【16冊目】第一次UWFの基本と深層を押さえた良質本『U.W.F伝説』別冊宝島

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『U.W.F伝説』別冊宝島

日本の特異な「プロレス」

日本のプロレス(というか猪木プロレスの)特異性は、海外のプロレス文化の文脈とは違い、とにかく強さのリアリティにこだわり続けたことが特徴だろう。

端的に言えば、見る者に真剣勝負を連想させる、プロレスのショー的要素よりも勝負論に重きを置いた「やらなければやられる」ようなヒリヒリした闘いだ。

そしてその源流を忠実に守った数名が、クーデター未遂で新日本プロレスを追われた新間氏のもとに集ったのがUWF(ユニバーサルや第一次UWFとも呼ばれる)だ。

プロレス界に「万里の長城」を築こうとした新間氏の策略とも取れるが、元はと言えば猪木の個人的なビジネスに端を発した会社不振によってタイガーマスクが引退してしまい主要レスラーたちのクーデターに繋がったわけで、UWFの誕生は偶然の賜物と言えなくもない

「プロレス」の見方が現在よりも限られた時代、既存のプロレスをよりリアルファイトに近づける実験場がUWFだったのだろう。

2026年現在、今なおUWF関連の書籍、イベント、トークショーなど活発に開催されている。昭和プロレスの忘れ形見、プロレスと格闘技のボーダーをさまよったUWFの基本から深層までを理解するために、本書はかなり役に立つだろう。

初心者にもやさしい構成

UWF関連本は枚挙にいとまがないが、本書は特に第一次UWFにフォーカスした大変価値ある一冊。

UWFに触れたことがないファンにとって、プロレス団体なのだからどんな試合があったのかはまず押させておきたいところで、その点は「UWFベストバウト」でしっかりフォローされているし、試合レポートと詳細な写真で特徴的な展開を紹介している(新生UWFの章にもベストバウトがある)。

ターザン山本が前田と佐山評を論じたかと思えば、次ページには2006年週刊文春での前田・佐山「奇跡の対談」の背景をレポート。当時現在進行形であった深い遺恨と舞台裏が語られている。このヒリついた退団から両氏の和解まであと20年待たなければならなかったわけだが、緊張感ある空気が伝わってくるだろう。

マニアも納得のラインナップ

第一次UWFと言えば…でマニアが連想する要素はほぼすべてカバーされているのではと思う。

新間氏・浦田氏のインタビューは今となってはかなり貴重だし、ショウジ・コンチャに田中正悟、海外UWFよろしく豊田商事の一件にも詳しい。(宝島らしく永野社長の惨殺写真は大きく掲載!)

UWFを後方支援した週刊プロレス初代編集長の杉山氏のインタビュー、プロレスリングマスター武藤から見たUWF、そして外せないのが『ケーフェイ』とはなんだったのか?ターザン山本の独白もある。

今回紹介しているのはムック本だが、後年に文庫版も発売しているのでぜひ手に取ってほしい。新日系やU系、総合格闘技のファンにもオススメだし、それ以前にプロレスファンの教養として「UWF」の概要を掴むには最適の一冊には間違いない。

内容★★★★☆
赤裸々★★★☆☆
ケーフェイ★★☆☆☆
レア度★★☆☆☆
必読度★
★★★☆

一言コメント:UWFを支えた「脇役たち」にもしっかりフォーカス。マッハさん!アディオス!


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