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覚悟「天空の逸女」 紫雷イオ 著




逆境から立ち上がる。どん底から這い上がる。自分の人生をさらけ出す。
それらは勝敗を度外視したプロレスの大きな魅力の一つだろう。
プロレスは演劇ではないし組体操でもない。人生と命を賭けた戦いでありドラマである。
ただ、すべての選手がリング上にそうした姿を投影することができるかと言われれば、それは難しい。選手そのものの実力・素質・センスに加えて、タイミングやきっかけ、また偶然も必要だろう。
そもそも、ファンや選手が考える「プロレス」が多様すぎるこの時代。サラリーマンレスラーもいるだろうし、「プロレスは作り物」という思想のレスラーもいるだろう。
それだけ、キャンパスに自分の人生を描くことが難しいのだ。
そういう意味では、この紫雷イオ(現・IYO SKY)は、自らのすべてをさらけ出して戦うしかなかった選手なのかもしれない。
どん底から這い上がるイオのプロレス人生
ギミックではない実の姉である美央と姉妹デビューという出自がひとつ。そしてリングネームで活動していたにも関わらず、冤罪事件に巻き込まれて非公表だった本名やプライベートな交際も明らかになってしまい、自分の人生が暴露されてしまった。
冤罪とはいえ人気商売に暗い影を落としてしまったが、団体は復帰を認め、ファンが受け入れて彼女は復活した。事件を仕組んだとされる選手ですら活動再開してしまうのだから、プロレス界の懐の深さ(というか甘さ)は独特であるが、プロレスとはそもそも人生を賭けたドラマなのだから「けしからん」という輩がいれば、「いったいプロレスの何を見ているのか?」ということになる。
2025年に舌禍で休業中だったフワちゃんがスターダムから復活することになったが、(個人の好みはさておき)彼女の復活ストーリーは今までのお仕事的プロレスとは全く異なった試合になるだろう。そこに彼女の生き様や生の感情が投影されることは間違いない。
少し話がそれたが、紫雷イオは冤罪事件のどん底から見事に復活して天空のジーニアスへと変貌を遂げた。本書は彼女の生い立ちから2017年5月までを振り返った自伝である。
イオのWWE前夜を網羅
本書の内容に触れると、WWE移籍前のスターダム時代のイオについて、ファンが知りたいと思うことは大方網羅されているだろう。
姉妹のこと、トリプルテイルズ、冤罪事件、プロレスが壊されたシュートマッチ、海外志向について…。
特に冤罪事件に関しては、かなり詳細に経緯や顛末が語られている。固有名詞は出てこないため、あくまで自らに関与することにのみ赤裸々に語っており少しモヤっとはするものの、見方を変えると関係者にかなり配慮された内容になっており好感が持てる(確かN選手と交際していたと噂があったが、そのあたりは全く登場しない)。
あとがきでは事件を仕組んだとされる犯人にも言及しており、かなり踏み込んで心境を吐露してもいる。薬物冤罪事件モノとしても参考になるレベルで内容だろう(拘留中に寒かったため上着を要求したら、ラスタカラーの大麻が描かれたジャージが持ってこられたエピソードはなかなか秀逸)。
惡人×世Ⅳ虎のシュートマッチにも言及。本試合の真相などはご存じないようだが、試合が起きてしまった後、どのように立ち振る舞ったかなどは彼女の責任感の強さを感じさせるし、この流れで「仕掛けられること」にも私論を展開し、現役女子プロレスラーのシュート論も大変興味深い。
なぜかWWEという単語がでタブーになっているかのように「あの団体」など表現されるが、宝城カイリが先に移籍することを決断しており、自身にもオファーが来ておりデリケートな時期だった様子。本書で対談している大川昇カメラマンやブル中野からも移籍を推薦されており、世界に羽ばたくIYO SKY前夜といったタイミングである。
また、本人のネガティブ思考や二番手タイプなど、リング上の彼女からは想像しにくいパーソナリティにも詳しく触れている。女子プロレスラーではかなり特殊な出自のキャリアも正しく理解できる内容になっており、「レスラー成り上がり本」としてオススメしたい一冊。
内容★★★☆☆
赤裸々★★★★☆
ケーフェイ★☆☆☆☆
レア度★★☆☆☆
必読度★★★☆☆
一言コメント:
これからもIYO SKYの覚悟を見届けよう!
他の彩図社スターダムシリーズも紹介していますので是非チェックしてみてください♪


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