こんにちは!アツコアツオです。
伝説のサイコホラーアニメ『パーフェクトブルー』の4Kリマスター版を劇場で観てきました!
今回お伝えしたいことは、
行くかどうか迷っていないで、後でチケットを買おうと思わずに、気になっている人はとにかく最速でチケット購入を!
ということです。
私は新宿ピカデリーで観賞したのですが、チケットは約10分でほぼ完売状態だったので、予定されている方はチケット発売と同時に購入することを激しくオススメします。
劇場に着いてから…はもとより、直前になってからネットで買おう、という余裕はほぼないと思ってもらって、とにかく興味がある方は今すぐチェックして購入された方が良いと思います。
期間限定ですが、全国規模で上映されますので、どうぞお早めに…。(もちろん劇場によって混雑具合いは変わると思いますが)
<9月15日(金)~9月21日(木)>
北海道:札幌シネマフロンティア
宮城:MOVIX仙台
福島:まちポレいわき
埼玉:MOVIXさいたま
千葉:キネマ旬報シアター(※9/16~1週間)
東京:新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ
神奈川:小田原コロナシネマワールド、イオンシネマ港北ニュータウン
石川:金沢コロナシネマワールド
福井:福井コロナシネマワールド
岐阜:イオンシネマ各務原
愛知:ミッドランドスクエア シネマ、MOVIX三好、センチュリーシネマ、中川コロナシネマワールド、豊川コロナシネマワールド、安城コロナシネマワールド、小牧コロナシネマワールド
京都:MOVIX京都
大阪:なんばパークスシネマ
兵庫:塚口サンサン劇場、kino cinema 神戸国際
広島:福山コロナシネマワールド
福岡:中洲大洋映画劇場、小倉コロナシネマワールド
熊本:熊本ピカデリー
<9月22日(金)~9月28日(木)>
群馬:イオンシネマ高崎
埼玉:イオンシネマ大井
千葉:イオンシネマ市川妙典
東京:イオンシネマ板橋、イオンシネマ日の出
神奈川:イオンシネマ新百合ヶ丘、イオンシネマ海老名、イオンシネマ座間、イオンシネマ茅ヶ崎
長野:イオンシネマ松本
愛知:イオンシネマ大高、イオンシネマ岡崎
大阪:イオンシネマ シアタス心斎橋
岡山:イオンシネマ岡山
広島:イオンシネマ広島西風新都
香川:イオンシネマ宇多津
福岡:イオンシネマ大野城
そして、劇場観賞の機会が2度アナタのドアをノックすると考えないで、今回の機会に、ぜひ劇場で観ていただきたいと思います!
今敏監督作品『パーフェクトブルー』
さて、『パーフェクトブルー』の紹介を…と思ったのですが、私のような弱小映画ウォッチャーが解説・考察するまでもなく、多くのメディアやSNS、YouTubeなどで語られていますので、何を書くべきかと少し悩んでしまいました…。
今敏監督やアニメーション表現などは語り尽くされている感がありますが、識者の方があまり指摘していない、できるだけ独自の視点で感想をお伝えできればと思っています。
多分にネタバレを含みますから、万が一未視聴の方がいらっしゃればお気を付けくださいね。
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あらすじ
このページにたどり着いてくださった方で、『パーフェクトブルー』ってなに?どんな作品?あらすじは?と疑問を持たれている方はいらっしゃらないかと思いますが、あらすじはWikipediaで詳しく紹介されていますので、下記をご参照ください。
また、YouTubeには公式の予告編がありますので、そちらもどうぞ。
サイキッカーからの視点
『パーフェクトブルー』が語られる際にほとんど話題にならないのですが、原作は作家・コラムニストの竹内義和氏によるものです。そして竹内義和氏といえば、関西ローカルでありながら全国にそのリスナーがいたといわれる、タレント北野誠氏との伝説的ラジオ番組『誠のサイキック青年団』のパーソナリティとして有名な方ですね。
本ラジオが伝説的な番組であったことについては色んな逸話があるんですが(謎の最終回は昨今のジャニーズ問題なんかを見ていると、解明に近づく日がくるかもと期待しています…)、私はこの『サイキック』の元リスナーでして、原作者である竹内義和氏(以後はあえてアニキと書かせてもらう)の才能や人となりは、多少なりとも理解できているつもり。
