こんにちは!アツコアツオです。
今回は、怪獣映画としては異例の大ヒットになる予感の山崎貴監督作品『ゴジラ-1.0』をみてきましたので、レビューしたいと思います!
ネタバレ含む内容になりますので、読み進んでいただける方はご注意くださいね。

ゴジラ-1.0
いつもの通り、お得な料金でみられるTOHOシネマズのサービスデー(毎週水曜日)で鑑賞しました。
観客の入りは1/3程度、昭和ゴジラ世代と思われるおじさん(私は平成ゴジラ世代)と、意外だったのが上品なオバサマが多かったことですね。
山崎貴監督作品のファンの方でしょうか。

タイトルの意味は?
キャッチコピーは「戦後、日本。無から負へ。」
第二次大戦で焼け野原になった東京に、さらに追い打ちをかけるように巨大生物がやってくる様子は、まさに無から負といえますね。

また、この”マイナスワン”のタイトルの意味を考えると、いろいろな意味がありそうです。
私はゴジラ第1作目(昭和29年の初代ゴジラ)よりも若い年代の出来事という時系列なので『ゴジラ-1.0』というタイトルなのかな?と思っていました。もっとも、映画自体に他のゴジラ作品との関連性はないんですけどね。
さらに深読みすると、本作の主人公は特攻隊崩れという設定から、特攻隊を物語であった山崎貴監督『永遠のゼロ』からの”マイナスワン”だ!と考察している方もいて、関心させられてしまいました。
もう一つのキャッチコピーは「生きて、抗え」。
様々な人物が登場しますが、どうしようもない脅威が迫ってきても、一様に生きることを諦めませんでした。このキャッチコピーは映画の内容をひとことで表していると思います。
多くの人の心を掴む映画
この映画を一言でいうと、「安心・安全の親切設計、多くの人が満足できる!」ことに尽きると思います。
登場人物が抱える問題やストーリーは、温かい市井の人々によってすべて綺麗に完結します。
(敢えて伏せたほどのものではありませんが)伏線めいたものはすべて回収され、圧倒的な暴力を振るったゴジラはちゃんと退治され、死んだと思った愛しいあの人は無事に帰還します。
死を覚悟した掃討作戦に臨んだ登場人物たちも、全員無事!
さらに、物語はほぼすべてセリフで説明されますのでとてもわかり易い。行間を読んだり表情やしぐさから、あれどういう意味だったの?と想像する必要もないため、映画そのものをちゃんと眺めていれば万事OKです。
ゴジラの暴力はこの映画でもっとも面白いシーンですけども、グロ描写もありません(一部、遺体が並べられているシーンがありますが)。
鬼滅の刃的な「わざわざ全部セリフで説明してくれる」スタイルなので、社会のマジョリティの人たちや、最近の若者にはウケる映画だと思いますよ。
このあとどうなっちゃうんだろ…と、精神的不安を抱えて映像を見るのが苦手な人も安心してエンディングを迎えられます。
そんな親切設計な物語なので、ゴジラという怪獣映画だという先入観を捨てて、ぜひ劇場でみてほしい映画ですね。
私は今回山崎貴監督先品をみるのは初めてだったんですが…

