく、現実世界=ここに気づいている状態。「今、ここ」に生きることがマインドフルネスです。

反対の言葉で「マインドレスネス」というのがありますが、本書ではそれを「自動操縦モード」と呼んでいます。自分が自分のことを認識できずに、起こった出来事に無意識に対応している状態、とでもいいましょうか。私たちの心は周りの影響を受けてころころと変わっていきます。集中して仕事に取り組んでいても、たった1本の電話で集中力が途切れてしまうし、電話の内容によっては、不安になったり腹が立ったりイライラしたり、気分の赴くままに自分の気持ちが変わっていきます。

私たちの普段の日常はほぼすべての時間、「自動操縦モード」によって過ごしていると言っても過言ではありません。マインドフルネス瞑想を行うことで、「今、ここ」を取り戻し、過去の後悔・未来への不安・周りへの不満・自己嫌悪など、様々なネガティブ思考を手放して「今、ここ」のやるべき仕事に集中することができると言います。

「10秒マインドフルネス」の手順

それでは、ほんのちょっとだけ「10秒マインドフルネス」を紹介しましょう。手順は簡単。

  1. 「今からマインドフルネスのエクササイズをする」と宣言する
  2. 「今、ここ」の現実を10秒間、感じる
  3. 「ここからマインドフルネスな状態で生きる」と宣言する

たったこれだけ!

…とはいっても、これだけではわからないですよね。1と3は宣言することで<やる前>と<やった後>のメリハリを言葉にするというもので、肝心のマインドフルネス瞑想は2の工程です。

本書では実践編としていろいろなシチュエーションや手順が紹介されていますが、もっともシンプルな方法を案内しましょう。

無心になる

目を閉じ、無心になる

静かな場所の方がいいですが、多少雑音がする環境でも構いません。例えばエアコンの音だったり、周りの雑音に耳を傾けてみて下さい。自分の呼吸音でも良いでしょう。あくまで耳を傾ける程度で、”聞く”わけではありませんので注意です。

たった10秒だけでも、意外と無心になるのは難しいですよ。とりわけ心がざわついている時はむずかしい。雑念がわいてきたら、雑念を棚上げ(どっかにやって後回し)して、また無心に戻る。

何か違う考えが湧いてきても、(いかんいかん)とまた無心に戻ってくる。10秒間、無心になってみて下さい。

終えた後、自動操縦モードではなく、あなた自身があなたの存在を気づいている状態になっていませんか?

まとめ

本書ではシチュエーション別10秒マインドフルネス方法や、目的別マインドフルネスなどいくつも紹介されています。また、役に立つ応用編もありますので、入門書であり且つ実践するには十分な内容になっています。

自動操縦モードとマインドフルネスの関係。これが理解できるだけでも本書を手に取った価値があると感じました。皆さんにとっても、自分自身を見つめなおす良いきっかけになると思いますよ。

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