番組の特徴
ラジオで取り扱わられるネタは、社会情勢・事件・政治・ギャンブル・株・プロレスなど多岐にわたりましたが、芸能・アイドル・アダルトビデオ・裏社会モノも多く、パーフェクトブルー的世界が語られることも多かった。
時には暴論チックで歯切れ良いアニキのコメントは、今振り返ると<邪推・妄言>の域を越えなかったのかもしれませんが、我々リスナーは社会の暗部を垣間見れたような気がして、毎週日曜日の深夜にチャンネルを合わせては、ラジオ電波内の仲間とともにその世界に没入したものです。(リスナーたちは番組名にちなんでサイキッカーと呼ばれました)
近年では、自虐タップリに”決め打ちの神様”などと讃え、ほとんどは妄想発言である(あった)ことを仄めかしていますが、とにかく熱狂的なリスナーが支えたラジオ番組でした。
そして、『パーフェクトブルー』映像化に際しては、番組の熱狂的ファンだった『AKIRA』などで有名な大友克洋氏が仲介し、スタッフを探して今監督にたどり着いたといわれています。
また、芸能レポーター役で北野誠氏が友情出演しています(笑)
パーフェクトブルーの原作
さて、そんなアニキが原作の小説『パーフェクトブルー』は、いま絶版で読むことができません。
いまこそ再販を!とも思うのですが、原作とアニメ映画はほとんど内容が異なるらしく、おそらくアニメ映画ファンが原作を読むとずっこけるのではないかと想像します(笑)
失礼ながら、アニキの突き抜けるような異常性愛の世界は、アニメ映画本編のような緻密で複雑なストーリーには似つかわしくないと感じますし、未読なのでいい加減なことはいえませんが、アイドルから女優に脱皮することで、盲目的アイドルファンの復讐に遭う…という、アニメ映画版の一次的要素のみのような内容ではないでしょうか。
パーフェクトブルーの意味
アニキ原作の『パーフェクトブルー』は”完全変態”という副題がついていますので、パーフェクトブルーという意味は、そのまま完全変態と理解しておけばよいと思います。
「ブルー」という英単語にわいせつなものという意味もあるようで(ほら、昔のエロ動画はブルーフィルムなんて呼ばれた時代もあったでしょ?)、その完全版というネーミングなんでしょう。
今監督もパーフェクトブルーの意味は分からないといった趣旨の発言をされているようですので、アニメ映画の内容的にはあまり「パーフェクトブルー」のそもそもの意味とはリンクしていないのではと思われます。
そんなわけで、アニメ映画ファンの方は、あまりタイトルの意味を考えすぎなくてもよいんじゃないでしょうか。
あなた…誰なの?
アニキ原作の「アイドルとつけ狙う異常なファン」という下敷きをベースにしながらも、アニメ映画ではさらに、アイドルから脱皮した女優、そして偶像を追い求めるあまり取り憑かれてしまったマネージャーが登場します。
映画作品内で起こる現実と虚構の世界、そして観客をも巻き込んだ三つ巴による化かし合い映像に発展していきます。
そんな本作のテーマはズバリ「あなた…誰なの?」でしょう。
連続ドラマ「ダブルバインド」の超ちょい役としてキャスティングされた未麻のセリフは「あなた…誰なの」でした。
アイドル未麻を追いかけるファンに対して、自分を未麻だと思い込むマネージャーに対して、未麻自身が窓ガラスや鏡の中で頻繁に見る幻想に対しての「あなた…誰なの?」
さらには、現実と幻想が入り混じったアニメーション映像を追い切れず、ミスリードに遭う物語を見る私たち観客のメタ視点での「あなた…誰なの?」。
重要な登場人物3名に絞り、「あなた…誰なの?」をキーワードに振り返ってみましょう。
警備員:内田の場合
冒頭の歌謡ショーの警備員として登場する内田。
見るからにヤバいビジュアルをしていて、キモオタのステレオタイプみたいな存在ですが、ヤジを飛ばして空き缶を投げつけるアンチ軍団に対して、毅然とした態度で迫ります。
とにかく未麻を守りたい一心が動機とはいえ、警備員としての職務に忠実な、意外と真面目なやつなのかもしれません…。いや、きっと未麻への執着だけがコダワリなのでしょう(笑)
ファンサイト「未麻の部屋」にアクセス(ハンドルネーム:ME-MANIA)して、ルミが演じるニセの未麻と交流するうちに、ニセモノに踊らされて犯行に及んでしまった。
おそらく、序盤のアンチ軍団の1人を轢き殺したのは内田の仕業でしょうけど、その後の殺人に関しては直接関与したかどうかは疑わしいですね。同様に、ニセ未麻ことルミと直接接触していたのかどうかも明らかになっていません。
