【26冊目】牛久事件の真相!?プロレスデビューからマリーゴールド旗揚げまでを赤裸々に語る自伝『ジュリア自叙伝 My Dream 』

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WWEスーパースターまでの道のり

私はジュリアのことが好きで好きでたまらない一員ではないのだが、いやはや彼女の生き様はかなり凄まじい。

アイスリボン時代は存じ上げなかったためDDM時代からしかフォローしていないが、本書は彼女の生い立ちやプロレス業界入り、スターダムへの移籍などかなり詳細に語られている。

なぜにこれほどまでに女子プロレスラーのバックボーンは多種多様なのか。スポーツエリートを求めてしまう現代の男子プロレスの度量が小さいと言わざるを得ないほど、女子プロレスラーの経歴は多岐にわたっている。

イタリア人の父と日本人の母を持つハーフの彼女(冒頭さっそく本名と伊名が晒される)はプータローからキャバクラ嬢を経て、プロレス業界へ飛び込んだ異色の存在。さらにイタリア料理店(自営)の店長経験があり特殊メイクの専門学校まで出ているという。まさに人生バーリ・トゥード(なんでもあり)!

プロレスを知ったきっかけというのもまた奇異で、なんとキャバクラ時代に常連との同伴で会場に連れていかれたことがキッカケらしい。そしてプロレスラーに憧れるという珍しい入り口のパターンである。この話はおそらく有名な逸話だろうが、キャバクラ時代の彼女の生活(ちょこっと恋バナあり)も詳しく触れている。

とにかく他にはいない経歴の持ち主の彼女だが、学生時代はかなりの不良だった様子。日伊のハーフが自分や兄弟を守るための自衛手段ではあるのだが、かなり喧嘩っ早かったエピソードもふんだんにある。

見方を変えれば、昭和新日本的な要素もある彼女の素質はプロレスラー向きだと言えるだろう。彼女自身、バチバチ系に憧れがあったというのも頷ける。

以上の通りざっと経歴をまとめると、

と、令和のリアルわらしべ長者と呼んでも過言ではない転身ぶりなのである。

本人が語るアイスリボン離脱

そんなジュリアだがプロレス入りは女子プロレス団体のアイスリボン。今ではかなり業界内存在感がなくなってしまったが、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いがあった。

彼女はデビュー前からテレビの密着取材を受けているし(なにせビジュアルが良い!)スター候補生だったことは間違いない。しかし、薄給なレスラー業と手伝っていた事務職が加わり、本業の練習時間が取れなかったことからスターダム移籍を決意する。

私は突然のスターダム登場からしか認識していないが、「お騒がせ女」というニックネームもあって、どうやら不義理をして移籍したことはなんとなく理解をした。

しかし、当時彼女の言葉に耳を傾けたファンはいただろうか?

いや、彼女は自分の本音を吐露したことがあっただろうか?

ぜひジュリアの視点で語る移籍の真相を読んでみてほしい。そして改めて鈴季すずとの邂逅マッチを見てほしいものだ。

また、ここ最近の女子プロレスラーの自伝の中では、良くも悪くも本人書下ろしの状態からあまり手が加えられていない文体だ。美しい滑らかな文章ではないかもしれないが、彼女のホンネと脚色しない意志が感じられたりもする。

牛久事件の真相

スターダム移籍後の早い段階で、アメリカの巨大団体が彼女に忍び寄ってきたことにも触れているが、ただその時点では入団を認めたロッシー小川への恩返しのためか、団体躍進と充実に心血を注いだ。ユニットの拡充にも貢献したし、主要タイトルも総ナメにした。

そこで起きた「牛久事件」。

事件はスターダム崩壊(正確には崩壊間近で踏みとどまったのだが)の最終烙印であり、特殊な興行「SHOW CASE」などスターダム運営への不信感が爆発した格好になった。確かに泡あわビキニマッチとか爆破マッチとか…金満興行が多かったような気もする。ネガティブな見方をすると、オタクのカメコから金を搾り取る商法でしかなく、そこにプロレス本来の闘いはなかったのかもしれない。

本書で再現される原田元社長のブチ切れっぷりはなかなか面白い。選手はプロレスラーであって演劇者ではない。肉体と精神を興行に捧げ、命を賭けてリング上で闘っている。

とはいえ、団体側からすると環状線の外の集客を狙わなければならないわけで、ブシロードは上場企業であるから現状維持は原則的に後退と同じなのである。

このあたりの経営と選手のすれ違いは辻陽太の爆弾発言「おい!ブシロード!俺たちはカードゲームのカードじゃない!」に通じるものがありそうだ。プロレスラーはプロレスラー上の言うことしか聞かない、というササダンゴマシンの意見は心理なのかもしれない。

まあジュリアの言い分は分かるが、そこで新たな箱舟を作って離脱しようとするロッシー小川の謀略にも驚きである。

みんなの受け皿だというけれど、本当に愛しているのなら創設者として団体やオーナーに向き合うべきではなかったか?もしかして向き合ったけれど相手にされなかったとしても、自らが築き上げた団体や歴史を葬り去る行為は私には理解ができない。

ジュリアはマリーゴールド旗揚げを見届けた後、現在はWWEのメインロースターで活躍しているが、今後もますますの成り上がりを期待している。

内容★★☆☆☆
赤裸々★★★★☆
ケーフェイ★☆☆☆☆
レア度★☆☆☆☆
必読度★★
☆☆☆

一言コメント:
帯にあの本文を抜粋した編集担当者にアッパレあげてくださいよ!アッパレ!

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