こんにちは!アツコアツオ★ランド編集部です。
当ブログ管理人であるアツコアツオによるプロレスコラム。
第5回の今回は「プロレスは美しい!多幸感に包まれた天山引退試合」をお送りします。
それでは、どうぞ!
不屈の猛牛、引退
プロレスは闘いである。当ブログで何度も主張してきたことだ。
その闘いの中には激しさや痛みがあるし、時によっては憎しみや明るさ、楽しさや笑いだってある。21世紀のプロレスは闘いを源流としながらも枝分かれし、時代の多様性に応える形でその枝葉を伸ばしてきたと言える。
そして、今回の天山広吉引退試合には、プロレス独特の美しさがあった。不屈の猛牛が繰り広げた最後の戦いは、その歴史や試合、セレモニーも含めてとても美しいものであった。
天山はゼロ年代、何かと便利屋的に使われてきた印象がある。獲得タイトルだけでみるとエース級なのだが、大事なときに外敵のかませ犬にされたり、超新星だった中邑真輔の踏み台にもさせられた。ゲスト的に武藤全日本が参戦する時は負け役を務めさせられたりもした。
しかし団体や我々ファンは知っている。天山が誰よりも体を張って新日本を守ってきたことを。
両国のメインイベントに据え誰も異を唱えなかったことがその証拠だろう。
最後の相手は小島
天山広吉。
プロレスファンであれば彼がどれだけ頑丈で、どれだけ対戦相手の攻撃を受けて耐え、さらに肉体を酷使した攻撃を繰り広げてきたか誰もが知るところである。そんな天山が、歩くことさえままならない状態になってリングに上がった。
試合前の蝶野正洋によると「引退を決意した今でもリングを降りることを悔やんでいる」という。新日本プロレスを愛しこだわり続けた男は現役へこだわりながらも、肉体の状態と乖離してきたことに納得できなかったのだろう。
そんな天山の覚悟を受け止めたのは盟友小島聡だった。
最高のタッグパートナーでもあり、一時は袂を分けたライバルでもあった。出自は同じヤングライオンで苦楽を共にした中でもあるし、彼らの歴史を振り返るとなんと形容したら良いかわからないが、二人にしか理解し得ない関係性があったのだろうと思う。
かくして最高の引退試合の舞台は整った。

儚くも美しい最期
大テンザンコールの中、引退試合用の特別なガウンとコスチュームに身をまとった天山は「ぶちかますぞオラ」「オッシャ」「カマーン」「タコ、エー!」とお馴染みのセリフ(を発言していると思われる)で自らを鼓舞しながら入場してきた。
やはり足元がたどたどしい。しかし我々を心配させることなく闘志にみなぎる天山は、無制限一本勝負を要求し、小島に最後の勝負を挑んでいった。
モンゴリアンチョップやブレーンバスター、アナコンダバイスやバックドロップを繰り出し勝ちにこだわった。不格好かもしれないが全身で小島にぶち当たって体を浴びせていった。
終盤は立っているだけでもやっとに見える天山は防戦一方。ただこれが実に天山らしいではないか。相手の攻撃を受けまくって、それでも立ち上がる天山。あの頃の天山と同じなのだ。体は不自由になっても「不屈の猛牛」は一撃必殺のはずのウエスタンラリアートをカウント2で返していった。
あえなく3発目で轟沈したが、「負けてたまるか」「なにくそ」という新日本道場の精神を体現した天山の肉体を通じて、天山流の闘魂を見た。
最近のプロレスラーは体が丈夫なうちに、また致命的なケガを負う前に引退することが多い。レスラーのセカンドキャリアや事故を考えると当然なことなのだが、ボロボロになってもなおリングに立つレスラーに特有の儚さがあるのも確か。
身を粉にして、肉体一つで戦うレスラーの栄光と悲哀を美しく感じてしまうのはファンの勝手なのかもしれないが、天山の引退試合はキラキラと煌めき、実に美しかった。
勝つことだけがすべてではないプロレス独特の輝きを放っていた。
怨念坊主もまた…
引退セレモニーへ…という時あの男がやってきた。かつて「友情タッグ」を結成も天山を騙し裏切り、ヒール転向した飯塚である。
飯塚は自身の引退試合でさえ天山と和解しなかったし、今もなお丸坊主のままあごひげを伸ばし続けグッドシェイプを保っている、まさにプロフェッショナルである。
アイアンフィンガーで地獄突きをされながらも天コジで逆襲する…我々はお約束を想像したのかもしれないが、飯塚は自身のプロ根性を捨てて、天山を労い握手に応じて、そして抱き合った。
もしかすると飯塚はこの日が終わるまで、引退後もずっと怨念坊主を続けていたのかもしれない。この飯塚のこだわりも実に美しいではないか。これぞプロレスラーである。
ついに20年来の「アングル」に終止符が打たれた。
天山がつなぐ縁
セレモニーでは(VTRではあったが)まさかの金本登場。絶縁状態だった新日本と金本を繋いだ天山との絆に驚かされた。
そしてひねくれ者のカシン来場、新日本プロレス学校時代の同期である金原もやってきた。UWFインターとの対抗戦で激突した両者をつないだのも、また天山の引退試合の引力だったのだろう。
G1決勝を戦った秋山も登場したし、レジェンドである長州、藤波、武藤、蝶野、馳もやってきた。
天山のために集まった凄まじい顔ぶれは、彼がレスラーから愛された証明でもある。特に金本やカシンは「出禁説」があるぐらい新日本とは疎遠になっていた選手。天山がつないでくれた縁もまた美しいではないか。
今後、天山がどのように新日本プロレスと関係していくのかわからないが、彼の人柄でまた新しいの闘いの輪が広がっていくことを願っている。

そして最後に。
天山広吉さん。本当に長きにわたり、新日本プロレスの第一線での熱いファイトお疲れ様でした!



コメント