おっかけていた未麻がアイドルを卒業したあと、次第に(自身が思う)汚れ仕事が増えていくことに耐えかねた内田は、彼女のヌード写真が掲載された週刊誌を買い占める異常行動に出ます。
信じていた未麻が汚れた姿を他の男には見られたくないというドルオタの衝動といえそうですが、この辺りがけっこうサイキック的世界観ですね。
それをオカズに自分でぶっこくのではなく、そうしたものを世の中から排除したい/封印したいという想いが勝っていくという。
偶像に処女性を求めるのは今も昔もドルオタの保守本流なのかもしれませんが、そんな内田は女優・未麻が許せなくなり(加えてニセの未麻の教唆も相まって)、終盤未麻を襲撃し暴行に及びます。
内田も結局プロのドルオタではなく性欲に負けてしまった結果なのですが、彼の視点では女優・未麻はアイドル・未麻とは違いますから、そういうやつは犯してしまえ!という危険な発想に繋がってしまったのかもしれません。
そんな彼は最中に未麻ハンマーで頭部に反撃されてしまい、即死だった描写はありませんが、その後何者かに目をえぐられて殺されてしまいます。
このアニメ映画全体にいえることですが、我々の目の前で起きる出来事や映像は、必ずしも現実の出来事とは限りませんよね。何が現実に起こったことなのか錯乱させられる映像が続きますが、内田による未麻襲撃シーンは幻想だったりはしないでしょうか?
というのも、襲撃現場が「ダブルバインド」劇中の未麻がレイプされる場面で登場したストリップ劇場なんですよね。普通、ドラマのセットって撮影が終わったらすぐにバラすと思いますので、クランクアップしたドラマの途中に出てきたストリップ劇場での犯行っていうのに違和感を感じてしまいました。
未麻がアイドル時代の自分と対峙するシーンが多いですし、自身がアイドル時代のファンに対して自責の念があったために、あのストリップ劇場でファンにレイプされるという幻想を抱いたのかも…。
まあ、彼がヤバいファンであったことは間違いないでしょう。
マネージャー:ルミの場合
ファンサイト「未麻の部屋」は、実は大成しなかった元アイドルのルミが、自分が未麻自身だと思い込んで運営し、日記の中でも未麻になりきっていたという狂気が判明します。
ルミはアイドル未麻に自身の夢を重ねていた、といえば聞こえがよいですけどね、エスカレートして目指しているアイドル・未麻像を自分が食ってしまって、自分が未麻に取り込んだか、逆に取り憑かれてしまった。
劇中ドラマ「ダブルバインド」になぞらえていうと、ルミ自身が多重人格的性格だったわけですよね。
おそらくこのファンサイトは、未麻がアイドルを脱退する前から運営されていたと思われますから、未麻が女優に転身することで急遽立ち上げたものではないとみるのが自然でしょう。
ということは、ルミはマネージャーとしてアイドル・未麻の売り込みに奔走していた裏側で、自分が未麻になりきって生活していた(終盤、ルミの部屋がアイドル時代の未麻の部屋と全く同じレイアウトになっていたシーンがありましたよね)ということで、狂気じみた二重生活を送っていたことになります。
ルミ自身が望まないまま、アイドル・未麻が女優へ転身することを契機に、観衆の前でレイプされる汚れ役を演じたり、ヘアヌード写真を撮られたりと、アイドルから堕ちていく姿に耐え切れず、ついには未麻のアイドル衣装に身をまとって未麻の前に登場し、彼女を殺して丸ごとのっとろうと画策したのでしょう。
本作で殺害される登場人物は、事務所社長/内田/カメラマン/脚本家/アンチ軍団の1人ですが、アンチ軍団の1人以外は全員目をアイスピックのようなものでえぐられていますから、同一人物の犯行、すなわちルミの犯行とみるのが適当でしょうね。
ただ、手紙爆弾はルミの自作自演かどうかは…所見では特定できませんでした。
女優:未麻の場合
事務所の意向とはいえ、自らの意志でアイドルを辞め女優業に転身することを決断した未麻。
ドラマの汚れ役にも率先して買って出て、連ドラ期間中にヘアヌード写真まで撮影してしまう彼女の性格は相当どうかしてると思います(笑)無理やり事務所からやらされているという描写はありませんし、一度やりたくないとトイレに逃げ込むことはありましたが、いざ写真を撮り始めてしまえば、女優・未麻になりきる変わり身の早さ。いい表情してますよ!
