こんにちは!アツコアツオです。
新日本プロレスやレスラーに関する書籍はとにかくたくさん出版されていますが、全日本プロレス関係のものって比較すると少ないと思いませんか?
昭和の時代、ジャイアント馬場政権下ではどんな出来事があったのか?体系的にまとめられた読み物は意外と少ない気がしていました。
全日は語り継がれるエピソードが圧倒的に少なくて、それは単に語られる機会が少ないだけなのかもしれませんが、どんな出来事があったのか勉強したい!という方も多いのでは?
新日本プロレス一筋24年のアツコアツオですが、今回は新日x全日のライバル関係を旗揚げ年から昭和の終焉までを追った、堀江ガンツ著『闘魂と王道~昭和プロレス16年戦争』を紹介したいと思います!
『闘魂と王道~昭和プロレス16年戦争』
総ページ数590ページ!
電話帳ぐらいブ厚いです!ってこの表現は今では伝わりにくい?
ファイナルファンタジーの攻略本ぐらいぐらい!…これもちょっと時代を感じるかな。とにかくブ厚いんですよ!
ブックエンドなんかいらない、本だけで自立するブ厚さなのです!
裏面は1979年「プロレス夢のオールスター戦」での2人。ほんの一瞬の出来事でしたが、意外と馬場x猪木ホットラインは続いていたことが明かされています。
著書紹介
著書の堀江ガンツ氏は『紙のプロレス』出身。『紙プロ』は世紀末のプロレス界において、『週刊プロレス』『週刊ゴング』に対抗する第三極として、一時期すごく勢いがあった記憶がありますね。
特に小川直也を擁立している印象が強くて、1.4事変以降のアンチプロレス的な時代の流れを掴み、PRIDEの隆盛を誌面でサポートしていた雑誌という認識です。
現在も定期刊行されている『KAMINOGE』でも執筆しているとのことです。
私はだんぜん『ゴング』派だったので、GK信者ですが(笑)堀江ガンツ氏のことはたまにTwitterでお見かけしています。
本書の内容
1972年の両団体旗揚げから昭和終焉までの期間で、時系列に沿った各団体のメイントピックスや両団体に関係する因縁などを、ざっとまとめてくれています。
基本的な話題が多く、プロレスマニアなら知っていることがほとんどかもしれません。私は新日マニアなので新日関連は既知のネタばかりでしたが、全日のエピソードはあまり知らなかったためとても勉強になりました。
帯にあります、「権威を追求したジャイアント馬場x権威を破壊したアントニオ猪木」が言い得て妙。
馬場は当時のプロレスの王道であった外国人ルートを抑え込み、NWAという最大級の権威にすがって猪木を潰そうとしたし、猪木は限られた戦術と馬場や世間への反骨精神でプロレスに市民権をもたらしました。
本書は、馬場と猪木の根本的な対立軸をメインに据え、両団体における出来事の大筋をなぞりながら、直接的な戦いではない政治的に駆け引きをしていたエピソードや、時には「えっ!?」といいたくなるような妙な戦略やアングルの舞台裏にも触れてくれています。
個人的に面白く読めましたのは、新日本プロレスでいうと「ブッチャー引き抜き騒動」、そして全日本プロレスでいうと「元横綱・輪島の入団」。この辺りの顛末を詳しく解説してくれています。
また、ジャイアント馬場が日テレから全日本プロレスの社長を降ろされた時期があったことも意外なエピソードですね。とにかく視聴率がほしくて輪島をメインに据えた構成が続いたそうですが、結局は全日本プロレス中継の視聴率は好転せず、放送時間はだんだんと追いやられた時間帯に移行していきました。
ブルーザー・ブロディ曰く、馬場と猪木の対立は「日テレ対テレ朝」だと芯を食った発言をしています。昭和プロレスとは、まさにテレビを巻き込んだレスリングウォーズだったんだということでしょう。(そういう意味では、TBSが擁立した国際プロレスは戦争に負けたといえる)
それから、結果的に最後のロングインタビューとなってしまった、アントニオ猪木の昭和プロレスに関するインタビューが巻頭で掲載されています。
本書のターゲット層
プロレス初心者には決してやさしくない話題が続きますが、一方マニアの方には「知ってるよ!」な出来事や裏ネタ情報が多いことも事実。
プロレスラー取材本に定評がある柳澤健氏や田崎健太氏の証言が登場したり、おなじみのターザン山本!氏、それから良く取材に応じてくれるレスラーなどのコメントで歴史を振り返っていることも多く、それらの著書を読んでいる方は既に読んでしまったエピソードが多いはず。
どのレベルのファン層向きなのか…この辺りがプロレス本の難しいところですね…。
どちらかといえばライトなプロレスファンや、とりわけ昭和プロレス当時に熱中していた方は目からうろこの情報がたくさんあると思いますよ。
それぞれのエピソードは時系列でまとめられているので、当時の業界の流れもとても理解しやすい構成になっています!
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