こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。
金曜日は闘いのワンダーランド！
毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。
新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します！
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2月3日は何の日？
今回は、1984年2月3日、札幌中島体育センターで行われたこの試合をテーマに考えてみることにしましょう！
プロレスマニアの諸兄は、「え！今日はアレじゃないの？」とお思いの事でしょう。
誰がどう考えたって、1984年2月3日は”雪の札幌テロ事件”でしょうから。
でも、事件直後の試合ってあんまり語られることはないんじゃないかなと思って、こちらの試合を扱うことにします。
雪の札幌テロ事件
噛ませ犬発言によってポジションを確立した長州力は、すでにスター街道を走っていた藤波辰爾（当時は辰巳）との名勝負数え歌によって、やっと対等のポジションを得ていました。
9度目の名勝負数え歌のこの日。この試合に期待してチケットを買った札幌のファンも多かったはず。しかし、長州は試合前の入場時に、藤原喜明に襲撃され大流血。後から入場してきた藤波は状況を把握できないままリングへ入ってきて、とりあえず長州に攻撃を仕掛けますが、事態がまったく掴めない。
アニマル浜口が何かおかしいぞとマイクで観客をアジり、異変を察知した解説席の山本小鉄が、審判部長としてリングへ飛び込んでいく。なんだか通常の雰囲気と違っておかしい。
しかし、登場するレスラー全員が「アントニオ猪木の仕業だろう…」と想像したに違いない。テロリスト藤原はもうそこにはいない。作られたハプニングの中で、この試合をどう成立させるか、または試合を開始すべきなのか…。
藤波は激高しかなり興奮していて、坂口征二にも突っかかる。「これはいったいどういう仕掛けなんですか！」とでも言いたげに、ただただ長州との試合を潰された怒りのやり場がないまま、裸で雪の札幌へ飛び出して出た言葉が「こんな会社辞めてやる！」だったのです。
当事者がいなくなったリング内では、アニマル浜口が「藤原は藤波の回し者じゃないか！？」と（流れを想像しおそらくアドリブで）マイクでアピール。プロレス的なものを成立させようと舞台装置を演じてくれています。以前紹介しました『こんばんわ事件』同様、こんなときのアニマル浜口は本当に頼りになりますね（笑）
そして、立ち尽くすレフェリーのミスター高橋も、この襲撃の事は聞いていなかったんじゃないかな。猪木は前年の舌出し失神事件の前科がありますからね…。
作られた演出の中にあって、登場人物が織りなす迫真のリアリティ。といえば聞こえは良いのですが、試合を期待してチケットを買った観客からすると「金返せ！」でしょうね。
まさに、”一寸先はハプニング”な事件が、雪の札幌テロ事件なのです。
襲撃後のメインイベント
そして、”仕掛け人”であろうアントニオ猪木の登場、パートナーは前田日明（当時は明）。さっきの試合不成立の余韻で観客がざわざわしています。今後のアングルに繋がるのか、ラッシャー木村が不敵にリングサイドで視線を送りますが、さっきの異常事態から抜け出せない空気の中で、お呼び出ない感が甚だしい。
猪木のパートナーの前田は、UWF以前のタイミングではあるものの、アントニオ猪木に引けを取らない素晴らしいルックス。長身で均等の取れた体つき、しかもマスクも良い。どうみても猪木の後継者にふさわしい風貌ですが、まだちょっと幼い表情も残っている感じもしますね。
対戦相手は言わずと知れたハルク・ホーガンと、日本プロレス黎明期に活躍したマイク兄弟（弟）の息子である、アイアン・マイク・シャープ。うーん、こちらの選手はまったく知らなかった。
試合のハイライトは、ホーガンが前田に見舞ったアックスボンバー！前田の長身がぶっ飛んだ！
焦った猪木がすぐにカットに入り、ここから猪木の延髄斬りのバーゲンセールで、猪木がマイクからピンフォール勝ち。なんだか早く終わらせて帰りたかったのかと邪推させる巻き具合い。
試合後に自然発生で何故か起こる大長州コール…。猪木の神通力よりも長州の求心力が勝った瞬間かもしれません。
猪木は状況をみて焦ったのか、何やら聞き取れないマイクアピールで放送席やレフェリーにがなった後、なぜか前田にビンタ一発した後に、むりやり「ダーッ！」で締めちゃいました。
札幌のお客さんはよく暴動を起こさずに堪えました。エライ！
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