新日本プロレスワールド【アントニオ猪木名勝負セレクション】1995年4月29日平和の祭典at平壌:対リック・フレアー

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こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。

金曜日は闘いのワンダーランド!

毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。

新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!

新日本プロレスワールドとは?

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アントニオ猪木名勝負セレクション

新日本プロレスワールドのリニューアルで過去の動画の多くが視聴できなくなってしまってから数か月…

かなり多くの過去動画が復活してきてはいるのですが、せっかくなのでアントニオ猪木名勝負セレクションを続けていくことにしましょう!

(2025年2月28日現在、アントニオ猪木に関する試合動画は【163試合】存在します)※うち、アントニオ猪木と冠した試合も含みます。

何かシステム変更の影響か、検索したワードの対象数がカウントできなくなりました…。すでに存在した動画が減っている様子はないですが、最新の本数情報をお伝え出来ないことご容赦ください!

私は現在進行形の新日本プロレスファンではあるのですが、ここにきてUWFや力道山に関する動画・書物を読み漁っております。そうすると、やはりアントニオ猪木というプロレス界における特異な存在を見逃せなくなってくるし、猪木が残した試合を介した多くの謎解きに挑戦したくなるものですよね。

1本でも多く過去の猪木動画がアップされることを祈って、これからも猪木ウォッチングを続けていきましょう。

というわけで、本日の試合はこちら。

国境がない国でもまさかのプロレス試合!

今改めて考えるととんでもない夢とロマンが詰まった凄い興行だったと実感します…!

https://watch.njpwworld.com/details/41857

北朝鮮興行

2025年現在においても、日本と北朝鮮には国境がない。そればかりか拉致問題にはまったく進展はなく、演習目的とは言え日本海には不定期にミサイルが飛んでくる。北朝鮮は韓国と未だ停戦中であり戦時下の意識が高く、西側諸国とは目立った交流はないのだ。

1995年、今から30年前もおおよそ同じような状況であったに違いない。それなのに、イチ民間企業である新日本プロレスがアメリカWCWまで帯同してなぜ北朝鮮で興行を打たねばならなかったのか?

それはアントニオ猪木のロマンにほかならない。それしかないのだ。

ビジネス的戦略や収益を度外視した猪木の行動は、いつだってロマンという一言に集約される。

ただ、そのロマンは師・力道山が果たせなかった故郷への凱旋であり、師への恩返しでもあって、ソ連とのレスリングサミットからイラクでの邦人解放に続く、猪木の平和外交であった。

今なお語られる「北朝鮮興行」は猪木ならではの常識破りで破天荒なアイディアだったが、19万人もの観客が押し寄せたものの有料観客が少なかったためか、新日本プロレスは大赤字を被ることになってしまった。

「北朝鮮興行」の興奮によって、借金返済に迫られた新日本プロレスはUインターとの開戦に突き進み、健介×北斗夫妻のビッグカップル誕生という副産物を生みだしたのだった…。

異様な興行

現在、新日本プロレスワールドでは、同日に組まれたブル中野対北斗晶も視聴することができます。提携先のWCWばかりか、全女からも特別参戦がありましたので、当時の新日本プロレスにしてはかなり柔軟なマッチメイクですよね。

ブル対北斗の動画内では出場選手の簡素な入場セレモニーのようなものがあり、遠巻きの固定カメラではありますが当日の選手紹介を見ることができます。

メインの猪木対フレアーは夜の試合だったためか真っ暗なので、会場であるメーデースタジアムの全容を見ることができませんが、ブル対北斗では会場ビッシリに詰まった観客の様子が良くわかり、まさに圧巻の一言

北朝鮮大会については永田裕志公式YouTubeチャンネル『ゼアチャンネル』で詳しく語られていますので、併せてご覧いただければその衝撃が伝わってくると思います!

古典に学ぶ対外国人

猪木の対戦相手、リック・フレアーとは正真正銘の初対決!