ストリップ劇場での演技でもかなり肝が据わった様子でしたし、その覚悟だけでなく役に没入していくさまは、天賊の才というか天性の表現力のようなものを感じましたね。いい表情してますよ!(パート2)
そんな未麻は、いまさらアイドルなんかに未練があるようにみえないのですが、次第にアイドル・未麻の幻影に脅かされるようになっていきます。未麻はアイドルに戻りたいという気持ちはないようですから、この幻影はアイドル・未麻ファンの私怨か、はたまたルミの生霊のようなものなんでしょうかね。
ラストシーンでは、看護婦から間違われるほど有名女優に大成した未麻。序盤の可愛らしい印象はまったくなくなっています。
わたしは本物だよ
最後に「私は本物だよ」というようなセリフがありましたが、観客に対して「もう惑わされないでね」という意味もあるでしょうし、「私はわたし、そもそも、もう1人の私なんて存在しないよ」という意味もあるのかもしれません。
さらには、アイドル・女優・自分自身などの役割性格から脱した、未麻そのものが女優としてひとつになったという意味も込められているのかもしれませんね。
振り返ると、未麻の策略的成長スピードは恐ろしいものがありますし、そういう意味では登場人物の中でもかなり突出した存在といえそうです…。
そうそう、さらに物語を混乱させるためには、ピザ屋に扮してカメラマンを殺したのは未麻だった、という視点も残しておきたい!(未麻だったら目をえぐる共通する犯行内容はちょっと不自然ですけどね)
推理と考察は…
と、さんざんキャラクター設定と凶行の犯人を考えてきましたが、アニメ表現ならではの虚実綯い交ぜな映像表現が続く本作において、何が現実に起こったことなのか決めていく作業は粋じゃない気がするんですよね。
そうやってスッキリとストーリーを明確に理解できればそれでいいし、映像に振り回されて混乱しつつも、作品の主張を感じ取れればそれだけで十分なんじゃないかと。
作家が敷いたストーリーに答えを見出そうとしなくても、特に本作においては、観客が感じたままでよいんだろうと思います。
既視感の正体
劇中に未麻がみる夢(のようなもの)と現実のリフレインをみていて、なんだか同じような世界観をみたことがあるな…と思ってよーく考えてみると、これは丸尾末広の世界に似ているんだ!と。
そういえば、残虐的な殺害シーンやアイドル・未麻が空を飛び跳ねるのを追いかけていくシーンは、少し既視感がありました。
そうか、これは原作『パーフェクトブルー』の映像化ではなく、丸尾末広による漫画のアニメ化なんだ!と思ったら妙に納得してしまった。いや、時代設定も違うしまったく関係ない作品なんですけども、現実と意識が倒錯する世界観に共通点が多いなあと思ってしまって。
丸尾末広の漫画なんだとしたら、ストーリーの整合性を取ろうなんていう発想はないでしょ?
幻想と狂気の世界を、ありのままに楽しめばいいんだからさ…。
※もちろん、私の勝手な解釈なのであしからず…。
まとめ
いかがだったでしょうか?お伝えしたいことは2つ。
観に行けそうな方は、とにかく今すぐチケットを購入する準備を!
そして、あまり難しく考えず、映像のまま現実と虚構の世界を楽しんで!
ということです。
期間中に劇場で観ることが難しい方は、Blu-rayも出ています!
丸尾末広の世界を垣間見たい方はこちら↓エログロ世界のため閲覧注意!
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