こんにちは!アツコアツオです。
今回は、庵野秀明監督作品の『シン・仮面ライダー』を劇場で観てきましたので、紹介したいと思います!
ゴジラ、エヴァ、ウルトラマン…と続く『シン』シリーズの最新作。いつもの通り、前情報一切入れず観賞してきました。
シン・仮面ライダー
結論から申し上げますと、アクションエンターテインメントとしては最高に格好いいし面白い、それでいて、庵野秀明監督作品としてはやや物足りない、そんな感想です。
ネタバレ全開というわけではありませんが、作品の内容に触れることになりますので、事前に内容を知りたくない!という方は、観賞後にまた見に来てくれると嬉しいです。
※とはいえ、Wikipediaにはすでに有志が詳細なストーリーをアップしていますね…。
オススメポイントまとめ
私は、ファンやマニアの類ではないものの、人よりも仮面ライダーの事は知っている!というレベル。仮面ライダーBLACKの世代で、昭和ライダーのこともある程度は知っていますし、初代ライダーも過去には全話みたことがありました。
というわけで、初代ライダーと比較して、印象に残った箇所を中心に紹介していきましょう!
・コミュ障認定の本郷猛、対する一文字隼人
・他人は信用しないツンデレな緑川ルリ子
・キャラが立ってる怪人達
・SHOCKERの目的とは
・丁寧すぎる庵野作品
仮面ライダーの2人
仮面ライダー:本郷猛
主人公・本郷猛は、コミュ障すぎて無職(by緑川ルリ子)だそうで、初代ライダーの藤岡弘、(今は句読点がつきます)のような暑苦しさはまったくありません(笑)
運悪く緑川博士によってバッタオーグに改造されてしまうも、それに心底怒る様子もなく、感情を表に出すことがありません。過去に警官だった父親が通り魔を取り押さえる際に殺された経験から、「他人を守りたい」という想いが強く、緑川博士を守れなかったことをきっかけに、娘のルリ子をそばで守っていくことを誓い、SHOCKER打倒を決心します。
本郷猛は池松壮亮が演じていますが、コミュ障演技なのか、特に強い決意を言葉にするときは小刻みに震えながら熱い言葉を口にします。本郷はバッタオーグにされてしまったことをきっかけに、自分が変わる・変えるきっかけをつかみ、自分のエゴで世界を変えようとするSHOCKERの面々との強烈な対比になっているように感じましたね。
ちなみに、正式名称はバッタオーグですが、ルリ子から赤いマフラーをまかれるとき、本郷自らが「仮面ライダー」と命名しました。
一文字隼人
物語の終盤、突如現れる江本佑演じる第二バッタオーグ、一文字隼人。SHOCKERの改造人間(物語上こういう言い方はされていなかったが、こういうのが手っ取り早い笑)でしたが、本郷との戦いを通じてルリ子に洗脳を解かれ、群れるのを嫌いつつも打倒・SHOCKERに力を貸すことになります。
一文字も本郷と同様にひどい”トラウマ”があったようで、オーグたちはそれぞれ個人が持つ深い”業”から解き放たれるよう洗脳されており、それがSHOCKERの目的であるように示唆されています。
それぞれのビジュアル
初代が「技の1号・力の2号」と呼ばれたように、それぞれ当時のビジュアルイメージを踏襲しているデザインですね。
仮面ライダー第二号の方が(ストーリーが明らかになってくる終盤に登場するからサービス要素があったかもしれませんが)初代ライダー然としていて、風を受けずに変身できることやポージング、それに伴う効果音なんかは当時のまま再現されています。
また、戦闘のBGMも初代ライダーの音源をアレンジしたものが多く使われていて、オッサンのニヤニヤがとまらない仕様になっています!