元NWA世界王者のフレアー、後年はWWEでも活躍しミスターアメリカンプロレスと呼ぶに相応しい超一流のレスラー。武藤敬司に言わせれば「アントニオ猪木もアメリカンプロレス」なわけで、この試合は現代最先端の21世紀プロレスにクサビを打ち込む名試合と言えるのではないでしょうか。

大技もなければ危険技もない、スピーディーなロープワークもないし、派手な飛び技もない。

そんなシンプルな試合の中であっても、プロレスを見たことがない観客を手玉に乗せてリング上に集中させる両選手のサイコロジーはお見事そのもの

キラー猪木や闘魂的な猪木ではないかもしれないけど、アジア人が金髪の白人に立ち向かっていく様は、古き良き日本プロレス黎明期を思い起こさせる内容だったんじゃないでしょうか。

前田日明はよく「ガス灯時代のプロレス」と言いますけど、力道山が興した日本プロレスは、敗戦し焼野原になった日本が屈強な欧米列強を模した外国人を精神力でなぎ倒していく「戦後復興のプロレス」でしたよね。

北朝鮮の人たちには、猪木に国の英雄である力道山(当然噂レベルにしか知らないだろうけど)を重ねて見ていて、仮想敵国と化したアメリカに立ち向かていく姿はまさに「戦後復興のプロレス」と同じ構図だったんじゃないでしょうかね。

力道山の弟子の凱旋、対欧米というシチュエーション、観客を虜にするプロレスの名人たち。

北朝鮮の観客はこの3つが詰まった最高峰のプロレスを堪能したと言えるでしょう。

試合経過

日本の会場と同じように「世界一強いアントニオ猪木 頑張れ」のノボリが立つ会場で、大観衆に見守られて田中リングアナのコールを受ける猪木とフレアー。

猪木は白地に紫のラインが付いている闘魂ガウンと赤いタオルを身にまとい、対するフレアーは紫色のド派手なスパンコールに同色のタイツという出で立ち。猪木はストロングスタイルの象徴でもある黒いタイツで昭和新日本対エンタメプロレスといった様相。

ゴングが鳴っても動かないフレアーに対して、グルグルと回って距離を取りながら観客を煽っていく猪木。次第に手の取り合いからロックアップに展開し、ファーストコンタクトはフレアーの腰投げから猪木のヘッドシザーズ。19万人の歓声が光の速さに少し遅れて、波のようにリングの中央へ押し寄せる

クラシカルな展開をみせるフレアーは、グラウンドで腕と首を極めて猪木の動きを封じれば、猪木は体をバタつかせてフレアーに細かく蹴りを入れて脱出。フレアーのファイティングポーズと「こい!コノヤロー」と聞こえてきそうな猪木のアピールによって扇動された観客はすでにマックスボルテージ!

猪木による無言のアジテーションを嫌ったフレアーはエプロンに出て自分のペースをキープ。さらにフレアーはバックの取り合いから猪木をロープに追い詰めて、試合のペースを奪わせないつもりか。

しかし一転、ロープに降ったところをショルダータックルで競り勝った猪木、いつもより過剰なストンピングとアクションでフレアーを一蹴。「プロレス」を理解できない北朝鮮の観客を意識した、猪木流アメプロムーブと普段通りの憎たらしいフレアーの巧みなインサイドワークは、ますます観客のヒートを買っていく。

エプロン際から猪木をブレーンバスターで投げつけては、ニークラッシャーで猪木の動きを止めたフレアー、ロープを利したレッグブリーカーから…伝家の宝刀、四の字固めがガッチリ決まる!

まさに力道山VSデストロイヤーを北朝鮮で再現しているかのようなトラディショナルレスリングスタイル

苦悶の表情でロープに近づきたい猪木に、フレアーは腰を上げて攻める手を緩めない!

大観衆の歓声でなんとかロープに到達すると、隙を見た猪木は逆さ…押さえ込み!

ここでもプロレスを知らない観客を意識してか、じわーっとフレアーの体をマットに押さえ込む猪木。決して観客に媚を売るわけではなく、これ以上に観客を意識した試合があっただろうか?

まさにプロフェッショナルな猪木とフレアーは、続くナックル合戦で観客を興奮のるつぼへと落とし込んでいく

弓引きナックルパートを連発する猪木に闘魂が宿る!それはまるで力道山が乗り移ったようでもある!

