新日本プロレスワールド【NJPW今日は何の日】2008年3月30日:飯塚ヒールターンへの序章…偽りの友情タッグ、天山&飯塚が真壁&矢野へ挑む!

こんにちは。野良プロレスコラムニストのアツコアツオです。

金曜日は闘いのワンダーランド!

毎週金曜日にお届けする『NJPW今日は何の日』のコーナーです。

新日本プロレスワールドのアーカイブにある過去の試合から、アツコアツオが独断と偏見で選んだ1試合を紹介します!

※今回は3月31日のアーカイブ試合がなかったため、3月30日の試合を紹介します。

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3月30日は何の日?

今回は、15年前の今日(正確にいうと-1日)、2008年3月30日に後楽園ホールで行われたこの試合をテーマに考えてみることにしましょう!

新日本プロレスファンなら誰でも知っているであろう、怨念坊主こと飯塚高史…。

元々は寡黙な中堅レスラーだった飯塚が、キャリア20年目にしてなぜ極悪ヒールへ転身したのか知る由もありませんが、この試合の直後に飯塚は天山を裏切り、そして頭をスキンヘッドにして例の風貌に変身を遂げることになります。

この試合はごくごく短かった”偽りの”友情タッグをみることができる貴重な動画といえるでしょう。

レスラー再生アングル

新日本プロレスの数ある抗争の中でも、シンプルで/効率的で/高回転な/優れたアングルといえる天山と飯塚の抗争の歴史。なにせ、結局飯塚の引退試合まで引っ張ってましたからね(笑)

ピークを過ぎた感があった天山と、メインストリームにまったく絡んでこなかった飯塚。その両者を調理法と盛り付け方を変えることで、興行的にうまく活用した好例といえるのではないでしょうか。

だって、それまでだったら「天山VS飯塚」では、失礼ながらメインイベントは務まらないカードですよ。

飯塚のヒールターンと天山との抗争は、ユークス体制が生んだ最高の副産物といえるかもしれませんね。

それでは、友情タッグ結成の歴史を振り返りながら、今回の試合を紹介しましょう。

友情タッグの歴史

振り返ること2008年2月17日の両国大会。

天山は凱旋帰国した後藤の牛殺しをくらって長期欠場に追い込まれていましたが、約5か月ぶりの復帰戦を迎えました。自身がリーダーを務めるヒールユニットG・B・Hのメンバーであった、石井智宏をタッグパートナーに引っ提げて復帰戦に臨みましたが、石井に誤爆してしまったことをきっかけに、試合後G・B・Hのメンバーから制裁を受けてしまいます。リーダーであるにもかかわらず追放の憂き目にあってしまいました

続く3.9名古屋のNEW JAPAN CUPでは、誤爆の因縁がある石井と対戦し勝利を収めるも、やはり試合後にG・B・Hメンバーの急襲に遭ってしまいます。そこに救出にやって来たのが飯塚高史でした。

長く新日本本体に所属しながら、幾度かブレイクのきっかけがあったにもかかわらず、どうもパッとしないレスラーというのが、多くのプロレスファンの評価だったのではないでしょうか。

以後、天山がリンチに遭うたびに飯塚は救出にやってきますが、天山はヒール属性という状況もあってか、当初は飯塚に対して非常に辛辣でした。そこから、次第に飯塚の行動に理解を示すようになっていきます。いくつか天山語録をまとめておきます。

「あんな奴、シカト」「アピールするかと思ったら、黙って帰る?根暗のすることやな」

「俺と組みたいのか?」

「ほっとけへん存在やね」

「一回組んでやってもいいかな、一回ぐらいやったらな」

(バックステージで握手し)「コレ待ってたんちゃうの?」

という絵にかいたようなツン→デレを経て、天山の誕生日である3.23尼崎にて、ついにタッグ結成の運びとなりました。試合前にはケーキを用意して、たった二人で天山の誕生日を祝ったりもしました。

「俺一人じゃ…HELPして」

「最後まであきらめない男、最高!」

と、天山は完全に飯塚との友情に目覚めたようです。

孤立した天山を救出し続けた飯塚。その思いが天山にも通じ、今回の試合実現に繋がっていきます。

ノンタイトルではあるものの、当時のIWGPチャンピオンである真壁&矢野に挑んでいきました!

試合内容

天山がローンバトルを強いられる、非常にフラストレーションが溜まる試合展開が続きます。

やはり、IWGPタッグ王者と急造タッグではタッチワークは敵わないのか。天山は場外戦で流血状態になり、さらに矢野は木づちで傷口を狙ったり、さらには首絞めで天山を追い込んでいきます。この当時の矢野は”まだら狼”風でかなりおっかない風貌。そして真壁もヒールレスラーの佇まいがとても憎たらしいですね。

試合開始8分を経過しても飯塚は全く稼働せず(笑)

やっとカウンターのマウンテンボムが決まり、ついに飯塚にタッチ。真壁へブリザード、矢野へは裏投げと得意技を見舞っていき、さらには飛びつき式の膝十字を極めていく!さすがサンボの申し子!

そして村上一成との抗争で開花した魔性のスリーパーで矢野を締めあげていきます。惜しくも真壁がカットに入りますが、ここで天山にスイッチするも、流血のダメージかあるためか、いつしか真壁&矢野のペースになり、波状攻撃で捕まってしまう。

G・B・Hの本間がレフェリーのタイガー服部を引き付けている間に、真壁がパイプ椅子を持ち出して、ダウンしている天山の背中を狙いますが…なんと飯塚が割って入ってきて身を挺して天山を守りますこれが友情タッグの真髄だ

その後、飯塚は矢野をスリーパーに捕らえ、チャンピオンチームを分断することに成功!

天山はパイプ椅子を持つ真壁にニールキックを見舞っていき、さらには必殺のTTDで真壁からピンフォール勝ちを奪いました!

試合後に抱き合って喜びを分かち合う天山&飯塚。

天山は高らかにIWGPタッグ挑戦をぶち上げて、運命の4.27大阪大会を迎えるのでした…。

飯塚のヒールターン

この試合の後に組まれた4.27の再戦はIWGPタッグ選手権となりましたが、誰しもが予想しなかった結末に…

まさか本隊一筋だった飯塚が、レスラーとしての野心や欲が無さそうな飯塚が、万年中堅ポジションの飯塚が、ヒールターンばかりか狂人になってしまうなんて…。

飯塚の裏切り、泥沼の抗争、そして小島の登場まで、この時期の天山&飯塚関連は本当に大河ドラマ的で語るべきトピックスがたくさんありますね。よくよく考えると展開がWWE的なんですよね。かといってエンタメによりすぎず、あくまで”闘い”が主であるという基本スタンスは守られていて。

この後の永田との抗争も印象的ですし、飯塚は与えられた役割は確実にこなす、プロレスラーの鑑だなと思います。

引退試合まで怨念坊主を貫き通し、そして引退した今もなおビルドアップした体とあの風貌を維持しつづける飯塚は、リアル・プロレスラーだよ

今回の試合では”裏切り”についてはあえて触れませんので、今後も飯塚関連の試合は積極的に扱っていこうと思います!

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