悲劇のヒロイン・ルリ子
浜辺美波演じるルリ子は父親である緑川博士とともにSHOCKERを脱退。以降、「用意周到」「他人を信用しない」といいほとんど表情を変えません。しかし、元同僚(友達ではないらしい)ハチオーグ(西野七瀬)との別れ以降、次第に本郷に心を開いていくツンデレちゃんです。
終盤、ビデオメッセージではそこはかとない笑顔をみせてくれますが、冷徹なルリ子の印象が強く、そっちの方がかわいいなって思っちゃいました。
SHOCKERによる施しによってスキャニングのような能力を持ってはいますが、戦闘用ではありません。にもかかわらず、生身で敵陣に乗り込んでいくのは元SHOCKERとはいえちょっと違和感がありました。
守ってあげないといけない存在、として敢えて弱く描かれていたのかもしれません。
怪人たちは大きな見どころ
仮面ライダーの怪人達を庵野秀明はどうリブートするか?というのは重大な注目ポイントでしょう。
そして、見事に令和最新版(amazonの中華製品みたいに言うな笑)へアップデートしてくれました。
登場する怪人達もといオーグたちを振り返りましょう。
クモオーグ
序盤に登場する蜘蛛と人間の混合生命体。革ジャンについているジッパーからニョキっと手足が出してきます。このビジュアル、めちゃめちゃかっこいいです。「裏切者には死を」「これが私の仕事です」と、SHOCKERの職務に忠実なやつ。
初代ライダーの1話にも登場する、仮面ライダーの怪人といえば蜘蛛男ですよね。蜘蛛の糸を駆使して戦うも、ライダーキックに敗れました。
コウモリオーグ
SHOCKERの研究員でもあり、みずからが蝙蝠との混合生命体。いっしゅんブタ怪人にみえるビジュアルです。
このコウモリオーグは疫病で人類を破滅させること(これが最良の選択であると信じている)を目論んでおり、その野望に対して本郷は「疫病から乗り越える人類」というテーマで熱いセリフを語るシーンがあります。
時勢がらCOVID-19を意識したテーマでしょうし、監督の作家性という観点から考えると、シンエヴァに引き続き「困難に立ち向かい希望を掴もうとする人類」が今の庵野監督のテーマなのかもしれませんね。
そうそう、このコウモリオーグとの戦いだけは、「大日本人」を連想してしまいました…。なんかコウモリオーグの雰囲気が大日本人に出てくる獣っぽいんですよね…。
サソリオーグ
サソリオーグは若い女が演じていて、ボンテージ風衣装に身を包んだハイテンションSM嬢という感じ。エンドクレジットをみるまで長澤まさみが演じていたとは気づかなかった!
このサソリオーグは政府の対SHOCKER部隊の強襲によって撃退されるのですが、仮面ライダーではなく人類もオーグに勝つことができることが示されます。
また、サソリオーグがもつ猛毒が、この後有効活用されることになります。
ハチオーグ
このハチオーグのエピソードは物語の起承転結における”転”の役割になっていますね。中ボスといっても良い存在のハチオーグ。西野七瀬が演じています。
ハチオーグのマスクは電飾仕様で、最近の電気自動車みたいで超COOL。
元SHOCKERのルリ子と現構成員のヒロミ=ハチオーグの関係性や、最後には本郷がヒロミを仕留めきれなかったことなどから、この後本郷とルリ子は急接近します。
ハチオーグのデザインやアジトは、外国人が勘違いする日本のYAKUZAっぽくて、かっこいいんですけど、なんだか妙なコレジャナイ感があります(笑)
タランティーノ作品に出てきそうなYAKUZAって感じ。これはきっと意図して狙ったんじゃないかな?
ここから物語が加速していきます!
KKオーグ
カメレオンとカマキリの二種混合型のオーグ。保護色と鋭利な刃を持つサイコパスなキャラクター。強いんですけど、あんまり印象に残らなかった。仮面ライダー第二号の噛ませ犬になったからかな?
チョウオーグ
本作のラスボスでルリ子の兄である一郎。
肉体を仮死させたままハビダット世界という異次元(?)に魂を送り込むのが目的のよう。一郎は母親が通り魔に殺されたことからこの世を儚み憎んでおり、それがSHOCKERで活動する原動力になっています。
エネルギーを補給する玉座に座っており、戦闘時は”仮面ライダー第0号”と名乗り、銀色のその肉体はシャドームーンのようでもあります。
この辺から、ちょっとご都合主義的な展開になっていきます。そこら辺にある亜種仮面ライダー作品と同じような流れだなあと感じてしまいました。
ショッカーライダーも登場
黄色いマフラーではありませんでしたが、ショッカーライダーを彷彿とさせるオーグも登場!
