稲川淳二の怪談を整理する、怪談!稲川倉庫です。
今回は、『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談 Selection4 隔離病棟の地下通路』を整理!
(CD発売日:2005年6月3日)<MNT-04>
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談』シリーズ
同シリーズ4枚目の作品。表題作「隔離病棟の地下通路」と「タイムカプセル」が聴きどころでしょうか。「西大久保の窓」は1階で一人暮らしをしている方なら、背筋がぞっとするお話しです。
ファンの方の好みにもよりますが、代表作というよりは佳作が集まったアルバムという印象です。
それでは、1話づつお話を確認していきましょう。
本作、『~Selection4 隔離病棟の地下通路』の収録話は以下の通り。
『MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection4 隔離病棟の地下通路』
今年で13年目を数える”怪談ライブ”の全国ツアー。 語られてきた”稲川怪談”の軌跡が収録されたセレクションシリーズ。 第四作目となる今作もまさに”稲川ワールド”…
公式ホームページから引用
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(ベストアルバムBOXにようなもの)
オルゴール (1996)
ミステリーナイトツアーの舞台美術を手がけて来た女性デザイナーの体験談。 真夜中に聴こえてきたオルゴールの音色がすべての始まりだった…。
公式ホームページから引用
この女性デザイナーなんですけどね、しばらくぶりに自分のアパートに帰ってきた。さあ寝ようという時間になって、どこからかオルゴールが聞こえてきたんですよ。下の階の夫婦に赤ちゃんが生まれたんだな~って思ってた。聞くと、それビートルズの「yesterday」なんです。赤ちゃんをあやすおもちゃに「yesterday」は似つかわしくないですしね、彼女には思い当たることがあった。
というのも、うちにそのオルゴールがあるんですよ。で、耳を澄ましてみると、どうやら隣の部屋から聞こえてくる。戸棚の奥、ひとりでにオルゴールが鳴っていた。ねじも巻いていないのに、夜中突然…。不思議ですよね。
あることがよぎったんです。このオルゴールをくれた方、体を悪くして入院しているんですよ。もしかしたら、何かの「知らせ」かと思っていた矢先に…。
一言コメント(ネタバレ注意)
結局、しばらくして家族ぐるみで親しく付き合っていた、そのオルゴールの送り主は亡くなってしまった。葬儀に同席したあと、帰宅して留守番電話を確認してみると、なんと電話からあのオルゴールが聞こえてきたといいます…。しかもその時刻は、亡くなった彼が焼き場に入った時間だったという…。
突然鳴りだしたオルゴール、これは何かを示唆するメッセージだったのかもしれませんねえ。
西大久保の窓 (1995)
新宿の裏舞台ともいえる西大久保のあるアパートでおきた奇怪な話。 窓を塞がなければいけない理由は…。
公式ホームページから引用
座長は工業デザイナーとしても有名なんですが、その業界の後輩の、友人が体験した話なんですよ。
後輩とその友人が学生の頃の話なんですがね、場所は西大久保なんです。西大久保というのは、東京の新宿からほんの少し離れた場所なんですがね、歌舞伎町など夜の街で働く方や外国人の方、それからちょっと怖い(心霊の怖さじゃないですよ)業界の方や、学生が多い町なんですよ。住宅地も多くて路地は入り組んでいるんですが、友人はそんな西大久保に住んでいたんだな。
で、後輩はその友人の家に遊びに行くことになった。木造モルタル2階建てという、昔ながらのアパートですよ。友人の部屋は1階なんです。友人の他に3つの部屋があるんですが、どうやら誰も住んでいないらしい。なんだかひとけも感じない。
友人の部屋に入ると出迎えてくれたんですが、どうも部屋が暗いんですよ。よく見ると、窓の左半分にポスターが貼ってある。ふつうポスターなんてのは、壁だとか天井だとか貼るものですよね?窓にポスターなんか貼ってるから暗いんだよって、後輩は友人にいったんですがね、これには理由があって…。
一言コメント(ネタバレ注意)
実は友人の部屋、夜になると人が覗くんだそうで、それでポスターを貼ったんだそうですが、後になって友人が後輩に「覗いているヤツがわかった」と連絡をくれたんです。
友人が引っ越してくる前、アパート付近で男が刺された事件があったそうなんです。で、この男は助けを求めてアパートの窓側にある、隣の建物との細いスキマに入り込んだ。そして、手前の部屋から1軒ずつ窓を叩いていった。
助けを呼べど、誰もいない。そして4軒目、つまり友人の部屋の前で絶命したっていうんですよ。いまでもこの男が、夜になると助けを求めて、この路地裏に入ってきて、1軒づつ窓を叩いて助けを求めているようですね。
この後輩の友人、ナゾ解きができたかのように、嬉々として連絡してくるあたり、なかなかの強心臓の持ち主。この出来事があっても引越しすらしていません(笑)
Youtubeチャンネル「遺言」
YouTubeの公式チャンネルである稲川淳二メモリアル「遺言」にアップされていましたので、チェックしてみてください。