ナックルの連打にはたまらずフレアーお得意の「No」ポーズで対抗。命乞いしながらの騙し討ちトーキック、そしてロープに上がりダイビング技を狙うも、デッドリードライブの逆襲に遭ってしまい、フレアーは雪崩で急降下!

両者による一進一退の攻防は、やがて鉄拳制裁とアメリカンコンビネーションが交錯。

フレアーは急降下バックドロップでフィニッシュを狙いますが、猪木は竜巻蹴りからダイビングニードロップを投下!

勝機とみた猪木は、延髄切り一発でフレアーをリングに沈めました

猪木の凄さを見よ!

古今東西、プロレスラーの中には猪木フォロワー的な選手がいますよね。

今だったら××スタイルとかISMとか、アントニオ猪木を崇拝するギミックなのかどうかわかりませんけども、今回紹介した試合のような「猪木の凄まじさ」が微塵も出せていないと思うんですよ。

結局フォロワーの選手たちって、一元的な「闘い」しか再現できていないような気がしてるんです。リング上は闘いであって相手を潰して自分が勝つ、確かにそれも猪木プロレスではあるんですけどね。全然観客と勝負してねえじゃねーか、と言いたくなってしまう。

俺ツエー系またはいじめ系とも言えるかもしれませんが、相手を叩き潰す強さ=闘魂なんでしょうか。

観客の心を鷲掴みにし、扇動し興奮させ、そして相手の良いところを引き出して、それを上回って勝つという猪木の凄さが、そうしたフォロワーの選手には感じないんですよねえ。

過去の名言「ストロングスタイルの呪い」に陥っているだけであり、結局それに陶酔するファンも永田裕志が言うところの「猪木教信者」で昭和プロレスの残像を今もなお追っているだけなんじゃあないか。

クラッシャーとキラーは全然違うし、××スタイルやISMの人たちって、猪木的というよりも前田的だと感じるのは私だけでしょうか。どちらかというとストロングスタイルというよりも、精神的にはUWFに近いんじゃないでしょうか。

「リング上は闘いである」それは同意。「仕掛けられたときには対処しなければならない」「プロレスラーは強くなければならない」それももちろん同意。

だけれども、今のファンは広義な意味でプロレスを理解してそのうえで好んで見ているわけで、単純に「どちらが強いか」を見たい人は、既にRIZINやブレイキングダウンを見ているでしょう。

今回の試合だけを見れば「猪木は最強」という印象よりも「猪木は最高、猪木は素晴らしい」というニュアンスに近いし、それこそが本来のアントニオ猪木の凄さなんじゃないか?と思うのです。

大技も危険技もカタい攻めもないクラシカルな攻防にもかかわらず、これだけの観衆の心を揺さぶるプロレス的人心掌握術

そうしたプロレスの力を改めて考えるには最適の試合ではないでしょうか?

猪木はなぜ北朝鮮だったのか?

猪木が北朝鮮で興行を打ったのはなぜだろうか。

師である力道山の故郷だったから。もちろんそれが最大の理由でしょう。師匠が叶えられなかった凱旋を代わりに果たしたかった。(自伝では力道山のことを複雑な心境で表現していますが)

ただ、視座を大きく持つと面白いことが見えてくる

晩年の猪木はソ連との交流、カストロ首相への接近、イラク人質解放、そして北朝鮮。いずれも西側諸国ではなく共産圏の国々だ。

そして、新日本プロレスの大資本家でもあったテレビ朝日の上役、三浦甲子二はソ連KGBのスパイであったとも言われています。

答えや理由があるわけではないけれども、うっすらと浮かび上がってくる昭和の残光にゾクっとさせられますよね…

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今ではプロレスの試合はネット配信されていたり動画投稿サイトでみることができますが、それでもやっぱり過去のVHSやDVDにしか収録されていない試合があったりもします。

さらに、過去数十年にわたって膨大に存在するプロレス関連本の中には、選手の自伝やインタビューが掲載されているものがありますし、プロレス研究には欠かせませんよね。

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