黒いバッタオーグ集団で意思なくライダーを追っているような様子だったので、旧エヴァでいうと伍号機、ジョジョでいうとハイウェイスター(なぜジョジョで言う!)ってな感じ。
おっさんの私にとっては、「ショッカーライダーも出てくるのかー!」と単純にうれしくなってしまいました(笑)
戦闘員たち
オーグたちもさることながら、仮面ライダー世界で外せないのは戦闘員の面々。本作でもさまざまなタイプの戦闘員が登場します。
古典的なベレー帽戦闘員、妙に色っぽいアマゾネス風女戦闘員などなど、初代へのオマージュを多分に含みながら戦闘員をリファインしてくれています。
「イーッ」でお馴染みの全身タイツの彼は登場せず。どちらかというと、初代仮面ライダーでもとりわけ初期のころの、おどろおどろしいテイストをベースにしているという印象を受けました。
K
SHOCKERの人工知能K、ダブルのスーツで渋く決めていますが、これはロボット刑事Kモチーフでしょう!SHOCKER側の登場人物ではありますが、物語を見守るしるべのような存在。
「帰ってきたウルトラマン」でいう、唐突に登場する僧侶のようでもありますね。
人工知能だからか、超流暢な日本語に混じって、ネイティブ発音の「task」などがはメチャ鼻につきますが、これマネしたいね(笑)
その他
仮面ライダーというご都合主義的な要素も、ストーリー上の説明をしっかり理由を付けてくれていました。
初代ライダーでお馴染みだった「人間が溶ける!」設定。これはSHOCKERに関わったものは消滅させるという意図からという理由が語られていますし、なぜ人間と昆虫の組み合わせなのかについても理由が明かされています。
そういう意味では、よくわからない庵野流単語はバンバン登場するものの、ストーリーはかなりシンプルであり、大方の状況はちゃんとセリフとして説明されていました。
わかり易いといえばそうなのですが、過保護な感じもして、もっと突き放してくれよとマゾめいた感想をもった旧エヴァファンも多いのではないでしょうか?
SHOCKERの目的とは?
これは劇中ではっきりと語られています。(言葉の意味や解釈は難しいですが)
SHOCKERとはSustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling(持続可能な幸福を目指す愛の秘密結社)の略だそうです。
要は、彼らがいう幸福のために人類を変革へ導く、人類側からみると悪の集団ということになります。
さっきも触れましたが、過去のトラウマや業から解き放たれることが幸福であるという考え方でもあるので、SHOCKERの存在自体がある種の麻薬のメタファーなのかなと思いましたね。
また、ラスボスであるチョウオーグの目指すハビダット世界…これは人類補完計画のことですよね!
人類が無に還りボーダーレスな存在になることを目指している様から、シン・エヴァの世界線上にみたてて、チョウオーグは碇ゲンドウ、本郷武は碇シンジという見方もできそうです。
そうすると、徐々に感情を取り戻りていくルリ子は綾波レイであり、主人公に願いを託して消えていく様はルリ子=綾波にオーバーラップしてしまいますね。
初代仮面ライダーのように「世界征服を企む悪の秘密結社」だけではなく、しっかり目的を提示してくれたのは好感が持てますね。
丁寧すぎる庵野作品
以上の要素をまとめますと、最低限の仮面ライダー知識があれば、あまり見る人を選ばない庵野作品だったなあという印象を受けました。
いずれにしても、とにかくまったくといっていいほど”謎”が残らないんですよ。
伏線があってもちゃんと登場人物のセリフで解説されてるし、それが何なのかもきっちり説明してくれる(理解が追い付くかはまた別問題ですが)。特撮アクションとしてはかなり楽しめますが、終盤になるとほとんど物語の着地点が読めてしまいます。
綺麗に物語がクローズする反面、意外性や裏切りがなくちょっとした物足りなさが残ってしまう作品でした。(劇中の世界では、まだSHOCKERは壊滅せず新たにコブラオーグが出現してエンディングを迎えます。)
ただ、全編にわたって仮面ライダー好きならニヤリとする演出がたくさんでてきます。伏せておきますが、途中から登場する政府の男2人組(竹野内豊と斎藤工、シン・ウルトラマンを視聴した方ならこのキャスティングもニヤッとするはず)の名前が最終盤に明かされます。この辺もくすぐりポイントでしょうね。
以上、アクション特撮として映画館で観る価値は必ずある作品とオススメします!とりわけ、少しでも仮面ライダーや庵野秀明監督に興味がある方ならなおよし!
おまけ
入場特典の仮面ライダーカード。サインが入ったレアカードは出ず。
グッズコーナー
なんか映画館のグッズ売り場って、いつもさみしい印象を受けるのはわたしだけでしょうか?在庫なしや品切れが頻発していて、盛り上がっているようにみえない場合が多いんですよね。
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