水路の釣り (2003)
稲川氏のデザインワークのために設けられた「淳二工房」。 なぜかその界隈では不思議な事が多発している。 友人が夜釣りをしていた水路での体験談。
公式ホームページから引用
茨城県にある座長の工房に転がり込んできた友人なんですが、「水路で幽霊見ちゃった…」といって震えている。
聞くと、その友人は水路の岸辺で釣りをしていたっていうんですよ。だんだん日が暮れてきて、あたりが暗ーくなってきた。周りには誰もいない。釣り糸の先をじーっとみていた。うっそうと葦の生い茂る10m以上の幅がある水路の反対側に、小さな男の子がぽつんと立ってこっちを見ていた。
外は暗いし男の子はひとりっきりですから、妙だなと思ってたんですが、その男の子こっちに向けて石を投げようとしたんで「だめだよ!」って声を掛けた。そしたら男の子は、葦の中にざっざっざっと入って行っちゃった。
すると、自分の後ろで葦をかき分ける音が聞こえた。後ろを見ると、さっき向こうの対岸にいた男の子が立っていて…。
一言コメント(ネタバレ注意)
対岸からこちらの岸に来るにはかなり時間がかかる。もしかしてこの子は生きている人間じゃないのか…と思っていると男の子が「ハアッ!!」と威圧してきて、その友人、飛び上がって逃げてきちゃった。どうやら、水路で亡くなった男の子だったようですねえ。
話の内容はシンプルなんですが、幽霊から逃げる時の座長の臨場感ある語りは必聴です。
隔離病棟の地下通路 (2002)
何かに導かれるように入り込んでしまった病棟の地下通路。 三人の看護婦が体験してしまった臨場感溢れる恐怖を御体感下さい…。
公式ホームページから引用
看護師の秋山さん(仮名)が、ずいぶん昔に体験した話なんです。当時は、病院の増築改築が盛んだった時代で、秋山さんの勤める大きな病院も近代化するに、あたって新たに大きな建物ができることになった。秋山さんは看護師寮いたんですが、新築工事の影響で、一時的に病院の広い敷地の隅にあるコンクリートの建物に移ることにあった。看護婦は5人、それぞれ個室だったんですがね。
ところが、この部屋に入ってからおかしなことが起こるようになった。遅い時間寝ようと思ったら、なんだか人の気配がする。人が歩く気配や扉が開くような音が聞こえたり、部屋の下から「カラカラカラ」とストレッチャーの音が聞こえたりね。
そんなある日なんですが、同僚の看護婦が忽然と姿を消した。まったく行方がわからない。部屋の荷物もそのままだ。警察に届けたんですが、理由はわからないけど、家出人の蒸発ということになったんです。
それから1か月ほどして、夜中なんですが、寮の通路に急に彼女が現れたんです。声を掛けたらス~っと消えた。このことはすぐに広まって騒ぎになったんですが、彼女が消えたあたりを調べてみたところ、階段の裏で地下へ続く小さな鉄の扉が見つかった。秋山さんたち3人は、意を決して扉の向こうへ続く通路を進んでいくのですが…。
一言コメント(ネタバレ注意)
天井の低い幅の狭い通路が、地下の暗闇の中にずーっと繋がっていたんです。婦長はこの通路の存在を知っていて、かつてあった伝染病の隔離病棟から亡くなった人を運ぶ通路だったようですね。
このお話し、BGMはないんですが、時折挿入されるSEがなかなか凝っていて面白いです。
そして、最後は悲しい話にまとめられているのですが、なんだか後味が悪いんですよ。というのも、忽然と消えた同僚の看護師がこの地下で亡くなっていたんですが、座長曰く「この通路を通って、誰かに会いに行ってたんですねえ」とのことですが、隔離病棟で亡くなった霊が同僚に乗り移ったのか?
この隠し通路の悲しい成り立ちはわかるのですが、なぜ看護婦がこの通路に導かれたのか、なぜそこで亡くなったのかは一切触れられません!
謎が謎を呼ぶはずが、うまくまとめられた風に終わっていて、妙に不気味です…。
スクラップ車の臭い (2000)
ロケ先のスクラップ工場で聞かせて頂いた不思議なお話。 雨の降る日、焼けただれた事故車からは独特の臭いが漂うそうです…。
公式ホームページから引用
恐怖モノの映像作品を取るため地方へロケに行った座長なんですが、高台から撮影したいシーンがありましてね。地元で世話をしてくれている方から、スクラップ屋にあるフォークリフトを貸してもらっては?と提案されたんですよ。
で、スクラップ工場の社長が快諾してくれたですが、ふっとスクラップになっている車をみてましたらね、そこの主人が「ここは車の墓場ですよ」っていうんですよ。廃車になった車は、エンジンやタイヤ、窓ガラスなんかも取られてね。いわれてみれば確かに墓場なんだな。
そこの廃車の中には、事故車もあれば炎上した車もある。それから警察からくる事故車はね、雨が降ると血の腐ったような生臭いニオイがするそうですよ。車にもいろんなドラマがあるんですねえ、なんて話してたら、そこの会社の従業員が恐ろしい経験をしたんだそうで…。
一言コメント(ネタバレ注意)
身ぐるみを剥がされたような、鉄くず同然のスクラップ車にもかかわらず、雨が降りしきるその日。現場で作業をしていた従業員が聞いたのは、”動くはずがないワイパーの音”だった…。おかしいと思ってみにいってみるとそこには…。
擬音のスペシャリストとしても名高い座長のワイパー音「イーッシュッキ…イーッシュッキ」は必聴!