ここに記載がない作品もたくあんあって、悪名高い『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』もあったりします(笑)
ですが、世間的には商業的に客を入れることができるヒットメーカーといえますよね。
監督作品のファンの方だったら、いつもの山崎節だ!って喜ばれる演出がたくさんあったと思いますよ。
とはいえ、幼稚だと思う人もきっといる
先ほどこの映画の特徴を列挙しましたが、「そんな映画はおもしろくない!」とか「そんなの映画じゃない!」と感じられる方もいる映画でもあると思います。
何もかもが順調で、声に出してはっきり説明しすぎているし、説明過多な映画という見方もできちゃいます。ご都合主義な出来事ばかりで、メロドラマ風の人間ドラマが生ぬるいくてクソさぶい、幼稚な映画だ、と敢えて悪口をいうこともできるでしょう。
見終わった後にモヤモヤしたり、心がザワザワするようなアナーキーでアバンギャルドな映画が大好物な私は、この手の映画は普段見ないなあ~と思いながらも、途中から「あ!この映画はいつもみているものとは違って、心を平穏に安心してみられる映画だ!」と悟り、映画をみるマインドを変えました(笑)
そういう意味では、本来私が好みなヒリヒリ・ザラザラしたような映画ではなかったため、その指向でいうと物足りなさはあったものの、これはこれで幸せな物語でいーじゃない!と思ったし、多くの大衆はそう感じるのが一般的なんだろうなと。
ですから、全員がとはいいませんが、多くの方は満足して帰ることができるのではないでしょうか。
シンゴジラとの比較
山崎貴監督自身も覚悟されているとは思いますが、どうしたって『シン・ゴジラ』との比較は避けて通れないでしょう。
『シン・ゴジラ』は、本当にゴジラが存在する世界を超現実で捉えた革命的な映画でしたよね。
怪獣が出てくる官僚映画ともいえる内容で、人間が躍動するというよりは、あまり血が通っていない冷たい映画、という印象を受けました。
『シン・ゴジラ』は、組織による究極のお仕事としてのゴジラ退治で、『ゴジラ-1.0』は敗戦直後の元軍人たちが、今度は強制ではない自分たちが主体となって国を守るために立ち上がるというストーリー。
『シン・ゴジラ』とはまた違った、新しいゴジラ映画の魅せ方を提示してくれました。
『ゴジラ-1.0』はアツイ男たちが”お国のために”ゴジラ退治に命をかける物語だったため、好みはわかれるかもしれませんが、平成ゴジラともシン・ゴジラとも違う、新たなゴジラの映画の魅せ方だったと思います。
…ていいながら個人的には『シン・ゴジラ』の方が好きだったりする(笑)
ツッコミどころもたくさんある
いいだしたらキリがないんですけど、やっぱりツッコミどころはたくさんあります。
この映画にノレない人は、ご都合主義でまるく収まるストーリーに対して、ツッコミどころを見逃せない人なんだろう。
このストーリー展開に没頭できる方じゃなければ、私のようなマイノリティな映画ファンは、いかに早く映画を楽しむ脳みそをギアチェンジして、割り切って楽しめるかがポイントになりそうです。
いくつか、あえてツッコミどころを列挙すると…
・被ばく実験で肥大化したゴジラは元々なんだったのか?
(平成ゴジラでいう大戸島のゴジラザウルスか?)
・ゴジラはなぜ東京に向かったのか?
・実戦経験がない主人公はなぜ超絶テクニックな飛行機乗りなのか?
細けえことはいいんだよ!ゴジラが大暴れしてよ、悩んでた元軍人たちが見事ゴジラを退治することで、やっと自分たちも終戦を迎えるんだよ!
そんな気持ちでみると、やっぱり楽しめる映画だと思いますよね、ウン。
何度みても楽しめる?
「安心・安全の親切設計」で万事うまく収まるストーリーですが、意外と繰り返しみて楽しい要素もあったりします。
それはミリタリー要素・紀子(浜辺美波)のアザ・ラストシーン。
終戦直後という時代設定から、実際に存在した軍艦(高雄/雪風/夕風/欅)や戦闘機(幻の戦闘機、震電)が登場しますし、ゴジラ掃討作戦が「海神(わだつみ)作戦」というのも、ミリオタの皆さんは興奮するところですよね。
それから、ただでは終わらないのがゴジラ映画だ!とばかりに、奇跡の生還を果たした紀子(浜辺美波)の首筋には何か禍々しい紋様のようなものが現れていました。ゴジラの放射能熱線で吹っ飛ばされたはずの紀子なのに、多少の外傷程度で奇跡の生還を果たしたのは、放射能やゴジラウィルスによる影響なのか…。
また、内部爆発を起こして絶命したはずの、水中深く沈むゴジラから新たな鼓動が…
と、物語の細かい軍事ネタや次回作を伺わせる展開の散りばめられており、ミリオタの方や考察が好きな方は何度みても楽しめるはず。
個人的に、うまく物語が収まったんだから、新たな火種は示さずに平和にエンドロールを迎えてくれよ…と思っちゃいました(笑)
まとめ
いかがだったでしょうか?
誰にでもわかる作品になっているので、多くの人は満足して映画館を出ることができる安心・安全な怪獣映画だといえると思います。
さらには戦争帰りの男たちが、再び日本を守るために自分たちの意志と力で立ち上がる、そんなアツイ映画でした。
一方で、わかり易過ぎて説明過多な演出と、単純でクサくて薄いストーリー…と感じる方もいるかもしれません。
そうそう、これまで全く触れていませんでしたが、オールCGのゴジラはまさにゴリラとクジラを合わせたような、筋骨隆々のマッチョゴジラに仕上がっています。ゴジラが大暴れする画面の迫力はすさまじくて、みているとブルブル震えてしまうぐらいに恐ろしくなってしまいました。
ストーリー的にはゴジラはオマケっぽい扱いになっていますが、ゴジラ映画としても存分に楽しめる作品でした!
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