Youtubeチャンネル「遺言」
YouTubeの公式チャンネルである稲川淳二メモリアル「遺言」にアップされていましたので、チェックしてみてください。(ワイパーの擬音がCD版と若干異なります)
タイムカプセル (2002)
思いでは思いでとしてそっとしておくのがいいのかも知れませんね…。 決してあけてはいけないもの、絶対に触れてはいけないもの…。 気をつけて下さい…。
公式ホームページから引用
東京の大学に入学した加納君(仮名)は、夏が近づくころ、引越ししてから初めての大掃除をしていたんです。すると、何かの間から1枚の写真が落ちた。自分が中学の頃の写真なんですが、カメラの方を向いていないし、撮られた記憶にもない写真で、自分のうしろに小さな社が映っている。妙に気持ちが悪くて、だいいち写真なんかは下宿先ではなくて実家に置いてきてますからねえ。ここに写真なんかあるはずはないんですよ。
妙だなあ思ってたんですが、そんな時、中学時代のクラス会の案内が届いた。みるとどうやら幹事は親友らしい。で、夏休みに地元に帰ってクラス会に参加したんですが、中学時代のクラスメイトが全員集まった。会は大いに盛り上がったんですが、正確にいうと、亡くなった一人除いて”全員”が集まったんです。
後日、親友から「また会わないか?」と電話が入って、加納君たち仲の良い同級生4人が集まった。すると、こないだのクラス会でおかしなことがあった、と1人がいう。聞いてみると、来る人間順番に下足の札を配ったら、クラス会の参加者と先生を入れても下足札が1つ多かったらしい。おかしいなあと思って帰りに靴を確認したら、ちゃんと全部なくなっていた、と。変なことがあるんだぜ、なんて話をしながら思い出話をしていた。
そんな流れで、中学3年の時にハイキングに行った山上にある神社の話題になった。そこでは先生から願いが叶うご利益がある神社なんだと紹介されて、当時みんながそれぞれ願いを書いた紙を箱に入れてたんですね。それを見に行こうじゃないかって話になったんです。
向かってみると、なだらかな山道を上がったところの小高い丘には小さいお社があった。加納君はそれをみて、こないだの写真をハッと思い出したんですね。
ここだ!この社の写真だ。あのハイキングの時の写真だったんだ。でも誰が撮ったんだろうか…。
そう思っていると、先に着いた友人がみんなの願い事が入っている箱を見つけた。まさに「タイムカプセル」ですよね。自分たちの紙を探しながら、ふいに”ウチダシゲコ”の紙を手に取った。ウチダシゲコは、中学の時に、陸上トラックを走っている時に倒れて、そのまま亡くなってしまったクラスメイトなんです。他人の物はみるのはよくないよ。みんな自制し合った。だけど、みんなは、ウチダシゲコが何を願っていたのか気になってしまって、その紙を見てしまうんです。
そこには「加納君が大好きです。加納君が私のことを好きになってくれますように」と書いてあった。
そして、「これをみたり人に喋ったりしたら、必ず殺す」とも小さく書かれていた。
この出来事をきっかけに、運命の歯車が回り始めるのです…。
一言コメント(ネタバレ注意)
「この物語の主人公は、すでに亡くなっています。」
衝撃の一言から始まるこのお話し。ハラっと落ちた隠し撮りの写真は、これから起きる出来事の暗示だったのか。タイムカプセルを見た後、供養のためにとウチダシゲコの家へ向かった加納君たちですが、導かれるように彼女の部屋に入ってしまい、ついには加納君の下宿先へウチダシゲコが訪ねてきてしまうのです。
直接的にウチダシゲコに殺されたわけではありませんが、加納君は実家に向かう道中で交通事故に遭ってしまうのでした。
ウチダシゲコは愛余って取り殺したのか、それともタイムカプセルを見られたから殺したのか。
いや、写真のことやタイムカプセルで彼女の願いを見てしまったこと、また彼女の部屋へ入ってしまったことで、加納君がみた幻覚であり、妄想だったのかもしれませんねえ。
さいごに
いかがだったでしょうか?
ミステリーナイトツアーシリーズのスタジオ収録盤Selectin4!
オススメは表題話「隔離病棟の地下通路」と「タイムカプセル」ですね。どちらも長編で聞きごたえ十分。それから、「西大久保の窓」は想像するだけでも嫌な話です。「スクラップ車の臭い」は稲川淳二Youtubeチャンネル「遺言」での語りを貼っていますので、ぜひ聞いてみてください。
ミステリーナイトツアーシリーズの紹介はまだまだ続きます。また、お付き合いくださいね。
それじゃあまた。次の怪異でお会いしましょう。
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